iPhone×AR技術でライブ体験はどう変化する? 新型発表に寄せる期待
今秋に発売すると言われているiPhone8。それに先駆け、iOS11にはARアプリ開発キット・ARKitが導入された。すでにARKitを用いて作られた動画がYouTubeなどで公開されており、大きな話題となっている。そこでARとiPhone8へ寄せる期待などについて最新のテクノロジーなどに詳しい大野恭希氏に話を聞いた。まず、大野氏はARをはじめとした空間技術がスマートフォンなどで用いられている例について以下のように語る。
「ARは拡張現実と言われているもので、現実世界に情報を付加させることができる技術です。動画加工ができるカメラアプリのSNOWや、Pokémon GOはAR技術を使っています。一方VRは仮想現実のことを指し、仮想空間を現実世界のように感じることができる技術です。PlayStation VRやヘッドマウントディスプレイ・Oculus Riftなどの製品が登場していますが、まだまだ高価なため、これからの技術革新と低コスト化による普及が望まれています。そしてMRは仮想空間と現実空間をミックスさせた技術で、複合現実とされます。代表例としてはMicrosoft Hololensがあり、人間が見る現実情報を強化することができます」
iPhone8にはAR機能にも利用されるであろう、3Dセンサーカメラの搭載が予想されている。(参考:iPhone 8での搭載匂わせてる。部品メーカーが3Dカメラの年内出荷を明言(GIZMODO))大野氏はこのカメラの搭載に関して、ライブ体験への影響の可能性を指摘する。
「iPhone8と3Dセンサーカメラの組み合わせにより、エンタメ・音楽領域ではイベントとの連携が考えられます。ライブのユーザー体験は統一されたものですが、iPhone8とAR機能を使えば、観客一人ひとりが違った体験をすることが可能になるかもしれません。例えば、ライブで歌っているアーティストの近くに自分を配置できるARアプリなどが考えられます。iPhoneとVR技術が進化すれば、今まで見るだけだったライブをアーティストの近くで感じることができるようにもなるでしょう。他にiPhone8に搭載されることが予想できるものとしては、仮想ホームボタンが気になります。Samsung・Galaxy S8シリーズにはすでに搭載されていますが、これまでのボタンありきのユーザーインターフェイスからの脱却と、新しい体験をもたらしてくれると予想できるからです」
最後に大野氏は、iPhoneの進化とAR/VR機能のコラボによる新たな可能性について語ってくれた。
「個人的には、自宅でライブ体験ができる世界の実現を期待します。多忙を極める社会では、ライブ会場までの移動時間を確保することが難しい。会場までの移動を楽しむこととのトレードオフで自宅からライブへ参加することができれば、より多くの観客を見込め、音楽ビジネスに貢献することとなるのではないでしょうか」