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ハナレグミ『名前のないツアー』ファイナル公演

ハナレグミが楽しんだ会場一体のセッション ライブハウスツアーがもたらした“刺激”と“発見”

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 ハナレグミのライブハウスツアー『名前のないツアー』が5月12日、横浜BAY HALLにてファイナルを迎えた。

 3月3日HEAVEN’ROCK熊谷VJ-1を皮切りに、全国18公演が行われた本ツアー。今回ハナレグミが巡ったのは、各地に根付く老舗のライブハウス。比較的小規模な会場ばかりだ。永積崇がハナレグミとして活動するようになってから、この規模のキャパシティでバンドを率いたライブをすることは、極めて貴重な機会である。永積がオフィシャルサイトのブログに記した道中の様子からも、ツアーでの体験や多くの人たちとの出会いが大きな刺激となったことが伝わってきた。この日のライブでは、実りある旅を経てたどり着いたYOSSY(Key)、伊賀航(B)、菅沼雄太(Dr)といったメンバーたちとのいきいきとしたセッション、永積が歌うことや音を奏でることを心から楽しむ姿を目にすることができた。

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 ハナレグミのライブには、参加するすべての人が自由に音楽を楽しむことができる開放的な雰囲気がある。さらに今回はステージとフロアの距離が近いことで、いつも以上の一体感があった。「見た感じ、俺と同世代の方が多いと思うんですけど、今日2時間ぐらいのセットになっちゃうと思うので、どっちになら倒れてもいいかなって、両隣を今のうちに確認しといてください」とユーモアを交えながらスタートした「大安」。序盤から大きな手拍子とともに歓声があがり、永積も満面の笑みを浮かべて観客を煽る。続く「旅に出ると」は「横浜にはレゲエビートが合うって言うじゃん」といたずらな表情で告げ、心地よいレゲエのグルーヴを会場に響かせた。そして、「360°」や「この間閉店してしまった大好きだったレストランに歌います」とアカペラで歌い始めた「きみはぼくのともだち」では、永積の歌声をメインに聴かせた。

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 ふだんはシャイな人も参加しやすいように、とコール&レスポンスのボリュームをビール250ml、500ml、1L、一升に例えた「あいまいにあまい愛のまにまに」や、「2カ月くらい開く海の家、もうここは夏みたいだぜー」と始まった「オアシス」ではダンスタイムに突入。間奏に設けられたセッションパートや随所に取り入れられたアドリブは、もちろんこの日の編成ならではのもの。毎ツアー、毎公演で表情を変える楽曲を楽しむことができるのも、ハナレグミのライブの醍醐味だ。高揚した観客が拍手を送り、歓声をあげる。ステージ上のテンションもそれを受けてさらに高まっていくーーそういった一連のコミュニケーションの循環がハナレグミのライブには欠かせない。「オアシス」の演奏を終えた頃には、ライブを全員で作り上げた達成感のようなものが会場全体に芽生えていた。その後は「うららかSUN」〜「Crazy Love」〜小沢健二「ラブリー」カバー〜「Peace Tree」をDJのように巧みにつないだメドレーや杏里「オリビアを聴きながら」のカバーでの大合唱、「音タイム」「明日天気になれ」といったライブでもおなじみのナンバーなどで大いに盛り上がり、本編は全15曲が披露された。

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 2011年の『オアシス』発表以降、カバー作『だれそかれそ』(2013年)や数々のアーティストとの共作曲を収録したアルバム『What are you looking for』(2015年)、是枝裕和監督の映画『海よりもまだ深く』の主題歌「深呼吸」(2016年)など、他者との関わりの中から音楽を生み出すことに関心を寄せてきたハナレグミ。以前のインタビューでは「今は、自己完結することにあんまりおもしろ味を感じてないのかもしれない」とも語っていた。信頼のおけるバンドメンバーとともに、各会場がもたらす雰囲気や観客も含めた“セッション”を楽しむ。それが今のハナレグミのモードなのだろう。

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 また、全体を通して印象的だったのは、永積が曲の披露前に関連するエピソードや一言を添えるシーンが多かったこと。今回のツアータイトルは「名前のないツアー」。テーマを掲げたツアーではなかったことも、表現の自由度を高めたのかもしれない。「フリーダムライダー」の前には、この曲の誕生のきっかけとなった、タブラ奏者のユザーンの後押しでニューオリンズへギター修行に行った際のエピソードが語られた。永積の体験談を聞いてから耳にする同曲はいつになく臨場感にあふれ、その光景が目の前に広がるようだった。

 そして、「Oi」「ぼくはぼくでいるのが」の前に披露された、震災後の被災地を訪れたと思しき“誰か”から届いた手紙の朗読。歌いたいこと、歌うことの意味を見つけたという内容の鮮烈さもさることながら、一言一言を読み上げる間や声色といった永積の繊細な表現力がいかんなく発揮された場面だ。この日のアンコールで披露された野田洋次郎(RADWIMPS)が書き下ろした「おあいこ」、その後永積がギターの弾き語りで披露した「光と影」の流れでもまた、そういった永積の繊細な一面を覗かせた。

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