>  > 岩里祐穂×ヒャダインが明かす、楽曲制作秘話

『岩里祐穂 presents Ms.リリシスト〜トークセッション vol.3』

岩里祐穂 × ヒャダインが明かす、名曲の作詞術「重要なのは“いかに言わずして言うか”ということ」

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AKINO「荒野のヒース」

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ヒャダイン:「荒野のヒース」はアニメ『創聖のアクエリオン』の挿入歌で使われていて、AKINOさんのボーカルを活かした菅野よう子さんの曲作りもさることながら、岩里さんの美しい世界観が丸出しの曲です。僕がこの曲が好きな理由を上げていきますね。まず世界観で言うと、アニメに準じながら、岩里さんの歌詞の特徴である男性作家には書けない溢れ出す母性、優しさ、愛を感じられるところです。

岩里:え!

ヒャダイン:あれ、自覚なさそうですね(笑)。<愛を求めて旅するよ>の部分からは愛を求めると言っているのに、包み込む大きな愛を感じます。しかも恋人に歌っているようにも聴こえるし、お母さんが生まれた子どもに歌ってるような曲にも聴こえる。<君に会うために生まれたと伝えたいんだ>の部分はまさに。

岩里:なるほど。でもこれ、けっこう怖い歌詞ですけどね。<もしもはぐれたら身体ごと散ってみせる/花びらたった一枚の姿になって君の愛求めて旅するよ>、わかってんのか、っていう。

ヒャダイン:(笑)。なるほど、「散ってやるぞ」と。

岩里:そうそう。そういう感じ(笑)。

ヒャダイン:(笑)。あとテクニカルな言葉の使い方では、ド頭の響きが印象的でした。この曲は<ア音>と<イ音>の使い方のせめぎ合いだと思っていて。開口音と言われている<アウオ>は声を張る時に使いやすい音ですけど、<イ>は一番発音しにくい。高い声が出しにくい音なのであまり使わないんです。

岩里:何にも考えてなかった!

ヒャダイン:天才発言(笑)。そしてポイントとなるのが<ひりひりする声になるのさ>。<ひりひりする声>って、どういうことなんですか?

岩里:好きすぎてひりひりするくらい胸が痛いっていう、そんな心の声でしょうか。そのフレーズ、いいですよね。<粗野な風>と<ひりひりする声>は、言葉が降りてきてぱぱっと書けました。

ヒャダイン:フックになっているというか、ピリッとします。しかも、その「ひりひり」のところが高音なんですよね。高い声で「ひりひり」を歌わせる詰まる感じが面白いです。

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岩里:AKINOちゃんだから歌えたというのはあるかもしれませんね。この曲は「AKINOちゃんがかわいい歌が歌いたいらしい」という菅野よう子さんからのリクエストで書き始めた曲でした。だからサビも<キミヲアイシテル>と、あえて分かりやすいフレーズでカタカナを使ってみたり。いつもの小難しい詞ではなく、ひねったりせずに真っ直ぐな想いを書いたという記憶があります。

ヒャダイン:どうですか? 菅野よう子さんとの制作は。

岩里:面白いです。タイトルのつけかたは特に勉強になることが多くて。例えば、「荒野のヒース」は最初、歌詞からとって「Wild Flower」とつけていたんです。アイルランドの寒々しい、アラン諸島みたいな光景で花びらが舞ってるようなイメージで。でも、菅野さんは「うーんとさー、どうする?」と。そういう時はだいたい変わる(笑)。結局、ワイルドフラワーの花の名前を探そうということになり、ヒースという名前の花を見つけて、それをタイトルにしました。ヒースの方が確かに「女の子の名前かな」とか想像が広がりますよね。まさに菅野マジックだと思っています。

ヒャダイン:芸術肌ですね。タイトルをつけるのは苦手です。

岩里:私も。タイトルから入るっていう方もいますよね。菅野さんは記号のようにつけるんですね。「指輪」とか「プラチナ」とか、曲の中に出てこない言葉をタイトルにすることもあって。「ユッカ」みたいにぱっと意味がわからない単語も。でも、残るんですよね。「あぁ、タイトルってこういうやり方もあるんだ」と彼女と作品を作っていて思いました。

山下智久「パレード」

ヒャダイン:アルバム『A NUDE』の収録曲で、作曲はSEKAI NO OWARIのNakajinくん。僕が作詞とアレンジを担当するという変則的なスタイルで作った楽曲です。

岩里:でも、ニコ動時代も作詞と編曲でしたよね。

ヒャダイン:そうなんです。なので僕にとっては当たり前のことではあって。楽しかったですね、この曲は。

岩里:ドラマ仕立てのストーリーものの歌詞ですよね。ヒャダインさん、こういう詞も書けるんですよ!

ヒャダイン:(笑)。これは、おべんちゃらでも何でもなく「雨にキッスの花束を」の影響はあります。お休みの日の雑踏の中での一コマを描いていて。山P(山下智久)と付き合う普通の私が、普通のデートをする。その普通がスペシャルなんだという世界を描きました。

岩里:この曲はどのように作っていったんですか?

ヒャダイン:曲先ですね。Nakajinくんのメロディが来てから歌詞を書きました。かわいい曲といったリクエストがあった気はします。で、僕けっこう曲を書いてるので記憶が飛ぶんですけど、全部書き直した気がします。

岩里:最初はどんな詞だったのかなあ?

ヒャダイン:それが便利な性格で、忘れちゃうんですよ。職業作家として芯の髄まで浸食されているらしくて、書き直してくださいとなったら、今まで築き上げたものをポイってゴミ箱に捨てることができるんです。

岩里:いや、それも、大切なことですよね。いいと思います(笑)。男性アーティストに曲を書く際、なにか心がけていることはありますか?

ヒャダイン:ジャニーズや韓流といった男性アーティストの場合は、女性ファンが言ってほしいこと、聞きたいことを書くっていうのは特に心がけています。コンサートを見に行かせてもらった時は、需要と供給についてずっと考えていて。MCで甘いセリフを言ったり、メンバー同士が抱きついたりすると、悲鳴のような歓声があがるんです。それを見て「こういうことかな」と。男性アーティストには疑似恋愛のような世界をけっこう書きますね。逆に僕が書く女性アイドルの歌詞はそれがない。

岩里:なるほど。

ヒャダイン:例えば関ジャニ∞さんに書かせてもらった「三十路少年」という曲では、<苗字、錦戸になってみーへん?>という歌詞を書いていたり。錦戸亮くんがこれをライブでファンにむけて言ったら、みなさんに絶対喜んでいただけるじゃないですか。そういった言葉を意識して入れるようにしていますね。

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