>  >  > 長岡亮介が達成した「ギターロック」からの逸脱

金子厚武のプレイヤー分析

ペトロールズのカバーアルバムが物語る、長岡亮介が達成した「ギターロック」からの逸脱

関連タグ
星野源
RADWIMPS
東京事変
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 3月22日にペトロールズのカバーアルバム『WHERE,WHO,WHAT IS PETROLZ?』が発売され、4月1日に渋谷WWWとWWW Xでリリース記念ライブが行なわれた。Suchmos、Yogee New Waves、never young beach、LUCKY TAPESといった「今」を体現する若手バンドが多数参加したアルバムは、結成12年にしてフルアルバムを一枚しかリリースしていないマイペースなバンドが、長岡亮介という神出鬼没のギタリストが、いかに日本の音楽シーンにジワジワと影響を及ぼしていったかをはっきりと物語っている。

 2010年前後のバンドシーンにおける「ギターヒーロー」といえば、9mm Parabellum Bulletの滝善充や、凛として時雨のTKといった名前が挙がるだろう。ハードコア~エモ/ポストロックの流れにあると同時に、日本のロックの通奏低音であるHR/HMの発展形とも言える2人のテクニカルかつアグレッシブなプレイスタイルは、この国の「ギターロック」がエクストリームの頂点を迎えたことを示していたように思う。

 その頃、長岡はといえば、R&B/ソウル系のシンガーである椎名純平の作品への参加を契機に、妹である椎名林檎と出会い、東京事変に「浮雲」として加入し、2012年まで活動。2013年にはRADWIMPSの野田洋次郎のソロプロジェクトillionのライブに参加し、同年には東京事変のメンバーだった亀田誠治の紹介で星野源の作品にも参加、現在に至るパートナーとなっている。そして、ペトロールズが初のフルアルバム『Renaissance』を発表した2015年には、星野源が『Yellow Dancer』を、ceroが『Obscure Ride』を発表し、日本の音楽シーンには「ギターロック」とは別軸の、ブラックミュージックを軸とした潮流が確かに形成されていた。

 ファンク、R&B、ヒップホップといったグルーヴ主体の音楽でキーとなるのは、やはりリズム隊の存在である。実際、近年の若手バンドを見ても、話題に挙がりやすいのはSuchmosのHSUやLUCKY TAPESの田口恵人といったベーシストであり、Yasei Collectiveの松下マサナオやWONKの荒田洸といったドラマーは、ジャズとヒップホップのクロスオーバーという文脈も含め、注目を集めている。

 もちろん、カッティングやミニマルなフレージング、ワウやディレイといったエフェクトを用いたプレイで各ギタリストが個性を競い、Suchmosの「STAY TUNE」やLUCKY TAPESの「レイディ・ブルース」など、ここぞという場面で現れる歪んだギターは、主役級の扱いだ。しかし、キーボードやDJ、ホーンなども含んだ編成の中にあっては、やはりギタリストもアンサンブルの一部という印象が強い。

      

「ペトロールズのカバーアルバムが物語る、長岡亮介が達成した「ギターロック」からの逸脱」のページです。>の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版