松村早希子の「美女を浴びたい」
早見優、“ダンスフロアの女神”として音楽シーンに華麗に復活! 見る者の心を解放する存在感
2016年11月某日、藤井隆さん主宰レーベルのイベント『SLENDERIE RECORD MUSIC AWARD』にて、「お待たせしました! ユウ・ハヤーミの登場です!」という、藤井さんの高らかな呼び声と共にステージに現れた早見優さんは、フロアのミラーボールよりも輝きを放っていました。
黒いレースのタイツ、ギラギラ光る大振りのネックレスとフープイヤリング、高い位置のサイドポニーテールと、そのスタイルこそ80年代風ではありましたが、某TVコマーシャルのように「当時」を模したレトロな雰囲気ではなく、2016年の「今ここ」に確かに存在する現在進行形のカッコ良さでした。
2016年夏、藤井隆さんプロデュースでミニアルバム『Delicacy of Love』を発表。早見さんといえば80年代の女性アイドルを代表する存在ですが、『Delicacy of Love』には、昔懐かしい往年の有名人が復活という空気はなく、新曲「溶けるように kiss me」は今現在のダンスフロアで鳴らされる音として充分な力をもっていて、「夏色のナンシー」などの往年のヒット曲やカヴァー曲は、Seiho/DEDE MOUSE/okadadaといった若い世代の尖った音楽家達がリミックスを手がけています。このアルバムで藤井さんは「フロアを踊らせる音楽」を早見さんに用意したのだと思いました。
クラブやライブハウスに行きはじめた頃(15年以上前ですが)、リズム感が一切無く踊ることは大の苦手で、どうにも恥ずかしくて振る舞い方がわからずにいました。その時、美人でお洒落で華やかで、何よりその「踊る姿」が迷い無く吹っ切れていてカッコイイ、大人の女性の姿が目に入りました。その女性を見ていたら、縮こまっていた気持ちが段々と自由になってきて、ダンスフロアに解放されていったことをよく憶えています。
ステージの上の早見さんに、その女性の姿が重なりました。
1966年生まれの早見さんは、今年50歳になります。年齢を重ね、「花の82年組」と呼ばれアイドルとして一世を風靡した頃とは、また別の美しさを得られました。しかしそれは、「美魔女」と言われるような「若く在ることだけが美しい」とされる価値観の元にある美しさではありません。
この世の誰もが平等に年を取り、老いれば皺もできます。「皺が無い」ことが美しいのではなく、「皺も美しい」と思わせてくれる姿は、「何歳になったらこうしなくてはならない/何歳からはもう女として見られない」などといった「年齢」の見えない鎖に縛られる、この日本の多くの女性達の心を解放してくれるのではないでしょうか。
無理な若作りなどしないそのままの笑顔で人々に希望を与え、不自由な心を解放してくれる早見さんは、ダンスフロアに降り立つ女神です。
■松村早希子
1982年東京生まれ東京育ち。この世のすべての美女が大好き。
ブログにて、アイドルのライブやイベントなどの感想を絵と文で書いています。
雑誌『TRASH-UP!!』にて「東京アイドル標本箱」連載中。
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