HOWL BE QUIET、リアルを歌うことで引き出された意識「僕らの武器は“歌”だと改めて気付けた」

HOWL BE QUIETの“歌”という武器

 HOWL BE QUIETがメジャー3rdシングル『サネカズラ』をリリースする。表題曲「サネカズラ」は竹縄航太(Vo/Gt/Pf)の失恋の体験が色濃く反映されたバラードナンバー。メジャーデビュー以降は1stシングル『MONSTER WORLD』、2ndシングル『Wake We Up』とエレクトロテイストのダンスチューンをリリースしてきた彼らだが、竹縄のエモーショナルな歌を軸にした「サネカズラ」によって、その音楽的な自由度の高さを改めて示すことになるだろう。さらにC/WにはTVアニメ『DAYS』(TOKYO MXほか)10月クールのオープニング主題歌「Higher Climber」を収録。「Wake We Up」に続く『DAYS』とのコラボレーションが実現し、ロックファン以外のリスナーにさらに強く訴求することになりそうだ。(森朋之)

「あなたがフッた人はすげえヤツだったんだ」って思わせたい(竹縄)

ーー1stシングル曲「MONSTER WORLD」、2ndシングル曲「Wake We Up」に続く3rdシングル曲「サネカズラ」は、切ない失恋を男性の目線から描いたバラードナンバー。バラードシングルは今回が初めてですよね?

竹縄航太(以下、竹縄):インディーズのときに『DECEMBER』というアルバムを出したときに、タワレコ限定で『GOOD BYE』をシングルとしてリリースしたことがあって。そのときは枚数も限定だったから、バラードを正式なシングルとして出すのは、今回が初めてですね。カップリング曲の「Higher Climber」(TVアニメ『DAYS」オープニング主題歌)のほうが先に出来ていたから、順当にいけばそっちがシングルになっていたと思うんですが、メンバー、スタッフの共通認識として「もっと他にあるんじゃないか?」という直感みたいなものがあって。「じゃあ、どういう曲がいいだろう?」というところで出て来たのが「サネカズラ」だったんです。

ーーメジャーデビュー以降はポップなダンスチューンを続けてリリースしてきたので、このタイミングで『サネカズラ』を出すことは、バンドの音楽性の広さを示すことにつながると思います。

竹縄:そう捉えてもらえたら嬉しいですね。この曲自体は、2年くらい前に個人的に作ったんです。温めて続けていたというか、そもそもバンドでやろうとも思ってなくて。

ーー失恋の曲ですが、竹縄さん自身の体験がもとになってるんですか?

竹縄:そうですね。妬み、嫉妬、束縛したいという気持ちも強かったというか……。この曲を書くことで、自分の気持ちを清算したかったんです。当時付き合っていた人と一緒に住んでいて、自分からその家を出たんですけど、そのときに自分のモノだけをなくそうと思ったんですよ。相手が帰ってきたときに「ひとり暮らしだったかな?」と錯覚するくらいに自分の荷物を持ち出したんです。クローゼットの上3段を僕が使っていて、相手が下3段を使っていたんですけど、上3段だけを空っぽにして。バンドが原因で別れたたところもあったからーーバンドをやっている人と一生は付き合えないっていうーーやり返したいという気持ちもあったんですよね。向こうは“フる”、こっちは“フラれる”ということですけど、それは恋愛における裏切りに感じたんです。言葉にしなくても“これからも一緒にいたい”と思うから付き合うわけじゃないですか。なのに相手をフるっていうのは裏切り行為じゃないかなって。だから、相手をギャフンと言わせたいというのもすごくあったんですよね。自分の存在を深く残すことだったり、「あなたがフッた人はすげえヤツだったんだ」って思わせたいし、とにかく何らかの傷を残したいっていう。そのやり口自体すごく女々しいんですけど、そういう経緯で書いた曲なんですよ、「サネカズラ」は。

ーーめちゃくちゃリアルな体験がもとになっているんですね。生々しいバンドサウンドも、楽曲の背景にすごく合っていると思います。歌詞がしっかり伝わってくるというか。

竹縄:この曲の言葉を届けたいと思っていたわけではないですけど、歌詞の内容が自己中だったり、自分のことを吐露している部分はありますからね。自分の思いを歌に乗せている感じの曲なので、それを音として具現化していくうちにこういうアレンジになったということですね。

黒木健志(以下、黒木):デモ作りは竹縄が一人で住んでる家でやったんですけど、まず、竹縄がこの曲を書いたときの感情を僕らはリアルに知ってるんですよね。裸の部分というか、いちばんパーソナルなところをここまで歌ったことはほどんどなかったし。ふだんはフィクションと現実を混ぜて書くことが多いんだけど、「サネカズラ」で歌われてることは疑いようもなく、完全な真実なので。アレンジするときも、そのときの感情をどれだけ込められるかを意識してました。きれいな曲だけど、そこに込められているものはきれいなだけではないというか……。「自分たちの泥臭さをどこまで入れられるか?」という話もしてましたね。

岩野亨(以下、岩野):そうだね。

黒木:アレンジの過程ではシンセや打ち込みのドラムを試してみたんですけど、「これじゃ泥臭さが伝わらない」と思って。最終的には生楽器だったり、自分たちのプレイヤビリティを重視したアレンジになりました。

橋本佳紀(以下、橋本):うん。竹縄航太の人間性がすごく出ているから、楽器陣もそこはすごく意識して。さっき竹縄が「自分の気持ちを清算するつもりで書いた」と言っていたけど、その思いを4人で背負いながら楽曲にしていくのは不思議な感覚でしたね。

岩野:「サネカズラ」は制作のやり方もいままでとは違っていたんですよ。「こんなアレンジにしたらおもしろいよね」とか「こんな世界観を作りたいね」というところからサウンドを作ることが多かったんだけど、今回は竹縄の歌詞がアレンジを引き出してくれたというか。“歌詞を大事にする”ということが軸になって、それに付随する形でアレンジが作られていく感じだったんですよね。レコーディングの時も普段とは心持ちが違っていたというか、すごく気合いが入りました。聴いてくれる人にとっても、グッとくる曲になったらいいなって思います。

ーー「サネカズラ」はライブでも披露されていますが、ここまでリアルな思いが込められた曲をステージで歌うのはどんな気分ですか?

竹縄:うーん、まだよくわかってないんですけどね。このシングルの発売を告知したリキッドルームのワンマンライブ(参考:HOWL BE QUIET、“歌”の持つパワー伝えたLIQUIDROOMワンマンレポート)のときに一人で歌ったんですけど、自分としては当時の気持ちも清算されているし、深い思いも何もない状態で歌えている……と思いたい感じがあって(笑)。強がりではないけど、「ふつうに歌えてるでしょ」という感じでやりたいんですよね。引きずってる男って、カッコ悪いじゃないですか。

ーーそれでも引きずりますけどね、男は。

竹縄:(笑)。それを見せたくない、隠したいって思うのも男じゃないですか。まだ4人で演奏したことがないので未知数なんですけど、サラッと歌えたらカッコいいだろうなとは思いますね。

ーーいずれにしても竹縄さん自身の人となりが強く伝わる曲だと思います。みなさん、普段から恋愛のことも話したりするんですか?

黒木:まあ、しますよね。仲のいい友達として。

橋本:相談したりとか。

岩野:付き合いが長いから、ちょっと違和感があるとわかるんですよね。そういうときは「最近どう?」みたいな話もするので。

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