>  >  > fhánaが表現する“世界線の豊かな広がり”

『What a Wonderful World Line Tour 2016』最終公演レポート

fhánaが示した“世界線の豊かな広がり” Zepp Divercityワンマンライブで感じたこと

関連タグ
JPOP
ROCK
アニソン
バンド
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
20160610-fhana.jpg

 「fhánaの物語は、fhánaだけで作っているわけではなく、みんなで作るもの」。fhánaが6月4日に東京・Zepp Divercityで行なった『What a Wonderful World Line Tour 2016』の最終公演は、リーダーの佐藤純一がそう語ったように、バンドの魅力を象徴するようなライブだった。

 2015年2月にリリースした前作『Outside of Melancholy』のリリース以降、さいたまスーパーアリーナで行なわれた『Animelo Summer Live』への2度目の出演や、日本武道館での『リスアニ!LIVE 2016』、東京NHKホールでの『Coming Next 2016』など、ライブの面でも様々な経験を積んできたfhána。この日は2ndアルバム『What a Wonderful World Line』の発表以降、東京の恵比寿リキッドルームを皮切りに名古屋、大阪と続いたリリース・ツアーの追加公演。バンドにとって過去最大規模のワンマンにして、これが事実上のツアー・ファイナルとなる。

 今回は佐藤純一、yuxuki waga、kevin mitsunaga、towanaの4人に加えて、サポートとしてfhána作品を支えるお馴染みの鈴木達也(Dr.)と田辺トシノ(Ba.)、そして舞台袖で機材を操作するマニュピレーターの澤田悠介を迎えたフルバンド・セット。ステージの左右には棒状のライトがいくつもそびえ立ち、ステージ奥には4つの長方形の白幕が設置されている。13本のライトが一気にまばゆい光を放ちメンバーが登場すると、突如照明が暗転。白幕に4人それぞれのシルエットが浮かび上がり、会場を大歓声が包む。

 序盤は新作のオープニング曲「The Color to Gray World」を筆頭に新作曲を3連打。4カウントで始まった「虹を編めたら」では照明が一転して七色に輝き、fhánaのステージにカラフルな色彩が追加されていく。続く「コメットルシファー ~The Seed and the Sower~」ではyuxukiの爆音ギター・ソロに観客が「オイ!オイ!」とコールを始め、そのまま前作収録曲「tiny lamp」に突入すると、そのコールはより大きなものに。とはいえ、舞台上のメンバーは冷静で、互いにアイコンタクトを取りながら丁寧にグルーヴを組み上げていく姿が印象的だ。同じく前作から披露された「divine intervention」は佐藤の洒脱なピアノとエレクトロニクス、熱量全開のギター、ストリングス、towanaのボーカルが絡み合うfhánaらしいダンス・ロック・チューン。towanaがスカートを翻し、「そう君を」と歌って観客に手を差し出すと、会場の熱気はさらに上昇していった。

20160610-fhana6.jpg

 ここでtowanaが「『What a Wonderful World Line Tour 2016』にようこそ!」と観客を迎えると、「水分補給はしっかりしてくださいね」(kevin)、「今日はすげー長いんで」(yuxuki)とメンバーが口々に観客を気遣う。そう、この日は新旧の楽曲を合計26曲も演奏する怒涛のロングセット。続いて佐藤が「ふたたび東京に帰ってきました」と観客に伝えると、フロアから「おかえり」と口々に反応が返ってくる。

 それまでピアノを弾いていた佐藤がギターに持ち替えて始まったのは新作の「little secret magic」。ここからは新作曲が続き、yuxuki作曲の「Critique & Curation」では佐藤がギターを弾きながらリード・ボーカルを担当。以降も「c.a.t.」「Antivirus」と新作曲を披露すると、そのどれもがスタジオ音源とは明らかに表情を変えていることに驚かされる。佐藤とyuxukiが見せる技巧派の演奏力、kevinが操るビートやfhánaの音楽を特徴づける流麗なストリングス、そしてその響きと呼応するように伸びやかな魅力を放つ高音域を生かしたtowanaのボーカル。そのすべてがライブならではのダイナミズムを獲得し、中でもyuxukiのグルーヴィなカッティング・ギターがバンドの演奏に重要なアクセントを加えていく。

20160610-fhana3.jpg

 その後「lyrical sentence」「いつかの、いくつかのきみとのせかい」を経て一旦サポート・メンバーを紹介すると、towanaが「私たちfhánaのメジャー・デビュー曲です」と紹介して始まったのは「ケセラセラ」。ここではyuxukiが座ってギターを弾き、サポートの田辺トシノもウッドベースに持ち替えて、序盤とは対照的にジャジーな展開を見せる。以降も「追憶のかなた」「ホシノカケラ」といったバラード曲で一旦会場をクールダウン。その後はまだ3人編成だったバンドが後に正式メンバーとなるtowanaを迎えて初めて制作した「街は奏でる」、そして佐藤がfhána以前に活動していたFLEETで初音ミクを使って制作した「Cipher」を立て続けに披露。「Cipher」はバンドのすべての歌詞を手掛ける林英樹と佐藤が初めて作業した楽曲でもあり、新作中心の序盤を経て徐々に過去の記憶を紐解いていく選曲に、長年のファンから感嘆にも似た声が上がっていた。

     
  • 1
  •  

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版