アニメ『ジョジョ』と洋楽の深い関係ーーサヴェージ・ガーデンが新EDに起用された背景を探る
第3部のエンディングテーマには、バングルスの「Walk Like an Egyptian」、エジプト編にはジャズ・フュージョン・バンドのパット・メセニー・グループ「Last Train Home」を起用。これらは、物語の舞台がエジプトであることや、原作の扉絵に主人公達が列車に乗っている描写があることからの選曲だと考えられる。「Last Train Home」はインストゥルメンタル曲であるが、「ROUNDABOUT」と同様に物語がシリアス展開である場合には、楽曲終盤のコーラス部分が流れる場面もあった。
そして今回、始まった第4部のアニメエンディングでは、どのようにサヴェージ・ガーデンの「I Want You」を使用していたのか。アニメーションは、荒木氏の出身地・宮城県仙台市をモチーフにした架空の町、杜王町の名所を巡っていき、登場キャラクターが点在しているというもの。中でも特徴的なのは、曲の<I need to, I want to>という歌詞を主人公の東方仗助が口ずさむ描写があること。これは歴代エンディングテーマの中でも初めてだ。荒木氏は『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズにおけるお気に入りのキャラクターに、東方仗助を挙げている。さらに仗助の設定には「趣味はプリンスのCDを聴くこと」とあり、ほかの部ではあるが、バンド名も物語の重要なキャラクター「サヴェジ・ガーデン」として登場している。ジョジョ第4部の年代が1999年であるのに対して、「I Want You」のリリースが1996年というのもポイントだ。
「I Want You」が初めてアニメで流れた第2話放送終了約30分後には、iTunes Storeの「トップポップソング」ランキング50位に急上昇し、その日の23時30分には8位にランクアップ。総合ランキングでも45位に入っていた。ジョジョの洋楽エンディングテーマを、多くのリスナーが注目している結果だろう。第4部は全174話とジョジョの中でも最長のパートであることから、複数期にわたり放送することが考えられる。今回の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』では、過去の放送に見られた特殊な演出、そしてさらなるエンディングテーマが起用されるのだろうか。
(文=渡辺彰浩)