MACOが『FIRST KISS』で挑んだ多彩な音楽「『ラブソングといったらMACO』と言われるようになりたい」

MACOが挑んだ多彩な音楽性

 MACOが、ファースト・フルアルバム『FIRST KISS』を11月4日にリリースする。テイラー・スウィフト「私たちは絶対にヨリを戻したりしない~We Are Never Ever Getting Back Together」をはじめとした洋楽曲の日本語カバーで彼女の名前を知った人も多いだろう。その後リリースした『LOVE』『ふたりずっと』などのシングルは、ティーン層を中心に次々ヒットを記録し、MACOのラブソングはリスナーの間に定着しつつある。

 今作の『FIRST KISS』は、「ラブソングしか作れなかった」というMACOが、ラブソングの王道であるバラードはもちろん、tofubeatsとの競演から興味を持ったというディスコサウンドや、前作『22』でも意識したR&B要素のある曲など、バラエティに富んだ曲調でより多くのリスナーに自身の楽曲を届けることを意識した意欲作だ。これまでのシングル表題曲からすると少し意外に感じるものの、どこか懐かしさを感じるサウンドという共通項で「MACOらしさ」をしっかり表現している。“流行”ではなく“スタンダード”を目指す彼女の姿からは、シンガーとして、アーティストとして成長を遂げ、次なるステップへと歩み始めている様子がうかがえた。

 今回リアルサウンドでは、MACOにインタビューを行い、1年前のインタビューからの成長や今作に至るまでの変化を、じっくり語ってもらった。

「曲を書くモードがラブソングだな、と」

MACO「KISS」

―ご自身では1年前と今、どのような変化があったと感じていますか。

MACO:ファーストシングル『LOVE』のリリースからの変化が大きいですね。これが自分にとって一番の分岐点になったと思っていて。MACOはカバー曲のイメージが強かったのですが、テレビで「LOVE」を歌わせていただいたりして、オリジナルが定着してきたので。

―その分岐点となった楽曲「LOVE」を1曲目に持ってきたのが今回のアルバム『FIRST KISS』ということですね。タイトルはいつごろ決まったのでしょうか。

MACO:製作の序盤に決めました。まだ曲名が「Kiss」と決まっていなかったころに、この曲はリード曲にしようとあたためていた曲があって、それが「Kiss」なんです。自分の中に降りてくるであろうものをずっと信じて待ち続けて、最終的に切ない曲にたどり着きました。今のMACOは楽曲の歌詞にたくさん出てくる“KISS”に包まれているなと思って。そしてMACOからみんなへの初めてのフルアルバム、“初めてのKISS”ということでこのタイトルをつけました。

―歌詞がより大人っぽくなったように感じます。以前は思いついたらiPhoneに歌詞を書くと話してくれましたが、作詞の方法は変わりましたか。

MACO:今も一緒ですね。文章になる時もありますし、言葉のフレーズだけの時もあります。歌詞として書きためておいて、曲を作る時はスタジオに入って今日はこれを作る、と決めてやるようになりました。

―作詞方法自体は変わらず歌詞の印象が変わったということは、MACOさん自身に少し変化があったということでしょうか。

MACO:変わってきたんですかね。今回はよりストレートに素直に表現することを大事にしました。

―「素直に表現する」ということが、今回のように恋愛についての歌詞が増えたことにつながったと。

MACO:曲を書くモードがラブソングだな、とアルバムを作る時に思って。ラブソングにも「Kiss」や「マフラー」のように切ない曲もありますし、ハッピーな曲もある。それを素直に書かせてもらったらこんなアルバムになりました。

―ラブソングが続く中でも、8曲目の「24才の私からママへ」は特別な曲である印象を受けました。この曲だけ作詞・作曲でMACOさんなんですね。

MACO:そうなんです。自分でメロを書くというのが久しぶりでした。でも歌詞と一緒にメロディーも浮かんできて、すぐ完成しましたね。ママへの気持ちがたくさん溢れてきて、一人で泣きながらスタジオで作りました。

―MACOさんの楽曲エピソードでは、お姉様の話が出てきたり、お母様に向けた今回のような曲もあって、家族に対する愛も大きいということが伝わってきます。

MACO:大きいですね。離れているから余計に感慨深いというか、大切にしなきゃなって。あとどれだけ親孝行できるかなとか、それを考えたら今回ママに向けた歌を入れようと思って。「24才の私から」はママに向けて素直に書いて作りました。家族は大事ですね。

―そういった要素を入れられるのもMACOさんらしいのかなと。ラブソングモードでも恋愛だけで終わらないという。

MACO:本当は友達の曲とか入れるべきなのかもしれないんですけど、今はそういうモードになれなくて。ファースト・アルバムはMACOのやりたいことをやらせていただきました。

―収録曲の中で、思い入れのある曲はありますか。

MACO:やっぱり「Kiss」ですかね。もちろん「24才の私からママへ」もですし、これまでにない強いフレーズを入れたのは、11曲目の「君の背中に」です。<その背中めがけて>なんて今まで使ったことがないので。曲のインスピレーションから、ちょっとかわいさもありつつ力強いラブソングができました。でも、どれも本当に思い入れがあるんですよね。「LOVE」は初のシングルCDで、悩んで悩んで作った曲でしたし。

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