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宗像明将が『THE RECORDING at NHK101st』を分析

くるりに通底するメロディーの美しさと強靭さ バンドの過去と現在をつなぐ映像作品を観る

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 くるりの作品を身構えて聴くようになったのはいつからだろうか? 2014年の『THE PIER』や2012年の『坩堝の電圧』といったアルバムの情報量の多さに気圧されて、気付くとそんなスタイルになってしまっていた。

 そうした事実にはたと気づかされることになったのが、映像作品『THE RECORDING at NHK101st』だ。2014年9月に『THE PIER』がリリースされる2カ月前、2014年7月にNHK-BSプレミアムで放映された番組『THE RECORDING』をパッケージ化したもの。スタジオに楽器を持ち込み、一発録りされた際の映像だ。

 『THE RECORDING at NHK101st』に記録されている15曲は、2日間のみで収録されている。前半に収録された初日分は基本的に、くるりの岸田繁、佐藤征史、ファンファンに、ギターの山本幹宗、ドラムの福田洋子を迎えた5人編成による演奏。後半の2日目は、ストリングス、ゴンドウトモヒコらによる管楽器、ソウル・フラワー・ユニオンの奥野真哉によるキーボード、2人のコーラスを加えた大編成での演奏だ。

 そして『THE RECORDING at NHK101st』をまた身構えながら見はじめたときに驚いたのは、エクスキューズの入る隙のないほどシンプルにロックンロールを演奏する初日のくるりの姿だった。それを象徴するのが曲名もストレートな「ロックンロール」だ。アメリカンロック、しかし少し南部の香りがする演奏が白熱していく光景は、私がくるりを聴きはじめた1990年代末の興奮をそのまま蘇らせるものだった。

 前述のように『THE RECORDING at NHK101st』はNHKの番組のパッケージ化であるため、番組のナレーションやメンバーのコメントも収録されている。テーマは「くるりの18年を音で振り返る」。しかしそれ以上に重要に感じられたのは、佐藤征史による以下の発言だった。

「高校生や中学生が見て自分らもバンドをやりたいなぁと思ってくれるきっかけとかになればうれしいなと思います」

 佐藤征史は、中学生や高校生がバンドをやりたくなるようなものとしての「くるり」をここで提示しようとしている。くるりのメンバーとしてのシンプルで明快なメッセージだ。くるりに対してのイメージを誰が肥大化させたのか? それはもちろん聴き手であり批評する側である自分自身だ、という事実を初日の演奏には痛感させられることになる。

 「ワンダーフォーゲル」は、疾走感に満ちた演奏のなかでファンファンのトランペットの柔和さが大きなアクセントになっている。「ワールドエンド・スーパーノヴァ」は原曲のテクノ色が大幅に後退し、気恥ずかしいほどの「青さ」をまだくるりが失っていないことを感じさせるのが爽快だ。古い楽曲が並ぶ前半の中では、2012年の「everybody feels the same」が例外的に新しい楽曲だが、コード進行の開放感は岸田繁のソングライティングの進化を実感させる。

くるり 「THE RECORDING at NHK101st」ダイジェスト / Quruli 「THE RECORDING at NHK101st」Digest

      

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