vistlip『UNLOCKED』インタビュー 「本当に素直になれる」――20周年に向けて駆け出すための3曲を語り尽くす

vistlip『UNLOCKED』全員インタビュー

 vistlipが2026年最初の作品『UNLOCKED』をリリースした。『vistlip ONE MAN TOUR 2025 [CODE:SIX] -Unlocked-』ですでにパフォーマンスされていた今作の楽曲たちが、満を持してのお披露目である。20周年へと向かう日々のなかで、どのようにして今作は生まれたのだろうか。メンバー全員インタビューで紐解く。(編集部)

個性抜群の3曲が集結――『UNLOCKED』

――『UNLOCKED』に収録されている楽曲たちは、いずれも昨秋に開催された『vistlip ONE MAN TOUR 2025 [CODE:SIX] -Unlocked-』にて先行披露されていたそうですね。

智:僕らとしてはほぼ初めての試みになるんですけど、今回のシングルは先にツアーでやって馴染んでもらってから音源を出す、っていう方法をとることにしたんです。

海:2年くらい前からレーベルが変わったり、ライブ制作に関わってくれてるスタッフも変わったりしていたなかで、先々のリリースに向けてのミーティングをしていた時に出てきたアイデアのひとつだったんですよね。「新曲をライブで先にやるのはどう?」っていう話がまわりから出てきて。そこで「うち、そういうのやったことないんですよ」って答えたら、「なんでやったことないの?」と(笑)。

瑠伊:そう言われてみれば、なんでやったことなかったんだろうね?

智:なんでだろ?

Yuh:vistlipの場合、最初からレコード会社が関わってくれていたっていうのも大きかったと思います。スケジュール自体がリリースありきで決まっていくことも多かったし、ライブで新曲をやってから音源を出すっていう、いわゆる昔ながらのインディーズのバンドみたいな動きっていうのは、今まであんまり縁がなかったんですよね。

海:たぶん、過去にライブで先にやったことあるのは「Dead Cherry」(アルバム『THEATER』収録曲)と「偽善MASTER」(シングル『B』収録曲)くらいだったんじゃないかな。

――ちなみに、今回の新曲「Code Number」「Bedtime Story」「Principal」はすべてTohyaさんが作曲をされていらっしゃいますが、昨秋のツアーでこれらを初めて演奏してみた時の手応えはどのようなものでしたか。

Tohya:新曲を携えてツアーをまわるということを事前にファンのみんなにも伝えていたので、みんなのほうもあらかじめ心構えが出きていたからなのか、初めてやるわりには違和感がなかったどころか、すごく自然な感じでセットリストの中に溶け込めてるなって思いましたね。今までやってきた新曲たちのなかでも反応はいちばんよかった気がしますし、各地をまわっていくごとにどんどん曲も成長していって、会場の雰囲気もさらによくなっていった感覚がありました。

瑠伊:僕らも18年バンドをやってますけど、同じようにファンの方たちも歴の長い方が多いですからね。ファンのプロというか(笑)。初見でもちゃんと新曲を受け止めてくれてましたし、もう初日からノリもある程度はできあがったような感触があったんですよ。しかも、さっきTohyaが言っていたように回を重ねるごとにその完成度もどんどん増していったので、何の不安もなく新曲たちをやれたのが嬉しかったです。

Yuh:今回のシングルは3曲ともカラーがまったく違うんですけど、特に「Code Number」に関しては個人的にはすごく好きな曲なんですけど、vistlipがこういう雰囲気の曲をリードチューンにすることは今までそんなになかったので、僕は最初ツアーでやるってなった時に少し「みんなからどう受け止められるのかな」と心配していたところもあったんですよ。でも、実際にライブでやってみたらみんな楽しんでくれてるのがよくわかったので、良かったなって安心しました。

海:これまでの流れからいくと、Tohyaの曲ってライブでやるのが難しい曲がわりと多かったんですよね。構成がややこしかったり、コード進行がややこしかったり、リズムが難しかったり、ちょっとノリづらそうだったり(笑)。ただ、今回の曲たちってTohyaらしさはちゃんとあるものの、なんか今までにないような新しさがあると思うんですよね。それは曲を作ってる段階から感じていたことだったし、ツアーの初日でやった時にはライブで先にやることを前提に作ったからこうなったのかもとも思いつつ、そことは関係なく自然にこういう感じになったのかもとも思ったんですけど――そこのあたり、実際どうですか、Tohyaさん?

Tohya:「Bedtime Story」はライブを意識して作ってますね。

海:なるほどね。「Principal」なんかはライブでやると広がりが出るし、今までだとこういう系統の曲って、場の雰囲気がシリアスになりすぎちゃうこともあったんですけど、そうじゃない感じになってるからさ。今までのTohyaの曲と何がどう違うか説明するとなると言葉にするのは難しいけど、これまでと違う感じですげえなと思いながら僕はライブでやってたわけです。

――フロントマンである智さんからすると、今回の新曲たちをツアーで先行披露された際にはどのように感じられたのでしょうか。

智:初日は多少緊張しましたけど、今のvistlipなら多分どんな状況でどんな曲をやっても大丈夫だろうなと思っていたし、そういう自信を持って挑むと受け手側のみんなもついてきてくれるんですよね。そのことがこのあいだのツアーではよくわかったので、こういう試みはやってよかったなと思います。

――なるほど。まずはリードチューンの「Code Number」についてですが、コンポーザーであるTohyaさんがこの曲を作られる際どのような狙いをお持ちでしたか?

Tohya:どっちが先に決まったかはよく覚えてないんですけど、今回はツアータイトルが『vistlip ONE MAN TOUR 2025 [CODE:SIX] -Unlocked-』で、作品タイトルが『UNLOCKED』。だから、自分のなかのイメージとしては、“エージェント”とか“スパイ”みたいなキーワードが最初に浮かび上がってたんです。「Code Number」は、そういう雰囲気のアニメとか映画のテーマソングになりそうな曲ということを意識して作ったものですね。でも、メンバーにはどういうふうに作っていったか、伝えてはいなくて。

――だとすると、メンバーの皆さんはこの曲に対してどういう印象を持たれたのでしょうか。

Yuh:さっき海が言ってたように、Tohyaっぽさはあるけど、「なんかいつもとは違う」みたいなことって、僕としては瑠伊の作る曲と近い空気感とバンド感を感じていたんですよね。たとえば、音色とかギターのフレーズとかがなんかお洒落で、メジャー感があって、そこが瑠伊っぽいというか。個人的にはポップな曲ってあんまり刺さんないほうなんですけど、この「Code Number」に関してはものすごく好きだなと思ったし、今回はこの曲がリードになってほんとによかったなって思ってます。

――「まさに!」と今思いました。今回、あえて作曲クレジットなどを見ないまま3曲とも聴かせていただいたんですけど、コード感の醸し出している印象も含めて、てっきり「Code Number」は瑠伊さんが作られているのかなと思ったんですよ。

Yuh:この完成形を聴くと、よりそう感じるでしょうね。僕のギターも、意図して瑠伊の曲でよく使うような音で弾いているので。瑠伊って、セブンスコードをよく使うんですけど、この曲ではそういうおしゃれコードやテンションコードをいっぱい使ってます。音色も、いわゆるテレキャスで弾くようなところを狙っていったんですよ。

――当の瑠伊さんが、この「Code Number」を受け取った時にどのようなことを感じられたのかも気になります。

瑠伊:僕はこういう感じの曲が大好きなんで、おしゃれだし、疾走感もあって聴きやすいなって思いました。「表題曲にするならこれがいい!」と僕もずっと思っていて、もう第一印象から決めてましたね。

――これは半分冗談の質問となりますけど、ぶっちゃけ「俺の芸風にカブせてくるなよ」とは思われませんでした?

瑠伊:たしかに、自分の曲っぽい雰囲気を感じた瞬間はありましたけど(笑)。でも、単純に僕はこういう雰囲気の曲が好きなので、「いい曲がきたな」っていう印象が強かったですね。

――智さんは「Code Number」を聴いた時、いかがでした?

智:まずは「かっこいいな」と思いましたね。僕も「瑠伊の曲っぽいな」って感じたところはあったし、ツアー中に瑠伊本人に「これ、瑠伊っぽくない?」って聞いた記憶もあるんですけど(笑)。でも、それをTohyaが作ってきたっていうことは、ちゃんとTohyaにしかできないことも入ってるんですよね。そういう意味でも、今回こういう曲をTohyaが作ってきてくれたのは、vistlipにとってすごくいいことだなと感じてますね。

――おそらく、Tohyaさんらしさが最も顕著に出ているのは曲のなかのキラキラ感かもしれませんね。

智:Tohyaの作るメロってキャッチーなんですよ。瑠伊の曲は、一見キャッチーな曲なんだけど、実は複雑に作ってる部分があったりする。その点、今回Tohyaが作った「Code Number」は、メロディラインがすっきりしているんです。そういう個性を持った原曲を、バンドとしてみんなで仕上げていくことによって、また新しいものを作れたなと感じてますね。

vistlip『Code Number』Music Video ( short ver. )

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