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姫乃たま「地下からのアイドル観察記」

アイドルがアイドルを辞めるときーー姫乃たまが“卒業”を考える

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地下アイドルとして活動しながら、ライターとしても注目を集める姫乃たま。

 近年のアイドルブームはグループアイドルが中心のため、引退というと解散に伴うものか、スキャンダル発覚による脱退など、グループの都合によるイメージを持たれがちです。しかし、ソロアイドルとしてフリーランスで活動している私の周りには、グループアイドル全盛の中で活動するソロのアイドルが多く集まっています。

 彼女たちのほとんどはフリーランスか、物販やライブ時の撮影を任せているスタッフがいるだけです。ステージでのパフォーマンスを含め、活動に関することは基本的に全て本人が決めています。そのため、彼女たちは他人の都合によって引退することがありません。彼女たちがアイドルを辞めようと決意するのは、アイドル活動ではなく私生活に転機が訪れた時でしょう。

 16歳で地下アイドル活動を始めた私が、最初に辞めようとはっきり思ったのは18歳の時でした。高校を卒業する直前のことです。地下アイドルの自分が、私生活の自分と乖離していったことが原因だったと思います。地下アイドルの自分を自分だと思えなかったのです。いまはあの頃の気持ちをはっきりと思い出せないのですが、地下アイドルの自分はどこか違うところで生活している他人のように感じていました。

 ただの高校生が、ある日急に舞台で歌うようになって、自分のことじゃないように感じるのも仕方がなかったと思います。こう書くと夢のある話のようですが、実際には技術がないまま人前に立つのは苦痛でした。

 結局、様々なきっかけが重なって、数か月の活動休止の後に活動を再開することに決めました。現在の姫乃たまという名前に改名して、私生活では大学に進学し、公私共に新たなスタートを迎えたのです。改名後はライブだけでなく、文章を書く機会が増えたり、生まれ育った街の行事に司会で呼ばれたりと、私生活の自分に近い仕事が増えたことで、地下アイドルの自分を徐々に受け入れられるようになりました。

 そうしてやっと地下アイドルとはどういうものなのか、真剣に考えるようになったのです。地下アイドルである自分のことを、他人のように切り離して活動きたせいで、まともに考えたことがなかったのです。活動を再開してから今日までの大学四年間は、地下アイドルとは何なのかを考える期間だったように思います。

 そもそもメジャー、インディーズ問わず、アイドル活動をしている子の多くは、アイドルが最終目標ではありません。周囲のソロアイドルの子も、最終的には声優や歌手になりたいという子がほとんどです。今年の『 AKB48じゃんけん大会公式ガイドブック2014』にも、ずらりと並んだメンバーの写真の隣に、女優になりたい、タレントになりたいという手書きの文字が多く見受けられました。アイドルとは途中経過の職業なのです。

     
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