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柴那典「フェス文化論」第9回

フェスシーンの一大潮流「四つ打ちダンスロック」はどこから来て、どこに行くのか?

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柴那典
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 ここ数年、邦楽ロックシーンを巡る一つのバズワードと化している「四つ打ち」。特に2010年代のロックフェスの現場においては、そのブームはもはや無視できないものになっている。2013年にKANA-BOONがブレイクを果たし、キュウソネコカミやKEYTALKなどが注目を浴びる中で、速いテンポのダンスビートとキャッチーなメロディでオーディエンスを踊らせ、それをバンドの人気に繋げていく風景が可視化されるようになった。

 同時に「四つ打ちダンスロック」が明らかなバンドシーンのトレンドとなったことで、「四つ打ちは飽和して終わりに向かっている」「次は何が来るのか」と言った論調も見かけるようになった。

 しかし、実のところはその言葉が示すものが人によって違っていたり、捉え方が様々だったりするのも事実。そこで、この記事では、改めて「四つ打ちダンスロック」がどこから来て、どこに行くのかを明らかにしていこうと思う。

重要なポイントは裏拍オープン・ハイハット

 そもそも「四つ打ち」とは、「ドン・ドン・ドン・ドン」と1小節に4分音符のバスドラムが並ぶビートを示す言葉。テクノやハウスやEDMなどダンス・ミュージックの定番で、8ビートと同じくらい汎用性のあるリズムパターンの一つだ。なので「四つ打ちは終わる」とか「四つ打ちの次に◯◯が来る」という言い方は、端的に不正確。四つ打ち自体は、この先もリズムパターンの一つとして使われ続けていくだろう、というだけのことだ。

 この記事で言う「四つ打ちダンスロック」は、その「四つ打ち」とはちょっと違う。単に4分音符でバスドラムが鳴っていればいいわけではない。ポイントは8分音符の裏拍にハイハットがオープンで鳴っていること。楽器経験者以外にはわかりにくい表現になってしまうのだが、カタカナで言い表すと「ドン・ツー・ドン・ツー・ドン・ツー・ドン・ツー」というリズムだ。これをBPM170以上のテンポで叩き「ドツ・ドツ・ドツ・ドツ」と高速化することで興奮をあおるスタイルのことを言う。

 たとえばKANA-BOONのブレイクのきっかけになった「ないものねだり」や、今まさにライヴシーンで人気を拡大しているバンドのフレデリック「オドループ」が、その手のビートを効果的に用いた曲だ。

KANA-BOON「ないものねだり」

フレデリック「オドループ」

 音楽プロデューサーの亀田誠治も、番組『亀田音楽専門学校』の中で、若いバンドにこのビートが大流行していると指摘している。(参照:http://realsound.jp/2014/10/post-1541.html

 亀田氏はそのルーツに90年代の小室哲哉サウンドがあると分析している。それはそれで一つの見方なのだが、この記事ではあくまで日本のロックシーンの潮流の変化から「なぜ四つ打ちダンスロックがここまで流行したのか?」を紐解いていきたい。

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