声優・谷山紀章率いるGRANRODEOがビッグネーム抑えてALチャート3位 その強さの理由とは?

 アニメタルを例に出すまでもなく、アニソン/声優界とハードロック/メタル界は昔から親和性が高かったが、Gacktに肉薄する世界観でヒーローになりきるKISHOWには「遊び」や「フリ」がまったくない。ロンブー淳のjealkbやマキタスポーツのFly or Dieがそうであるように、まったく違う畑の人間をも本気にさせる様式美というものがV系には確かにある。あるいは、V系の様式美さえ守れば出自は何でもよろしい、という許容量がシーンにあるとも言える。GRANRODEOの購買層は、おそらくアニメファンとまったくイコールではないだろう。完璧なる安定を誇るロックンロール・バンド、クロマニヨンズを抑えての初登場3位も、当然なのかもしれない。

 洋楽が強いのも今週の特徴。トニー・ベネット&レディー・ガガは話題のコラボであるが、見た目もすっかりお爺さんになってきたMr.BIGの新作が6位、エイフェックス・ツインによる13年ぶりの話題作が8位というのも、それぞれファンの「これだけは発売日に押さえとくでしょ!」という情熱を感じさせる。竹内まりやファンの多くは、たぶんリチャード・D・ジェイムスの名前を知らず、MR.BIGがメンバーの闘病を超えて本作を完成させた話にも興味がないと思う。でも、ほんの数千~数百人の買い手の差によって、これらのアーティスト名がひとつの遡上に載せられるというのは、やっぱチャートの面白さだなぁ。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

※記事掲載時、一部に誤表記がございました。訂正してお詫び申し上げます。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる