小室哲哉のDigitalian論 ーーデジタル時代の新型フェス『THE BIG PARADE』で聞けた本音とは?

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 9月12日~15日、日本初のデジタル時代の新型ミュージック・フェスティバル『THE BIG PARADE』が、代官山エリアにて開催された。

 アメリカでTwitterブレイクのきっかけとなったイベント『SXSW』の日本版とでもいうべき画期的フェス『THE BIG PARADE』。日本上陸前の音楽配信サービス『Spotify』や、海外『Billboard』などのメディア、さらにU2をはじめ、数々のヒットを生み出してきたビッグプロデューサーであるスティーヴ・リリー・ホワイトなど、様々なクリエイターを交えてのビジネスや文化論を伝えるトーク・セッションはもちろん、アーティスト自身による基調講演(スピーチ)が注目を集めた。

 アーティストには、佐野元春、☆Taku Takahashi、livetune、tofubeats、SKY-HIなどが出演されるなか、今年でデビュー30周年となる小室哲哉による基調講演、『小室哲哉とテクノロジーの30年間 - I am a Digitalian』が話題となった。聴き手には、TM NETWORKの歴史に詳しい音楽評論家、藤井徹貫氏を迎えている。

当日の模様がフルでアップされている

 本講演で語られていた通り、30年前にデビューした小室率いるTM NETWORKは、ユニット名に“NETWORK”という言葉が付いている通り、“通信”を意識した先鋭的な思想を持っていた(※1979年デビューのオーストラリアのバンド、Men at Workの言葉の響きから引用された説もある)。学生時代から小室はSF小説を愛読しており、SF作家アーサー・C・クラークをリスペクトしている。アーサー・C・クラークは、宇宙開発に関する科学解説書や人工衛星による通信システムの提案、そして日本とアメリカの間にタンカーで引かれている海底ケーブル構想など、現実化されている様々な画期的アイディアを思いつかれた方だ。

 小室は、進化したデジタル環境での音楽制作において、80年代と現在を比較するにあたって、わかりやすい比喩として「楽曲をテープに保存することは、走っている電車の窓から、過ぎていく瞬間の景色を見るようなもの。くらべて、ハードディスクに保存することで全体を俯瞰できるようになった」。そして「当時、周囲の9割以上の人間は(1990年)当時、ハードディスクに保存することの重要性をわかっていなかった」と、先駆者となったハードディスクを活用したレコーディングに付いて回想している。

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