園子温バンド、デビューライブに長谷川博己ら出演 V系メイクで即興ポエムを叫び上げる

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諸手を挙げて盛り上がるオーディエンスたち。

 続けて「もう一人のボーカルを紹介します」と前置きした後、ステージに立ったのはなんと、映画内で結成されているバンドメンバーVo.鈴木良一役であり、主演俳優の長谷川博己(出演『セカンドバージン』、『鈴木先生』、『家政婦のミタ』他)だ。またしても会場が嬌声と拍手に包まれる。「何でいつの間にか園さんのバンドになってるんですか! 全然知らされてなかったんですよ、ニュースでいきなり園さんということになっていて!(笑)」との第一声であったが、「乗っ取りってやつですよ」とあっけからんと答える園子温。

 予想を遥かに超えたスペシャルゲストの登場を目の当たりにし、観客は大興奮。ステージはあり得ないほど贅沢な状況と化した。「本当にここは新宿LOFTなのだろうか」と、目を疑う光景であった。会場の密度が色濃くなってゆき、メンバーが鮮やかにその情景を膨らませていく。ツインボーカルとなったバンドは、『ラブ&ピース』でも数多く歌われるという『絆』を披露。アップテンポの青春ロックンロールだ。素直な感情を綴った、温かく愛に溢れた歌だった。観客の顔を思わずほころばせるような真っ直ぐな歌詞、ステージ全員の愛が結集したかのようなサウンド。

 その後、さらにヒートアップしたテンションで「全力歯ぎしり」「ラブ&ピース」をもう一度演奏したところで、本編の幕が閉じた。声を枯らし息も絶え絶えになりながら園子温のシャウトが続く。それは彼の生き様を表すようでもある。52歳とは思えない凄まじい勢いと力強さだ。会場からは、溢れるほどの拍手と大喝采が続いた。

 何より素晴らしかったのは、この日プレイされたすべての曲がエネルギッシュであり、革新性に満ちた全力の魂の叫びであったということに尽きるだろう。今までの枠組みには収まりきらない、独特のV系バンドとなった「RevolutionQ」。来年公開の『ラブ&ピース』劇中では、バンドはどんな演奏を披露しているのか。来年の映画の公開が今から楽しみだ。
(取材・文=佐藤優香)

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