TMR西川貴教も賛同! グラドル自画撮り部部長・倉持由香が「グラドル界」を革新する

「グラドル自画撮り部」中心に、他メディアへの同心円状の展開を

 話を元に戻そう。そもそも「グラドル自画撮り部」はどのような理由から発足したのか。倉持はその理由をブログにてこう表明している。「グラビア界全体を盛り上げて、またグラビアにグラドルがちゃんと載れる時代を復活させたい。皆で一緒に売れなきゃいけない。『自分だけが売れたい』という考えで行動すると、長い目で見た時に自分の首を絞めることになるんです」
「カメラマンも、被写体も、編集者も、自分で全部できるのが「自画撮り」です。撮りおろしが決まらなくたって、私たちにはTwitterとスマホがあるじゃないか!全身鏡の前は自分だけのスタジオなんだ!」

 また、『週刊プレイボーイ』のインタビューではこう語っている。

「今、グラビアアイドルが雑誌のグラビアに出るのはとても厳しい状況なんです。グループアイドルさん以外で、雑誌の表紙を飾れるグラビアアイドルは10人いるかいないか。(中略)新人グラドルは顔見せができないからDVDも出せないし、ファンもつかない。それでそのまま撮影会のモデルで終わってしまって、辞めていくコも多いんです」

 要は新人アイドルの顔見せの場としての自画撮り部の必要性を主張し、「最初は無料で情報を拡散させ、定着したところで有料へと移行させる」という、ネットでは定番のビジネスモデルを踏襲した展開を想定している、ということだろう。では今後、この部にはどのような可能性があるのだろうか。例えばありきたりだが、「画像をまとめて書籍化する」というアイディアが考えられる。しかしこれは「メガネ女子」「ツインテール女子」「絶対領域女子」といった、数年前から流行っているフェチ写真集の流れに組み込まれるだけで、このムーブメントの面白さや特色を殺し、矮小化することに繋がりかねない。

 倉持は前述のインタビューで、「私たちは自画撮りで満足しているわけではないんです。本当は雑誌のグラビアに出たいんですよ。そのための手段のひとつが自画撮りです。本当は自分じゃなくて、カメラマンさんに撮ってほしいんです(笑)」とも発言している。これは「ネット→雑誌→テレビ他」といった、ネットを出発点とした発展的展開を目指していると読み取れる。しかしそうした、いわゆるネット発の"リア・ディゾン的出世街道"は、「グラドル自画撮り部」の持つ特異性やアドバンテージを最も生かすイメージではないと感じる。まず基盤として確固たるネットの「グラドル自画撮り部」があり、そこを中心として、雑誌、テレビ、イベントと、展開の場が同心円状に広がっていく…。筆者がこの部に対して最も可能性を感じるのは、こうしたイメージだ。雑誌自体が力を失っている今、そこに頼るやり方では共倒れを起こしかねない、という危機感もある。

 例えばイベントでは、グラドル自身が撮影者となって鏡越しにお客さんとチェキを撮る「ツーショット自画撮りチェキ会」ができそうだ。自己演出に長けた倉持なら、その他にもオリジナリティのあるアイディアを次々に思いつくのではないだろうか。あるいは部に賛同するグラドルファンたちから、今後の展開についてアイディアを募ってもいいかもしれない。
 
倉持由香という時代を象徴するグラドルが、かつての雛形あきこやほしのあきのように、「グラビアアイドル」というジャンルを次なるステージに運んでくれることを、心から願って止まない。

倉持由香(くらもち・ゆか)
1991年11月6日、千葉県生まれ。身長167cm。B84、W58、H100。趣味:料理、食べ歩き (ラーメン・カレー)。特技:絵を描くこと、足でゲームをすること(スーパーマリオ)。格闘マンガ『グラップラー刃牙』が好き。昨年12月にカリスマ的な人気を誇るコスプレイヤー・うしじまいい肉を衣装プロデュースに迎え、イメージDVD『くらもちいい尻』(イーネット・フロンティア)をリリース、AmazonのアイドルDVDジャンルで1位を獲得した。G.P.R所属。オフィシャルTwitterオフィシャルブログ

■岡島紳士(おかじま・しんし)
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』など。雑誌への寄稿も随時。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」アドバイザー。au公式サイトでアイドルコラム担当。会期中に行われた、全9回の番組&イベントMCも担当した。DVDマガジン『NICE IDOL (FAN) MUST PURE!!!』制作。現在は新シリーズ『IDOL NEWSING』を制作中。Twitter

■製品情報
『パンチュ 倉持由香』
価格:¥3,990
発売:2014年3月15日

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