『ユイカ』、10代最後のライブで何を歌ったのか? 「20歳になっても私は私のまま」――覚悟が滲んだ夜

『ユイカ』10代最後のライブ

 『ユイカ』が『2nd LIVE「Sweet alyssum」』を1月8日、9日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにて、12日に大阪・Zepp Osaka Baysideにて開催した。1月12日に20歳の誕生日を迎えた『ユイカ』にとって、10代最後のライブとなった1月9日公演の模様をレポートする。

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

 10代最後のライブとなったこの日のライブ。開演前には本人による影アナが。非常時の案内など非日常的な単語に苦戦し、思わず笑ってしまう一幕もあったが、元気よくアナウンスし、ユイナー(ファンの呼称)の期待をさらに煽った。場内が暗転すると、ネジを巻く音、そしてオルゴールの音色がゆっくりと流れ出し、『ユイカ』の紡ぐ物語へと誘う。バンドメンバーの後に続いて、オフホワイトのドレッシーな衣装を身に纏った『ユイカ』がステージへ登場すると、彼女は「せーのっ!」と声をかけ、「ひそかな願い。」で元気よくライブをスタートさせた。

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

 のちのMCでアンケートを取ってわかったのだが、この日会場に集まったファンの多くが10代。初めて『ユイカ』のライブにきた、という人も多い。ライブ自体に行くのが初めてという人もおそらく多いのだろう。そんなユイナーに向けて『ユイカ』は、イントロから「みんなも一緒に歌って!」と呼びかける。するとどこか緊張気味だったフロアも体を揺らしたり、歌ったりと、徐々にほぐれていく。そんな客席に釣られるようにさらにテンションを上げた『ユイカ』は「初めまして、『ユイカ』です。よろしくお願いします!」と大きな声で挨拶すると、ピンク色に染められたステージで「恋泥棒。」をキュートに歌う。さらに観客のクラップをビートに、「恋泥棒。」の続編となる「スノードーム」へとつなげた。

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

 「わがまま。」ではアコースティックのサウンドに身を任せて、『ユイカ』はハンドマイクでステージを自由に動き回る。最前列のユイナーの近くまで進んだり、鍵盤のフレーズにあわせてピアノを弾くジェスチャーを見せたりと、人懐っこいパフォーマンスで魅力していく。かと思えば、「クリスマスの日じゃなくていいから」では、切なさを伴った歌声で心を震わせ、「運命の人」では次の恋へと進んだ主人公の微細な心の動きを丁寧に掬い上げる。まるで漫画のようにさまざまな物語を楽曲で描く『ユイカ』は、ライブでもしっかりとその情景を浮かび上がらせていった。

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

 「私の活動の最初に書いた曲で、いちばん大切にしている曲です」との言葉から始まったのは「好きだから。」――流れるような鍵盤とストリングスでロマンチックにアレンジされたこの楽曲を噛み締めるように歌っていると、2番でれんが登場。曲中のすれ違いを歌う掛け合いの場面で、ふたりは向かい合って歌うなど、デュエットバージョンでしか見せられない「好きだから。」を届けてくれた。この日の『ユイカ』はポニーテール姿だったのだが、これについて「『好きだから。』のMVに出てくる女の子がポニーテールだから」と、れんがステージに出てくる伏線だったとも明かした。れんに向かって客席から「かっこいい!」と言うと「かっこいいから好きなんじゃないよね?」「好きだからかっこいいんよな?」と、同曲にちなんだ言葉で盛り上げ、れんをステージから送り出した。

『ユイカ』(撮影=Viola Kam [V'z Twinkle])

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