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EXILE人気拡大の背景 「ブラックミュージック」と「ヤンキー文化」の関係性とは?

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北濱信哉
文化論
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 日本レコード大賞を歴代最多の4回受賞、 国内音楽シーンで圧倒的な存在感をみせるダンス&ボーカルユニットのEXILE。今年の元日からはEXILEファミリー総出演で延べ200万人を動員する「EXILE TRIBE PERFECT YEAR」の活動を6年ぶりに再開した。同ツアーのコンセプトは「史上最大の祭り」。ライブやイベントを中心に、一年を通して全国各地でENTERTAINMENTを展開していくという。なぜ彼らはこれほどまでの人気を誇るのか。「ブラックミュージック」と「ヤンキー文化」というふたつのキーワードを元にその理由を考察する。

 今でこそJ-POPの要素をふんだんに取り入れるようになったEXILEだが、初期の楽曲はゴリゴリのブラックミュージック、ヒップホップやR&Bを直輸入して日本語で歌っているようなものがほとんどだった。歌い手とダンサーというユニットは日本では小室哲哉がtrfによって一般化させたものだが、EXILEの場合はより本物志向、 本場アメリカのスタイルを国内用にローカライズせずそのまま持ち込んで成功させたものだ。ローカライズされたブラックミュージックの起源はジャニーズ(「郷ひろみから櫻井翔、中丸雄一まで…ジャニーズとブラックミュージックの長くて深い関係」参考)、90年代後半以降はMISIAやUA、宇多田ヒカルといった女性R&Bシンガーの活躍によりジャンルが一般化したが、EXILEほど直球のスタイルで一般層まで享受された例は過去にない。それではなぜ彼らのブラックミュージックは成功したのか。ここで2つ目のキーワード「ヤンキー文化」が登場する。

 EXILEはよく「ヤンキー文化」の文脈で論じられることが多いアーティストだ。たとえば精神科医・斎藤環の近著「世界が土曜の夜の夢なら −ヤンキーと精神分析−」では我々の生活の中でそこかしこに潜んでいる「ヤンキー的なもの」の代表格として1ページ目からEXILEが取り上げられている。では彼らを「ヤンキー的なもの」たらしめているものは何か? 同書では「ヤンキー的なもの」の特徴として以下のようなキーワードを列挙している。「愛、信頼、仁義、仲間、人情、原点、直球、自国的、地元好き、デコ(デコレーション)仲間や惚れた女のためになりふりかまわず発揮される正義、誠実なアウトロー」。そのどれもがEXILEを彷彿させるものである。そして「ヤンキー文化」は地方の消費文化ととかく相性がいい。若者の地元志向とヤンキー化について論考した速水健朗の著書「ケータイ小説的。 ―“再ヤンキー化”時代の少女たち」によると、古くから日本にはムラや祭りに象徴される共同体意識があり、都市に比べてそういった繫がりの残る地方では「ヤンキー的なもの」が好まれる土壌が未だ存在しているという。

 EXILEは代表曲「Rising Sun」のダンスに岩手の祭り「よさこいさんさ」の振り付けを取り入れていたり、今回のツアーコンセプトを「史上最大の祭り」と謳っているように、(自覚的かどうかはともかく)極めて共同体意識の強いアーティスト。これは熱心なファンも同様であり、彼らの間にはライブにおける暗黙の決まり事がいくつも存在する。ライブを成功させるため秩序を守ることが重視され、みなで一体となって身体を揺らし非日常的な空間を共有する。これはまさに伝統的な祭りそのものだ。このようなことからも彼らが地方で消費される「ヤンキー的」なるものと親和性が高いことが分かる。

     
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