レディー・ガガは大成功した今も、なぜ奇抜な格好をし続けるのか?
レディー・ガガが、新作アルバム『ARTPOP』のプロモーションのため、一年半ぶりの来日を果たした。
新作がオリコン初登場1位、全米・全英チャートでも1位を記録し、またもや世界的な旋風を巻き起こしているガガ。11月29日にはテレビ朝日系『ミュージックステーション スペシャル 超豪華アーティスト プレミアムライブ』への生出演も決定している。こちらでも相当に力の入ったパフォーマンスを見せてくれるはずだ。
さて、ここで考えたいのが、何故ガガは奇抜な格好をするのか? ということ。
これまでもガガは数々のエキセントリックなファッションで話題を呼んできた。生肉ドレスやセクシーなシースルー、さらにはシュールな衣装まで。オンでもオフでも数々の度肝を抜く格好をしてきた。最新シングル「アプローズ」のミュージックビデオでも過激な貝殻ビキニをまとっている。
なぜ彼女は毎回奇抜なファッションをしているのか。「話題作りのため」と思う人もいるかもしれない。でも冷静に考えたら、今のガガほどの人気とステータスを持ったアーティストが身を削ってわざわざ「話題作り」をする必要はないはず。明らかに「やりたいからやっている」たぐいのパフォーマンスなわけである。そして実は、そこから深いメッセージ性を読み解くこともできるのだ。
実は、ガガ自身、先日に放映されたイギリスの人気トーク番組「The Graham Norton Show」の中で、自分が奇抜な格好をする理由について語っている。それは「自分の狂気と闘うため」なのだという。幼少期から「頭の中の声」に悩まされ、そのせいでアルコールやドラッグにハマったこともあったけれど、そんな自分を救ってくれたのが服飾とアートだったと告白している。
また、筆者は昨年5月12日にさいたまスーパーアリーナで行われた来日公演にも足を運んだのだが、そのライヴ中のMCでもその理由の一端を明かしていた。ステージ上で「生肉ドレス」を身にまとったガガは、「私がこのドレスを好きなのは、何を着ていようが結局私たちは肉と骨からできているから。私たちは同じ。同じなの」と語っていた。ステージ上のMCで、彼女は、スーパースターである自分と目の前にいる数万人のオーディエンスが「同じ」なんだと、繰り返し伝えていた。
振り返ってみれば、2011年にリリースされた彼女の前作『Born This Way』は、まさにそういうメッセージを込めた作品だった。「生まれながらにして私はこうなの」と歌い、あなたも同じでしょう?と呼びかけたアルバムだった。とはいえ、ガガはただ単に「世界人類みな平等」みたいなことを歌ったわけじゃない。果たして彼女は誰に向かって「あなたと私は同じだ」と呼びかけたのか? それは前述のエピソードを踏まえて考えるとハッキリする。それは周りから「変わってる」と指さされるようなタイプの人たちだ。レズビアンやゲイのような性的マイノリティーや、人種的なマイノリティもそうだろう。実際、ガガは自身がバイセクシュアルであることを公言している。そうでなくとも、風変わりな特徴や志向を持っていたり、どんな理由であれ、いじめられたり、仲間はずれにされたり、周囲に馴染めない人たち、そのせいで自分のことを肯定できない人たちに向けて「あなたは私と同じだ」と呼びかけたわけである。