『プロセカ』傷ついた人々を救う2ユニットの物語とともに 25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー「コネクトライブ Dreamscape」

「コネクトライブ Dreamscape」レポ

 ここ数年、VOCALOIDのシーン人気を牽引し続けるアプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、『プロセカ』)。充実したコンテンツの中でもひときわ大勢を魅了するのが、アプリ内で開催されるリアルとバーチャルの境界を超えたライブ体験を楽しめる「コネクトライブ」だ。

 直近では次元の垣根のみならず、コンテンツ内ユニットの垣根をも超えて行われてきた本ライブ。今回は2025年7月27日に開催された「コネクトライブ 25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様を、夜公演の内容を中心にレポートする。

 現在のコネクトライブシリーズは公演中のユニット間交流も見どころであり、そこに至るまでのストーリー性も非常に充実した内容となっている。今回はイベント内で、どのような物語が展開されるのか。期待も高まるなか「25時、ナイトコードで。」(以下、ニーゴ)の面々に、“誰もいないセカイ”の鏡音リンを加えた「エンパープル」(作詞・作曲:はるまきごはん)でステージは幕を開けた。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 パフォーマンス後には「より多くの人に自分たちの歌を届けたい」と今日の抱負を口にしつつ、客席からのメッセージにも応えるメンバーたち。だが公演を続けようとした最中、突如音楽が流れないというトラブルが発生。原因を探る中、初音ミクらバーチャルシンガーがニーゴの面々と入れ替わる形で舞台に登場。トラブルの元凶を苦しみ・絶望に寄り添う彼女らの歌に共鳴する、傷ついた「想いのカケラ」のノイズであると予測する。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 荒ぶり始めたカケラの負の感情を鎮めるべく、MEIKO・巡音ルカがそれぞれ「レッドランドマーカー」(作詞・作曲:Twinfield)、「ルカルカ★ナイトフィーバー」(作詞・作曲:samfree)でソロパフォーマンスを披露。アッパーかつスタイリッシュな音楽でカケラたちの悲しみ・苦しみを一時的に紛らわせ、ステージを原因探求から戻ったニーゴの面々へ引き継いだ。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 舞台へ戻り、誰かが傷ついた想いのカケラを一時的に鎮めてくれたことを知るニーゴの面々。だが「救って欲しい」というカケラの悲痛な叫びが容易に収まることはなく、その声は徐々に彼女たちの感情をも蝕み始める。

 自身の抱えるトラウマを想起しながら、それでも4人は一貫して「救える想いは救いたい」という姿勢を崩さない。「絶望を知るからこそ歌える歌がある」という言葉を挟みつつ、続けざまに披露されたのは「カナデトモスソラ」(作詞・作曲:ササノマリイ)「化けの花」(作詞・作曲:なきそ)の2曲。楽曲ごとにメンバーの衣装も細やかにチェンジされ、見る者を飽きさせないコネクトライブならではの強みが発揮される。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 だが個々人の激情を背景に孕む音楽にカケラの負の感情はますます誘発され、このままでは4人も危ういという状況に。しかしそのとき、上空から光が差し込み、「大丈夫! 私たちもついてるから」というミクの声とともに画面は一時ホワイトアウト。再び入れ替わるように現れたバーチャルシンガーたちによって、ニーゴの面々に力を貸すべく展開されたのは、鏡音リン・レンとKAITOによる「Where shall we go?」(作詞・作曲:めろくる)「あったかいと」(作詞・作曲:halyosy)だ。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 辛さや悲しみに優しく寄り添う温かな歌で、バーチャルシンガーたちは無事数多のカケラの苦しみを和らげることに成功。「どんなに大変なことがあっても、すべて丸ごと君の人生だから」というミクの口上とともに歌われた「人生」(作詞・作曲:gcmstyle(アンメルツP))を最後の一押しに、ようやくカケラたちも穏やかな光を取り戻した。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 再度入れ違いで舞台上に戻ってきたニーゴの面々が、そんなカケラたちへあらためて「あなたを救いたい」と届けたのは「余花にみとれて」(作詞・作曲:keeno)。どんな言葉も拒みたくなる深い絶望を知った上で、だからこそ歌を届けることを諦めない。無数の傷ついた想いのカケラや、自分たちに手を貸してくれた存在へも想いを届けたいと4人が願った結果、2つのセカイが交錯。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 “誰もいないセカイ”のミクの「向こうの私によろしくね」という声を背に、ニーゴの面々はバーチャルシンガーたちと奇跡の邂逅を遂げる。最後は傷ついた想いのカケラをそれぞれに救おうとした2組の「Blessing」(作詞・作曲:halyosy)合唱で、本コネクトライブのストーリーは無事一度幕を閉じた。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 会場が物語の余韻に包まれる中、再度ステージにぽつんと現れたのはバーチャルシンガーの初音ミクと、“誰もいないセカイ”の初音ミク。アンコールではふたりがそれぞれに“向こうの私と一緒に歌いたい”と願ったことで、互いの姿は見えないながらもステージ上での共演が実現することに。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 同じ舞台の上に相手の気配を感じつつ、ふたりの初音ミクが披露したのは「ハジメテノオト」(作詞・作曲:malo)。そんな小さな奇跡を経て、本ステージの行く末を見守る大勢の想いの強さにより、再度バーチャルシンガーとニーゴの4人がステージに集結。再会を願ってくれた人々へ感謝の思いとともに「群青讃歌」(作詞・作曲:Eve)を歌い上げ、公演は大団円で幕を下ろす形となった。

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

「コネクトライブ25時、ナイトコードで。×バーチャル・シンガー Dreamscape」の模様

 2組のプロセカ内ユニットによる夢の邂逅とその物語も見応えのある、現在のコネクトライブシリーズ。本公演を経て、残すはワンダーランズ×ショウタイムとMORE MORE JUMP!によるステージだ。エンタメ性抜群の2組による、にぎやかで華やかなストーリーとともに展開されるショーは、一体どのようなものになるのか。期待に胸を膨らませつつ、次回開催を待ちたいと思う。

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