衝撃的コラボの集大成がここに――『プロジェクトセカイ×あんさんぶるスターズ!!Ensemble in SEKAI』レポート

『プロセカ』×『あんスタ』合同ライブレポ

 2025年2月に実施された、アプリゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(以下、プロセカ)とアイドルプロデュースゲームアプリ『あんさんぶるスターズ!!』(以下、あんスタ)のコラボプロジェクト。従来から若年層女性を中心に大きな支持を得る二大コンテンツのタッグは、各ファンの間に大きな衝撃をもたらしたと言ってよいだろう。

 プロジェクト企画では多彩なイベントやコンテンツが設けられていたが、そのなかでも特筆すべきはやはり、プロセカ側の叡智と技術の結晶でもある“コネクトライブ”を活用した合同公演だ。今回はそんな2025年2月22、23日の2日間に渡って行われた、合同コネクトライブ特別版『プロジェクトセカイ×あんさんぶるスターズ!!Ensemble in SEKAI』の模様について、主に2日目昼公演の内容を中心にレポートする。

 日本有数の大規模音楽イベント【ASTRO FES】で、日頃は複合型芸能事務所ビル・アンサンブルスクエアで活動する4人のアイドルと、“アイドルとは異なるジャンル”で活躍するシブヤの高校生4人が出会い意気投合。フェス内コラボステージで共にショーを披露した後も、「彼らが一緒に活動する様子をもっと見たい」という聴衆の思いが集まり、そこから生まれたセカイで今回ライブが行われた、というあらすじが本公演の経緯となる。

 あんスタ側のアイドルは日毎に芸能事務所別での出演となり、2日目はフレッシュかつ王道のアイドル感ある面々が揃う事務所、ニューディメンションとスターメイカープロダクションの所属アイドルを中心としたラインナップに。両日で2コンテンツのキャラクター総勢80名以上が出演する大規模イベントとなった今回のライブ。双方のファンにとって特別なひと時となった本公演は、さまざまな見どころが満載のショーとなった。

 オープニングは1日目に引き続き、ボカロ曲コラボが追加発表されたALKALOID with東雲彰人&青柳冬弥による「フラジール」(作詞・作曲:ぬゆり)。冒頭からタッグ感満載の楽曲が披露され、思わず喜んだリスナーも大勢いたに違いない。

ALKALOID with東雲彰人&青柳冬弥

 演奏後はステージに初音ミクを含む両コンテンツのメンバーが登場し、本公演の開催経緯や意気込みなどを話したのちライブはいよいよ本編へ。トップバッターを務めたのは、プロセカ随一のエンターテインメントユニット・ワンダーランズ×ショウタイムだ。見る者を一瞬たりとも飽きさせない衣装チェンジも挟みつつ、「フィラメントフィーバー」(作詞・作曲:栗山夕璃)「太陽系デスコ」(作詞・作曲:ナユタン星人)の2曲を続けざまに披露。MCでは初めて彼らの公演に触れる聴衆に向けた、各々のキャラ立ちも明瞭なやりとりが繰り広げられ、最後は恒例の「わんだほーい!」という掛け声でステージを締め括った。

ワンダーランズ×ショウタイム

 今回コラボでも活躍した天馬司・神代類の紹介で続いて登場したのは、あんスタで最もフレッシュなアイドルユニットとなるSpecial for Princess!(以下、エスプリ)。キッチュでポップなハートの演出と共に「しょーがいゼッタイそーあい宣言♥」(作詞:松井洋平、作曲:本多友紀(Arte Refact))をパフォーマンスしたのち、入れ違いで舞台に現れたのはあんスタ内でも三大巨塔に数えられるアイドルユニット・Fineだ。王者の風格漲る「The Tempest Night」(作詞:松井洋平、作曲:陶山隼)の堂々たるショーに、圧倒されたプロセカファンもきっといたに違いない。

Special for Princess!

 直後のMCでは両ユニットのメンバーがステージに勢揃いし、会話の中ではベテランと新人という双方の立場を感じさせる一幕も。同時に従来のコネクトライブと同様に彼らが観客のコメントに反応するワンシーンも見受けられたが、これまでは原則アイドルからのアピールを一方的に受け取るのみのコンテンツ形式だったあんスタファンにとって、今回の応酬は非常に貴重な機会の一部だったのではないだろうか。

 対極性の強い2組の後にも、引き続きアイドルたちによるステージが繰り広げられる。続いて現れたのは、今回のコラボメンバーとしても活躍した守沢千秋率いる流星隊だ。派手な爆発演出にあわせ登場し「熱血☆流星忍法帖」(作詞:こだまさおり、作曲:ヒゲドライバー)を披露したのち、入れ替わりに登場したソロアイドル・Mamこと三毛縞斑は「愉快痛快 That's alright!」(作詞:ナオト・インティライミ&佐伯youthK、作曲:ナオト・インティライミ)を披露。5人と1人という人数的には真反対の2組だが、どちらもアグレッシブなステージングに定評のあるアイドルとなる。

流星隊

 直後のMCにも2ユニット6人が揃って登場。現・流星隊と元・流星隊というあんスタファンには良く見知った両者の顔馴染みな雰囲気が垣間見えつつも、プロセカファンにとっては今回のコラボで面識のできた守沢千秋の“ホームでの姿”を、あらためて見ることのできた一幕でもあっただろう。

三毛縞斑(左)

 にぎやかな舞台から一転、続いて現れたプロセカユニット・25時、ナイトコードで。によって会場の空気は一気に重厚感あるムードに。「演劇」(作詞・作曲:ナノウ)「エンヴィーベイビー」(作詞・作曲:kanaria)の2曲で趣の異なる側面をアピールしつつも、MCではいつも通りやや落ち着いたトーンで、互いへの確かな信頼が滲むやりとりを見せてくれる。

25時、ナイトコードで。

 彼女らの作った緊張感の漂う空気を、後続で一手に引き受けたのはLeo/need。演奏されたのは「STAGE OF SEKAI」(作詞・作曲:針原翼(はりーP))「カゲロウデイズ」(作詞・作曲:じん)という、プロセカあるいはボカロカルチャーの“顔”とも呼ぶべき代表的なナンバーだ。曲中の歌詞に合わせた特効演出や生バンド感満載のアイコンタクトを交えたプレイも、非常に印象的なハイライトのひとつ。彼女らのアピールポイントでもある真摯さの滲むMCの後、ここからは再びアイドルたちによるパフォーマンスのターンとなる。

Leo/need

 プロセカ組の作った実直なムードの中現れたのは、こちらも直近でコンテンツ主人公格ユニットとして自らの目標にひた走った4人組・ALKALOIDだ。数ある楽曲の中でも、冒頭に披露した「フラジール」とも地続きになるクールでスタイリッシュなテイストの難曲「Black Out See Saw」(作詞・作曲:TK(凛として時雨))というナンバーチョイスも、ファンとしてはたまらないものだったはず。

ALKALOID

 トランプ兵をモチーフとする彼らに続き登場したのは、その名の通り騎士の名を冠したアイドルユニット・Knights。メンバーの一人は今回コラボで、青柳冬弥ほかプロセカ男性陣をリードする立ち回りが印象的だった瀬名泉である。「Fight for Judge」(作詞:松井洋平、作曲:Dr. Lilcom)で客席に見せつけたベテランの風格からも、彼の矜持であるストイックなアイドル活動の片鱗を垣間見た人々もいたに違いない。

Knights

 2ユニットのパフォーマンスならびに合同MCののち、「次のステージも我々と同じくアイドル」という示唆どおり、舞台の暗転・ムービー演出を経て現れたのはMORE MORE JUMP!の面々だ。披露された「ワールドワイドワンダー」(作詞・作曲:TOKOTOKO)「きゅうくらりん」(作詞・作曲:いよわ)の2曲はあんスタ陣のステージとの連続性によって、男女アイドルそれぞれのムードの差異を楽しめるショーともなった。くわえてプロセカ組の中でもずば抜けた安定感を誇る“初心者に向けたメンバー紹介”に、こちらもアイドルとしての矜持を感じたファンもきっと多かっただろう。

MORE MORE JUMP!

 そんな彼女らから会場の空気を引き継ぎ、プロセカユニットのトリを飾ったのはVivid BAD SQUAD。衣装とあわせて大胆なヘアスタイルチェンジも「マーシャル・マキシマイザー」(作詞・作曲:柊マグネタイト)「ULTRA C」(作詞:Reol、作曲:Giga & TeddyLoid)の間に挟みつつ、爆発力あるパフォーマンスで会場のボルテージを一気に高めていく。圧巻のステージののちメンバー紹介を経て、今回コラボでも活躍した男性陣2名のMCでアイドルたちへ最後のバトンが渡される。それを受け取ったのはあんスタのSwich、そしてTrickstarだ。

Vivid BAD SQUAD

 事前開催のプレライブにも登場していたSwitchだが、メンバーの逆先夏目はコンテンツ内コラボユニットや前日のシャッフルメドレーでもユニット・EVIL NUM+として参加。本公演ではまさに八面六臂の活躍を見せている。そんな彼らによる「Brilliant Smile」(作詞:松井洋平、作曲:R・O・N)パフォーマンスの後、これまでとは少し違う流れで先行して2ユニットによるMCタイムが挟まれた。

Switch

 年代の近しい面々による和やかな会話の後、自身の名刺的な1曲となる「Welcome to the Trickstar Night☆」(作詞:こだまさおり、作曲:ヒロイズム)を披露したTrickstar。そして公演もここからいよいよ終盤戦。ステージングを終えた彼らとバトンタッチし、始まったのはあんスタ内スペシャルユニット3組によるシャッフルメドレーだ。

Trickstar

 2日目の公演で披露されたのは、瀬名泉擁するXXVeilによるボカロP・baker作曲の「Midnight Butlers」(作詞:こだまさおり)。そして守沢千秋、逆先夏目擁する√AtoZの「デートプランA to Z」(作詞:こだまさおり、作曲:Tom-H@ck)、月都スペクタクルによる「ムーンライトディスコ」(作詞:こだまさおり、作曲:BRADIO)の計3曲。初日公演に登場したEdenやCrazy:B、紅月といったユニットの一部メンバーも交え、総じて華やかなムードのスペシャルメドレーが繰り広げられる。

月都スペクタクル

 そして公演本編の最後を飾ったのは、プロセカというコンテンツ、そしてボカロシーンの中枢を担うバーチャルシンガー6人による「アイムマイン」(作詞・作曲:halyosy)。楽曲後には初音ミクらによる自己紹介や本公演の総括的なMCが展開され、あわせてライブ本編がここで終了であることも告げられた。

 言葉通りステージから彼女らが捌けたのちバーチャル会場の客電も一度明るくなるものの、客席からのアンコールに応えやや時間を置いた後に画面が暗転。再度明るくなった舞台上には、今回コラボで活躍したプロセカ男性陣4人と鏡音レン・KAITOのバーチャルシンガー男性陣の計6人の姿が現れる。やや異色な組み合わせのシャッフルユニットでコンテンツ初のお披露目となった「Fire◎Flower (Rerec)」(作詞・作曲:halyosy)に、大勢のファンから驚きと感激の声が挙がった一幕も非常に印象的だった。

 大量の花火に彩られたステージングののち、先ほどの6名と今回あんスタから“出張”してきたアイドル4名の計10名が舞台上に集結。公演のアンコールMCで恒例となった鏡音レンからの出題に合わせ、コラボでタッグを組んだ2人1組でのアピールを繰り広げつつ、いよいよ次曲でアンコールもラストステージに。最後は大勢の観衆が待ちわびたコラボ書き下ろし楽曲「フュージョン」(作詞・作曲:DECO*27 (OTOIRO))を総勢10人による圧巻のパフォーマンスで披露し、ライブは無事大団円で幕を下ろした。

 各コンテンツにとって、新たな取り組みが満載となった本コラボ。くわえて双方のファンにとっては、各コンテンツの面々の新たな表情が垣間見えた点も大きな収穫だったはずだ。

 従来は近しい世代で切磋琢磨し合っていたプロセカ陣のファンにとっては、“パフォーマンスのプロ”の背を追って自らを磨く彼らを見守る機会に。そしてあんスタ陣のファンにとっては、常日頃同業者の中で日常を送る彼らがあらためて外部の人々へ“アイドル”として振る舞う場に立ち会う機会ともなったことだろう。今後も2コンテンツによる相互交流を欲深く願うのは、きっと双方のファンである筆者だけではないと信じたい。

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