『プロセカ』のユニットたちがオーケストラと共鳴 “音楽の力”を示した『セカイシンフォニー』レポート

「セカイシンフォニー 」レポート

 セガ×Colorful Paletteが贈る、iOS/Android向けリズム&アドベンチャーゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』の楽曲をフィーチャーしたオーケストラ+スペシャルバンドによるコンサート『セカイシンフォニー』が10月16日、パシフィコ横浜・国立大ホールにて、昼・夜の二部構成で開催された。

 それぞれに強い想いを持つ少年少女たちが、現実世界と彼らの心から生まれた「セカイ」を行き来し、初音ミクをはじめとするバーチャル・シンガーたちと出会い、本当の想いに気づくことで「Untitled(アンタイトル)」という楽曲に歌詞をメロディを見出すーー。まさに現実のボカロPや歌い手、そしてリスナーたちが経験してきた“音楽の力”を体現したような物語の集合体が、『プロジェクトセカイ』(プロセカ)だ。個性的で愛すべきキャラクターと、第一線で活躍するクリエイターによる質の高い楽曲が人気を呼び、多くのファンを抱える一大コンテンツとなった。そんな『プロセカ』を代表する楽曲たちが、東京フィルハーモニー交響楽団&スペシャルバンドの手により演奏されるというのだから、盛り上がらないはずがない。本稿では、夜の部の公演を振り返ろう。


 オープニングを飾ったのは、DECO*27×堀江晶太(kemu)の書き下ろしによる、『プロセカ』のテーマソング「セカイ」。大スクリーンに流れる映像と煌びやかな照明、『初音ミクシンフォニー』でもお馴染みの栗田博文の指揮による一糸乱れないオーケストラと、違和感なく溶け込むドラムスや電子楽器たち。そこにキャラクターたちの伸びやかな歌声が重なり、一瞬で物語の世界に観客を引き込んでいく。作品の内容と深く相関する歌詞は当然、ファンの心に突き刺さるが、<もらったバトンは勇気に/ありがとうは歌声に><ほら怖くて震える手でビート刻めば/夢も近いじゃない?/僕らひとりじゃない>というフレーズは、コロナ禍の閉塞感がまだ続く中で会場に足を運んだ、すべての観客に響いたはずだ。


 『プロセカ』では5つのユニットが存在しており、それぞれ「バンド」「アイドル」「ストリート」「ミュージカル」「アンダーグラウンド」の音楽性を持っている。華々しいオープニングから、各ユニットがそれぞれの「セカイ」で想いを語る映像を交え、次々と個性あふれるステージを展開していった。

 まずスクリーンに登場したのは、シブヤの宮益坂女子学園に通う幼馴染の女子高生4人で結成されたバンドユニット「Leo/need」。演奏された楽曲は、オープニングのピアノが美しく、疾走感のあるバンドサウンドにストリングスが映える「ステラ」(じん)と、希望と諦念が入り混じるメロディと歌詞に切なさが香る「霽れを待つ」(Orangestar)と、いずれ劣らぬ人気曲だ。あくまでバンドの音を活かしながら、オーケストラがそれを土台から大きく持ち上げるような、力強く華やかなサウンド。一瞬を永遠のように生きる少女たちの輝きがそのまま伝わってくるような名演だった。


 続いて登場したのは、同じく宮益坂女子学園の4人組アイドルユニット「MORE MORE JUMP!」。Junkyらしい、可愛らしい楽曲「アイノマテリアル」は、冒頭からハーモニーの美しさが強調され、少し大人な雰囲気に。そして、強烈な個性を持ちながら、提供曲では常にアーティストによりそうナユタン星人が手掛けた楽曲「モア!ジャンプ!モア!」は、細かいビートを活かしながらどこかゆったりと感じるアレンジが効果的で、愛らしく、しかし一筋縄ではいかないメンバーの魅力を引き出していた。


 そして、オーケストラとの融合が最も想像できなかった、男女混成4人組のストリートユニット「Vivid BAD SQUAD」。ラップを邪魔せず、うまく空間を作りながら、オーケストラがスタイリッシュな世界観を盛り上げた「Ready Steady」(Giga)、対照的に流れるようなストリングスとピアノのフレーズが緊張感と美しさを演出した「RAD DOGS」(八王子P)と、一流の奏者たちが懐の深さを見せつけたステージだった。


 次の一曲は、Mitchie M×Gigaによるもうひとつのテーマソング「ワーワーワールド」だ。歌詞にもあるように、憂鬱を蹴散らしてくれるような爽快感、開放感をストリングスが強調し、こちらも出色の演奏に。後半は何が起こるのか、期待感を膨らませた。


 20分間の休憩を挟み、登場したのは作中のテーマパーク「フェニックスワンダーランド」の舞台で活躍する高校生4人によるショーユニット「ワンダーランズ×ショウタイム」。1曲目に披露された「セカイはまだ始まってすらいない」は、一聴して楽しく弾むような楽曲だが、歌詞に耳を傾けると深く考えさせられる、ピノキオピーの真骨頂と言える楽曲だ。行進曲のような軽快さのなか、裏で走るストリングスの音色はどこか寂しくもあり、楽曲のコンセプトに寄り添ったアレンジに頭が下がる。


 そしてここで、ワンダーランズ×ショウタイムより、天馬司役の廣瀬大介、草薙寧々役のMachicoがゲストとして登場。息の合った掛け合いで会場を沸かせたあと、今年10周年を迎えた人気キャラクター「ミクダヨー」&草薙寧々の分身ともいえる「ネネロボ」を呼び込み、生歌でスペシャルメドレーを披露した。ポップかつジャジーな「Glory Steady Go!」(キノシタ)は、オーケストラとの相性が抜群。そして「スイートマジック」(Junky)&「ミラクルペイント」(OSTER project)と、ステージ映えする廣瀬&Machicoの歌唱が、ボカロファンなら誰もが知る名曲を彩った。



 コンサートも終盤、無機質なセカイから登場したのは、謎の音楽サークル「25時、ナイトコードで。」。「アンダーグラウンド」の音楽性を持つ4人が届けるのは、尖った楽曲揃いだ。1曲目に披露されたのは、「うっせぇわ」でも知られるsyudouが手掛けた「ジャックポットサッドガール」。音楽とともに前に進もうとするメンバーの想いを汲み取った楽曲で、どこか懐かしいメロディに金管楽器の音色がよく合う。2曲目の「アイディスマイル」(とあ)は、整理できない気持ちが複雑なリズムに表れた人気曲だが、オーケストラアレンジにより、心地いい浮遊感とともに包み込まれるような感覚があり、それぞれに深い悩みを抱えるメンバーの心を束の間、癒すような優しさにあふれていた。


 そして本編の最終曲は、オープニングを飾った「セカイ」のインスト版という、嬉しいサプライズだった。ゆったりと響くオーケストラのハーモニーに集中して耳を傾ける、贅沢な時間。セクションごとに光が当たるパートを設けた構成で、あらためて演奏技術の高さに唸らされた。

 鳴り止まない拍手に応えたアンコールでは、スクリーンに各グループのメンバーが大集合。Ayaseによる「シネマ」、そしてsasakure.UKの「トンデモワンダーズ」と、今年で15周年を迎えたKAITOをフィーチャーした豪華2曲がメドレーで披露され、エンディングに向かう。最後の一曲は、『プロセカ』1周年のアニバーサリーソングとしてEveが書き下ろした「群青讃歌」だ。悩みも悲しみも振り切って走り出したくなるような希望に満ちた楽曲だが、特にオーケストラによりスケールアップして届けられたオチサビは、観客の多くが鳥肌を立てたことだろう。


 ボーカロイド楽曲にフォーカスしたオーケストライベントといえば、『初音ミクシンフォニー』が好評を博しており、ボカロ曲がクラシカルに響くことへの感動をもらってきた。比較して『セカイシンフォニー』は、照明や映像を中心とした煌びやかな演出が多く、よりモダンな楽しさに満ちていたように思う。いくつもの物語が共有されたステージを見つめ、観客は「ブラボー」の代わりに大きな拍手を送り続けていた。

セカイシンフォニー


10/16(土) パシフィコ横浜 国立大ホール
昼公演
13:00開場/14:30開演
夜公演
17:30開場/19:00開演
指揮:栗田博文
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団・セカイシンフォニースペシャルバンド
スペシャルゲスト:廣瀬大介・Machico

■セカイシンフォニーBlu-ray&CD
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■セカイシンフォニーオフィシャルグッズ事後通販
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■セカイシンフォニー
オフィシャルサイト:https://sp.wmg.jp/sekaisymphony/
オフィシャルツイッター:https://twitter.com/sekaisymphony

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