声優・来栖りんが語る“ゲームで取り戻した青春”　『VALOLANT』は「座学も含めて楽しい」

　ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や、ゲームから受けた影響などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。今回話を聞いたのは、『ラブライブ！蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』の「安養寺姫芽（あんようじ・ひめ）」役をはじめ、アーティストとしても活動する声優・来栖りんだ。

　「分厚い攻略本を持って遊びに出かけていた」とゲーム愛を披露する来栖。今回は『VALORANT』で青春を取り戻したエピソードを含め、新作ビジュアルノベルゲーム『桜色の夢を見て、僕は君に恋をする』でメインヒロインを演じた心境についても語ってもらった。（龍田優貴）

面白いなら飛び込むしかない――『ELDEN RING』で見出したゲームの深み

――まずは、来栖さんが「人生で一番最初に遊んだゲーム」についてお聞かせください。

来栖りんさん（以下、来栖）：覚えているものだと、お母さんのニンテンドーDSiで遊んだ『やわらかあたま塾』ですかね。私のソフトじゃないですけど、文字の書き取りとかクイズで遊んでいたと思います。

　初めて自分から興味を持ったのは「どうぶつの森」シリーズです。福岡に従兄弟のお姉ちゃんとお兄ちゃんがいて、夏休みになったらお婆ちゃんの家でその2人によく貸してもらっていました。

――その後も引き続きゲームに興味を持って生活されていましたか？

来栖：はい。周りよりもゲームが好きな子だったんですよね。例えば「ポケットモンスター」だと、辞書ぐらい分厚い攻略本をずっと抱えて、どこかへ遊びに行くときも持ち歩く……みたいな（笑）。

――意外な光景ですね（笑）。当時から複数人で集まってゲームで遊ぶ機会は多かったのでしょうか。

来栖：友だちと集まってゲームをやり込むのは、中学時代に「モンスターハンター」で目覚めましたね。それより前は1人で黙々と遊ぶのが好きでした。いまはその逆と言うか、ゲーミングPCを買ったのがきっかけで一気にゲーム友だちが増えました。

――PCゲームだとマルチプレイ対応ゲームも遊びやすいと思われます。結果的にターニングポイントになったのでしょうか。

来栖：そうです。いま仲良くしてくれている子たちに、ゲームをやっていない子は多分1人もいなくて。プライベートでお話している友だちは全員ゲーマーみたいな。みんな共通の趣味があるから仲良くなれるし、私も家に帰ったらフレンドが建てたDiscordのサーバーに入ってずっと遊んでいます（笑）。

――ゲーミングPCを購入されたのはいつごろのことでしたか？

来栖：3年ほど前ですね。そのちょっと前はPlayStation 4で『ELDEN RING』に異常にハマってました。それまでは“死にゲー”と呼ばれる高難度ゲームをプレイしたことがあまりなくて。しいて言えばPlayStation Vitaのキルゾーン（『KILLZONE: Mercenary』）を遊んだぐらいでした（笑）。

――興味深いゲーム遍歴ですね。『ELDEN RING』からゲーミングPCへ移行した経緯をお聞かせください。

来栖：キルゾーンもやり込んでいたわけじゃないですけど、『ELDEN RING』は難しいと聞いてたので逆に興味が湧いたんですよね。「じゃあやってみたいな」って。そこから『ELDEN RING』のマルチプレイで遊ぶコミュニティを知って、PS4のパーティーチャットに入って他の人とプレイしていました。

　その後はもう早かったですね。オンライン経由でお友だちも増えたし、「こんなに面白いならゲーミングPCを買おう！」と即決でした。

『VALORANT』がくれた、ゲームでの“青春”と熱中

――ゲーミングPCを購入がきっかけで熱が入ったとお聞きしましたが、現在よくプレイされている作品について教えていただけますか？

来栖：いまメインで遊んでいるのは『VALORANT』です。それ以外にも『マインクラフト』や『7 Days to Die』のマルチプレイ用サーバーをフレンドが建ててくれるので、みんなと一緒にプレイすることもあったり。でも、ずっと誰かしら継続して遊んでいるのはやっぱり『VALORANT』ですね。

――現在も継続して遊んでいると。ゲーミングPCを買った当初から『VALORANT』に興味があったのでしょうか。

来栖：最初からすごく興味があったわけじゃなくて。当時は「せっかくだからPCでしか遊べないゲームをやろうかな」と考えてたんですよ。そのとき、中学時代のお友だちに「めっちゃ面白いから！」と誘われたのが『VALORANT』だったんです。

――それまで来栖さんが遊んでいた作品とは異なるゲーム性ですが、『VALORANT』に対する第一印象はいかがでしたか？

来栖：最初は本当にハマりませんでした（笑）。それまでちゃんとFPSをやってこなかったし、ゲーム性を理解するのが難しくて。それに人とコミュニケーションを取ってプレイすることの難しさもありますよね。

　フレンドと遊んでいるときも、「なんでいまエントリーしないの？」って誰かが言い合いになったり。だから最初はキツかったんですけど、だんだんとガチで遊ぶうちに熱中するようになったんです。あの経験は初めてでしたね。

――めげずに遊び続けるうちに、タクティカルシューターの魅力にハマっていったと。

来栖：『VALORANT』って、選んだエージェント（キャラクター）の特性によって、やらなきゃいけないことが明確に分かれているじゃないですか。だから、失敗したら分かりやすいゲームだと思っていて。最初は難しかったんですけど、次第に「部活みたいで面白いな」って気付いたんですよね。ガチで遊べば遊ぶほど燃えるというか、あの熱さはゲームの枠に留まらない気がします。

――勝利を目指すからこそ、一緒に熱くなれるのかもしれませんね。ゲームプレイ以外にも攻略動画などをチェックされたりしますか？

来栖：動画もよく見てます。アナログかもしれないんですけど、YouTubeでプロゲーマーの方が投稿している動画をチェックしつつ、定点（※1）をスクショしてフォルダ別に保存しています。『VALORANT』は座学も含めて楽しいんですよね。

　私は学生のころから仕事三昧だったので、みんなと一緒に何かに打ち込む経験があまりなくて。大げさかもしれないですけど、みんなと一緒にFPSで青春を取り戻した気がします。

――『VALORANT』に対する熱意から来栖さんのゲーム愛が伝わってきました。

来栖：なにかを人に布教するのが好きなので、考えていることを言語化するのは得意かもしれないです。だから私がゲームにハマっているのを知ったファンの方々も、「一緒に始めました！」「PC買いました！」と言ってくれる人が割と多くて。そういう風に交流の輪が広がっていくところもゲームの面白いところですね。

※1：タクティカルシューター作品において、ガジェット効果を最大限に発揮できる各マップの地点（例：VALORANTのリコン定点／スモーク定点など）

演じる側としてゲームの世界へ――ヒロイン「チェリー」との出会い

――来栖さんは、新作ビジュアルノベルゲーム『桜色の夢を見て、僕は君に恋をする』にて、主役「チェリー」を演じています。ヒロイン役が決まったときの心境についてお聞かせください。

来栖：感動しちゃいました。自分が子供のころから遊んできたゲームという分野で、しかもメインヒロインの役をいただいたのは人生初だったので。これはゲーム好きならではの喜びだと思うんですけど、自分みたいなゲーム好きの人たちに遊んでもらえることを想像するだけでもうれしいし、やっぱり特別な意味があるなって思いました。

――来栖さんは自身が演じるチェリーに対し、どのような印象を受けましたか？

来栖：チェリーを最初に見たときは、「包容力がある優しいお姉さん」みたいなイメージだったんですよ。見た目もかわいらしいですし。けれど声を当てていくうちに、「チェリーって実は意外と抜けてるな」と思ったんです。そこにすごく魅力を感じましたね。

――チェリーの内面に秘められたギャップに心惹かれたのですね。

来栖：チェリーのことを「放っておけない」と思うようになって。こっちが守ってあげないといけないというか。それに、チェリーは相手の幸せを一番に願う子なんですよ。自分のしたいことがあるはずなのに、「誰かのために」って動いちゃうところが。だから子どもっぽさもあり、すごく大人な一面もある不思議でかわいい女の子だと思いました。

――セリフを収録するにあたって、来栖さんが意識したポイントはありますか？

来栖：収録は割と自然体なイメージで臨みました。“素の来栖りん”に近いというか、音響監督からも「キャラクターっぽくしなくていいよ」と教えていただいたので。普段はもっとキャラクターを作って演じる機会が多いので、そういった意味で新鮮に感じたし、自然体だからこそチェリーに対してより愛着が湧きました。

――ボイスの収録をはじめ、来栖さんはチェリー役でキャラクターソング（キャラソン）も歌唱されています。

来栖：そうですね。今回はチェリーのキャラソンを担当させていただいて、「楽曲を通して作品の解像度が上がる」瞬間があらためて面白いと感じました。「ここの曲調と歌詞があのシーンにリンクしてる！」みたいな。

　私が好きな楽曲で例えると、「物語」シリーズに『恋愛サーキュレーション』と『もうそう♡えくすぷれす』というキャラソンがあるんですよ。どちらも「千石撫子」ちゃんの歌ですけど、一方はかわいい歌詞でもう一方はドロドロしてるんです。

　『もうそう♡えくすぷれす』には『恋愛サーキュレーション』の逆再生がメロディに使われていて、曲を聴きながら「なんで怖い歌詞になったのかな？」って思ったりします。そういう風に、曲を通して作品やキャラクターを自分なりに解釈するのがすごく好きですね。

――声優として携わりたい仕事や演じてみたいキャラクターなど、今後の目標についてもお聞かせください。

来栖：まだ演じたことのない悪役みたいなキャラに声を当ててみたいです。あとは……もし願いが叶うなら『VALORANT』のエージェントを演じてみたいですね。やっぱり自分が一番好きでやり込んでいるゲームなので。

　『VALORANT』って、「レイナ」や「フェイド」みたいな大人の女性が揃っているんですよ。もちろん「クローヴ」とか「アストラ」みたいな子もいますけど、全体的に落ち着いていると言うか。だから機会があるかは分からないですけど、そのときが来たらもう血眼で挑ませていただきます（笑）。

　それにいまは正統派だけじゃなく、自分とかけ離れたキャラクターも演じられるようにずっと練習していて。いつか普段の来栖りんとは違う、ギャップが感じられるキャラクターにも声を吹き込んでみたいですね。

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■ゲーム情報
タイトル：桜色の夢を見て、僕は君に恋をする
プラットフォーム：Windows®（Steam）/ Nintendo Switch™
ジャンル：ビジュアルノベルゲーム
価格： Steam版3,749円（税込）/ Switch版3,980円（税込）
プレイ人数：1人
配信開始日：2025年7月31日
キャスト：来栖りん、水野朔、内山悠里菜、春咲暖、村上まなつ、波多野翔、他
対応言語（UI・メッセージ）：日本語/中国語（簡体字/繁体字）/英語/韓国語
発売元：株式会社オペラハウス
パブリッシャー：株式会社オペラハウス

Nintendo Switch版ストアページ：https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000099396
公式WEBサイト：https://sakurairo.operahouse.co.jp
オペラハウスゲーム部公式X：https://x.com/OPERAHOUSE_game