『ZAIKO』がチケッティングとストリーミングの両軸で描く“成長戦略”

ストリーミングと相性の良いノンミュージックジャンルを強化
ーー2019年にサービスを開始したZAIKOですが、当初はクラブイベントやフェスのチケットを中心に取り扱っていました。それがいまでは多種多様なジャンルに拡大していますが、その狙いはどこにあるのでしょうか。
島田:もともとクラブ系のイベントプロモーションを行っていたiFLYERからチケッティング部門を独立させたこともあり、最初はその流れを引き継ぐようにクラブ系イベントに特化していました。しかしビジネスとして成長を目指すには、ある特定の分野だけではなくマルチジャンルでの展開が必要となります。
ライブエンターテインメント市場全体は7,000億円規模に上るといわれていて、とくにチケットぴあやe+、ローソンチケット、楽天チケットなどの大手プレイガイドは、メジャーアーティストをターゲットにチケットを取り扱っています。
一方で、我々は大手プレイガイドの手が届きにくい新たなニッチ市場や、海外からのインバウンド向け対応、急速に成長しているジャンルに注力してビジネスを行っています。音楽系イベントのほかにも、VTuberやeスポーツ、アニメ関連やボディビルのイベントなどの“ノンミュージックジャンル”も直近では強化しています。
とくに、VTuberやお笑いといったジャンルはストリーミングと非常に相性が良いと感じていて、ZAIKOでも取り扱うチケットが増えるなど急成長しています。
音楽は、ライブやフェスなど実際にその場へ行って体験することに楽しさがあり、アーティストと一緒に時間を共有する“体験型コンテンツ”ですが、お笑いやVTuberのコンテンツは自宅でひとりでも楽しめるのが大きな特徴です。
また、日本のeスポーツは他国と比べて成長が遅れているものの、昔からゲーム文化が根強いことから、今後さらに盛り上がることが期待されますし、ビジネスや教養の講演会なども多くのユーザーから関心を集めています。こうした“イベント型コンテンツ”の裾野をより広げていくことを念頭に置いています。
このように伸びてきているジャンルをさらに深掘りしつつ、大規模な案件の獲得も注力していて、『World DJ Festival』のようなイベントではほかの大手プレイガイドと並んで当社も参加し、そこでの販売ボリュームを確保する戦略をとっています。
継続収益を得るために、熱量の高いファンが集まる定期イベントを狙っていく
ーーほかの電子チケット販売プラットフォームとの差別化はどのように図っているのでしょうか。
島田:私たちの開発チームは多国籍で構成され、CTOは元々Facebook(現 Meta)のエンジニアだった人物なので、海外のお客様向けのUI/UX設計には非常に強みがあります。たとえば『ULTRA JAPAN』などのフェスでは私たちがチケット販売の一部を担当し、インバウンドのお客様向けに多くのチケットを提供しました。
2024年の開催時には2日間で約1万枚のチケットを販売するなど、各フェスやイベントにおける海外のお客様を集客できる面はZAIKOの優位性につながっています。
チケッティングのソリューションは非常に細かく、決済方法も多様な選択肢が求められます。クレジットカード決済やコンビニ決済などの対応が必要で、不正転売や不正利用を防ぐ仕組みも重要です。
ZAIKOでは海外ユーザーに向けた多言語展開や海外クレジットカードの利用への対応など、国内外の幅広い利用用途を見据えた機能を充実させています。将来的にはダイナミックプライシングの導入や公式のリセール機能など、市場のニーズに応じて、必要な機能を着実に開発・提供していく予定です。
そして、イベント主催者の管理画面では、チケット購入者の属性や統計のデータをリアルタイムに可視化できるため、数字にもとづいた販促企画に活かせるのもZAIKOの特徴となっています。
ーー直近ではAKB48の劇場公演やコンサートのチケットが一覧で見れるサイトを立ち上げました。個別のアーティストに特化したチケッティングも強化していくのでしょうか?
島田:AKB48を運営するDH社とパートナーシップを結び、我々がAKB48のチケッティングのサポートを行っています。今後、同様のやり方でほかのアーティストとも連携していき、パートナーシップ事業の拡大を考えています。
また、毎年・毎月・数か月ごとにレギュラーで開催されるイベントは固定のファンがしっかりとついているのでリピート率も高く、リカーリングビジネスの構築にもつながります。
熱心なファン層を持つお笑いやゲーム、アニメといったジャンルは、イベントの開催ごとに一定の動員が見込め、継続的なチケッティングの機会が生まれやすいことから、そうした分野にも積極的にアプローチして継続的な収益を得られるようにしていきたいですね。





















