映画『ベイビーわるきゅーれ』出演でも話題 俳優とYouTuber“2足のわらじ”で歩む劇団かいばしらが明かす「語り手の役割」
コンプレックスの壁を乗り越え、見据える未来
ーー映画の語り手として活動するなかで、映画への向き合い方に変化はありましたか?
かいばしら:最近はあえて何も情報を入れずに、まっさらな状態で見るようにしています。たとえば作品のなかで頭に残るカットがあれば「あぁ、これは監督の性癖なのかな」と、以前は、変な詮索というか偏見を持って見ていたのですが、勝手にこちらが作り手側の人間性に当てはめるのはやめようと思ったんです。
実際監督が好きだからそういうシーンが入っている場合がほとんどではあるんですけど、それがすべてではないので。監督の特徴や作り手の癖なんかを知っていた方が、深い人間に見えるじゃないですか。最初は躍起になってそんな見方をしていたんですけど、勝手に結びつけるのはやめて、まずはそのまま受け取って、いまはファーっと浴びるように見ています(笑)。
ーー動画で語っているかいばしらさんは、まっさらな状態ということですね。
かいばしら:パンフレットも見ないですし、同じように映画の語り手として活動している友達の動画も見ません。本当はめちゃくちゃ見たいんですけどね!(笑)。撮影が終わったらいろいろと調べますが、撮影時は浅い知識のままじゃないとダメなんです。余分なものが入る前の、1番上澄みの状態で語りたいので。僕はとくに流されやすい性格ですし、知ってから話すとカッコつけちゃうから(笑)。知識よりも感情を大切にしたいですね。
ーー現在は、映画『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』や、『つづ井さん』(読売テレビ)、ほかにもCM出演など、徐々に俳優としても活躍されているかと思います。過去に「挫折した」という経験についてお伺いしましたが、改めて俳優業にはどう向き合っているのでしょうか?
かいばしら:YouTubeが軌道に乗って少し経った2021年ごろから、またコンプレックスが強くなっていきました。映画を見ているとやっぱり俳優として参加したくなるし、これは僕の勝手な思い込みですけど、スクリーンから「映画に食わせてもらっている」と言われてるような、挫折感を味わいます。結局人様のコンテンツを語らせてもらって生活しているので、僕の力はほとんど介在していない、いわゆる“映画のヒモ”状態なんです。
そうなったときに、自分の力で挑戦したいものってなんだろうと考えると、やっぱり俳優業でした。それが、再挑戦をしたきっかけです。
ーー今後、俳優業とYouTubeの2軸でどのように活動していきたいですか?
かいばしら:俳優でいうと、僕はYouTubeから来ている人間です。しかもYouTubeでは映画を語っています。でも、だからこそできることもあると思っていて。演者って、立場的に映画の感想を言いづらい部分があるんです。気軽に「面白かった」「合わなかった」と発言するのは難しい。そういう風通しの悪さみたいなものを、もしかしたら少しだけでも変えられるんじゃないかなと思っています。なんかすごく偉そうなことを言っているように感じてしまうかもしれませんが……。世のなかの作品は汗水垂らして、寝る間も惜しんで作られたものなので、そこに俳優として何か関わらせてもらえたら嬉しいですね。
YouTubeでいうと、映画以外にも小説やドラマなども語らせていただいています。最近は本が読めるようになりました!(笑)。小説が本当に面白くて。映画に関わらず、世の中には楽しいものがまだたくさんあるんだなと、改めて実感しています。自分自身も楽しいと感じたものは、今後もどんどん発信していきたいですね。
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