映画『ベイビーわるきゅーれ』出演でも話題 俳優とYouTuber“2足のわらじ”で歩む劇団かいばしらが明かす「語り手の役割」
YouTubeやTikTokなどのSNSでは、さまざまなコンテンツを紹介する“語り手”として活躍するクリエイターが存在する。小説や漫画、映画にドラマなど、取り扱うジャンルは多岐にわたる。
今回は、YouTube界の映画の語り手として、トップクラスの認知度を誇る劇団かいばしらにインタビュー。YouTubeを通して映画の世界を発信する楽しさや難しさ、自身の挫折経験や俳優業など、クリエイターとして、そしてひとりの人間として、いま見えている世界を語ってもらった。
「映画なんて絶対見たくない」から開いた扉
ーー劇団かいばしら(以下、かいばしら)さんがYouTubeを始めたきっかけについて、教えてください。
かいばしら:僕はもともと、ニコニコ動画で活動していたんです。そのときはゲーム実況をしていたんですけど、2018年ごろにYouTubeが台頭して、発信の場をYouTubeに移しました。最初は「福袋買ってみた」とか、「変なおもちゃ買ってみた」とか、いわゆるザ・YouTuberのような企画を投稿していたんです。
ーー昔から発信活動をしていたのですね。
かいばしら:実はYouTubeを始める前、20代前半のころに俳優を目指していたんですけど、挫折してしまった経験があって。それからはコールセンターのバイトや事務作業など、いろんな仕事を転々としていたんですけど、そういう仕事がどうしても続けられなくて……。もともと、何か自分でやりたいという欲はありましたね。
ーー俳優を目指していたからこそ、現在映画の語り手として活動しているということでしょうか?
かいばしら:いや、むしろ最初は「映画なんて絶対見たくない」と思っていました(笑)。自分が立てないステージに立っている人たちを見るだけで、「あーもう嫌だ」みたいな気分になってしまって。しばらくのあいだは映画を見られなかったんですけど、ふとしたきっかけでちょっとだけ映画を見たんです。もう横目でチラッとという感じですけど(笑)。そしたら……やっぱり面白かったんですよね。そのとき見た映画は少しかための作品だったので、ほかにも好きだった『恐怖の森』という映画を、試しに動画で紹介してみたんです。そしたらたくさん反応をいただいて、「あ、僕は俳優はできなかったけど、語るのはありなんだ」って思ったのが、いまの活動のきっかけですね。
ーー映画は見たくないというところから、かなり逆にいきましたね(笑)。
かいばしら:そうですね(笑)。いまでもコンプレックスではあるんですけど、結果的によかったと思っています。当時はYouTubeとなんでも屋で生計を立てていたんですけど、コロナ禍に突入してなんでも屋を続けられるような状況ではなくなったので、生活の面でもギリギリなんとかなったんです(笑)。本当に奇跡的なタイミングで、みなさんから反応をいただくことができました。