『PS5 Pro』試遊で実感した性能面の進化 太陽光の反射や“モフモフ感”も超リアル!

『PS5 Pro』試遊で実感した性能面の進化

 11月7日に発売予定のPlayStation 5 Pro(以下、PS5 Pro)。現在発売されている通常のPS5から性能が強化されたモデルであり、アップグレードされたGPUや、進化したレイトレーシング機能、AIによる解像度アップスケールといった特徴を持った、まさしく家庭用ゲーム機におけるフラッグシップモデルのような位置付けの製品だ。日本でも9月30日より予約受付が開始されており、なかでも初代PlayStationをモチーフとしたデザインが特徴の「PlayStation 5 Pro 30周年アニバーサリー リミテッドエディション」は、限定生産ということもあって大きな話題となっている(こちらは11月21日発売予定)。

 9月26日から29日にかけて開催された「東京ゲームショウ2024」のPlayStationブースでは、『モンスターハンターワイルズ』や『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』といった話題作に加えて、PS5 Proについても試遊出展が実施されていた。本稿では、実際に試遊に参加した筆者によるレポートをお届けする。

■リプレイ映像に圧倒された『GT7』、驚きのモフモフ感を実現した『FF7リバース』

 今回、PS5 Proの試遊タイトルとして用意されたのは、PlayStation 5用タイトルの中でも特にグラフィック面で定評のある『グランツーリスモ7』(以下、『GT7』)と『ファイナルファンタジーVII リバース』(以下、『FF7リバース』)。試遊時間はそれぞれ20分となっており、今回のために用意された、ゲーム内の一部の要素を切り出した特別なバージョンのソフトをプレイすることになった。

 まずは、『GT7』から試遊をスタート。同作はPS5の時点で4K解像度/フレームレート60FPSを実現していたため、比較するうえでのポイントについてはレイトレーシングの性能が中心となる。今回の試遊ではさまざまな車体を試し、天候などの条件をいろいろと変更しながら検証を進めていったのだが、やはり最も印象に残ったのは車体における映り込みの美しさだった。特に、アルファードのような車体面積が広くメタリックな車種では、後部やボンネット、側面などのさまざまな角度でしっかりと映り込みが描画されているため、レースの臨場感をさらに感じることができるうえ、快晴のコースでは目の前を走行するたくさんの車種に太陽光が反射する、とても美しい光景を満喫することができた。

 とはいえ、同作はレースゲームであり、プレイ中に周りの景色を楽しむ余裕はあまりないのが実情でもある。おそらく、本作がPS5 Proの性能の真価をもっとも発揮するのは、レース終了後のリプレイ映像を鑑賞しているときだろう。レイトレーシングの恩恵はもちろん、グラフィック自体の進化の影響もあってか、まさに実写の映像を見ているかのような感覚に驚かされた。元からこれくらいの性能が出るのかもしれないと思い、念のために自宅のPS5環境でも同様の検証をしてみたのだが、ここまでの印象は感じられなかったことを踏まえると、やはりPS5 Proの性能が発揮された結果ということなのだろう。

 続いては『FF7リバース』。こちらはPS5相当のグラフィックモード(パフォーマンスモード)と、PS5 Pro相当のエンハンスモードを任意で切り替えながら試遊を楽しめるようになっており、今回は(どちらのモードでも基本的に60FPSが出ていることも踏まえて)解像感の違いにフォーカスして比較を進めていった。全体の印象としては、エンハンスモードはテクスチャや人物モデルなど総じて一段階上のクリアさを感じられ、例えば草花が密集している箇所に着目すると、パフォーマンスモード(PS5相当)ではあくまでなんとなく草らしきものが集まっているという印象が、エンハンスモードでは一本ずつちゃんと分離して描かれていることが分かるような見え方となっている。クラウドたちの人物モデルの描写についても同様で、元のパフォーマンスモードの時点で十分にきれいではあるものの、さらに一段階クリアに描かれているように感じられる。

 とはいえ、『FF7リバース』の試遊で最も印象深かったのは、なんといってもレッドXIIIを筆頭とした動物たちの毛並みの美しさ、もっと言えばモフモフ度合いである。パフォーマンスモードではあくまで毛皮感のあるテクスチャが貼られているという印象だったが、エンハンズモードでは一本ずつ丁寧に描画されているように感じられ、その結果として、よりサラサラ、あるいはモフモフとした質感を感じられるのだ。ほかにも遠景の解像感が向上していたり、バスターソードのテクスチャがより鮮明になっていたりといった変化は多いのだが、個人的には毛並みの美しさのインパクトが何よりも強烈に残っている。

 ただし、戦闘を筆頭としたアクション周りに関しては、フレームレートによる恩恵の方が大きいからか、各種アクションの演出や動きについて明確に違いを感じることは難しいと感じた。PS5 Pro自体が恐らくは60FPSでの挙動をターゲットとしていることを踏まえると、やはりその最大の目的は最新タイトルを4K解像度ターゲット/60FPSで動かすことにあるのだろう。

ハイクオリティー化が進むなかでPS5 Proの役割も鮮明に?

 というわけで、今回は『GT7』と『FF7リバース』を通して、PS5 Proの性能を実際に体感することができたのだが、普段の生活でPCとPS5を併用している身としては、「フレームレートをキープしたまま、グラフィックのプリセットを中から高に上げられるような感じ」という表現が最も近いように感じた。最高/ウルトラまで上げるほど劇的な変化を感じられるわけではないが、確かに性能の向上を実感できるという具合である。それは、「ハイエンドスペックのゲーミングPCには届かないが、家庭用ゲーム機でも高性能の環境でゲームを遊びたい人向け」であろうPS5 Proの位置付けを踏まえると、(少なくとも個人的には)納得できるものだ。

 ただし、あくまでこれは「通常のPS5よりもさらに良い環境を求める」人のためのモデルであることは強調しておきたい。少なくとも『GT7』も『FF7リバース』も通常のPS5で十分に楽しめるタイトルであり、PS5 Proを触った現在でも、「もう普通のPS5の環境には戻れない!」とまでは思っていない。また、個人的にはPS4タイトルのブースト機能がどこまで(というか『Bloodborne』が)対応してくれるのかも気になるところだ。

 とはいえ、特に近年では、『黒神話:悟空』や『ドラゴンズドグマ2』など、PS5向けですらハードウェアの限界を感じさせるようなタイトルが増えており、来年にはその象徴になりそうな予感をひしひしと感じさせる『モンスターハンターワイルズ』が控えている(現状の推奨スペックを見る限り、通常のPS5ですらフレームレート上限は30FPSになるのではないだろうか)。このまま技術の進化が進めば、PS5が平均どころか最低動作環境クラスになる未来もそれほど遠くないのではないかと感じてしまうし、だからこそPS6までの期間をつなぐためにも、PS5 Proの登場には意味があるのではないかと感じている。今回の試遊はあくまで限られた範囲ではあるものの、(特に『FF7リバース』からは)PS5 Proがそうした状況にも対応できそうな製品であるという期待を抱くことができた。

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