履き替え不要でオールシーズン使える! ダンロップの二刀流タイヤ『シンクロウェザー』の脅威のテクノロジー

ダンロップの二刀流タイヤ

 年間を通じて活躍が期待できるオールシーズンタイヤの魅力はスタッドレスタイヤのように保管に気を使わないこと。便利な反面、状況によってはスタッドレスタイヤや夏タイヤに比べるとあちらを立てればこちらが立たず、という場面も拭いきれないものだった。しかしそんな常識を根本から覆しそうなタイヤがダンロップから登場した。

夏も冬もいける二刀流タイヤ

 住友ゴム工業がダンロップブランドで10月1日に新しいタイヤを発売する。発表会では山本悟社長がまったく新しいタイヤと謳う「シンクロウェザー(以下SW)」は季節を選ばないオールシーズンタイヤになる。その特長は湿度や水分に触れたりすると表面が柔らかくなるアクティブトレッド技術を採用している点にある。

 アクティブトレッドとは、路面の状況に合わせてゴム素材の性質を変えられるという驚きの技術。その理由はどんなものか、という前にタイヤの構造から。タイヤは骨格を形成するポリマーと骨格自体を補強するシリカを基本として作られる。そこに加硫剤や添加剤といった料理でいうところの調味料が加わる。アクティブトレッドはそのポリマー間の結合をイオン結合に置き換えることで、可変的なタイヤ面を実現した。

 可変的なトリガーのひとつは水分だ。ゴム表面が水に触れると柔らかくなる。一般的にタイヤの表面は柔らかいとウェットやスノーといった路面に強いが、ドライな路面ではその柔らかさが摩擦に負けて制動距離などが伸びてしまう。シーズンインでスタッドレスタイヤに履き替えた時にいつもの感覚でブレーキを踏むとわずかに停止位置が伸びるのはこのためだ。

 アクティブトレッドは文字通り、タイヤのトレッド面をアクティブに変化させるもの。上記の水分に加え、低温時でも変化する。それはタイヤの構成でグリップ力を構成する成分の1部を水分の時と同様にポリマーから切り離し、低温時のグリップを実現。ダンロップは便宜上、それぞれ「水スイッチ」「温度スイッチ」と表現しているが、タイヤにボタンがあるわけではなく、簡単に説明するとポリマーとイオンの化学反応といったところだ。この技術により夏のグリップと冬のグリップ、相反する性能が求められるタイヤが、これ1本でこなせるようになる。なるほどCMキャラクターにロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を起用するのも頷ける。投手と打者の二刀流にあやかっているのだ。

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