推しの「奇跡の一枚」を撮るには? 元アイドルとカメラマンが“撮影のコツ”を教えてくれるイベントに参加してみた

推しの「奇跡の一枚」を撮るには?

 アイドル業界において、写真というメディアがもっとも活かされる瞬間とはなんだろうか。

 そう聞かれたとき、筆者は迷わず“ライブ写真”だと答えることにしている。

 なぜなら、橋本環奈がブレイクした“奇跡の一枚”のように、これまで知らなかった人たちに、本人の持つポテンシャルをより引き出して、わかりやすく一瞬で伝えることができるものだから。

 最近では、ファンがカメラマンとなって撮影する席を用意し、実際に撮影&SNSにアップした写真が拡散することで知名度を獲得しているアイドルグループが徐々に増えていることも、その証左といえるだろう。

 そんな“アイドルと写真”について、興味深いイベントが開催された。それが6月23日にコミュファ eSports Stadium NAGOYAにて行われた『SanDisk Presents プロカメラマンに学ぶアイドル撮影イベント 〜アイドルを可愛く撮る撮影テクニック〜』だ。

 このイベントがなぜ興味深いかというと、元アイドルで現アイドルプロデューサーと、アイドルを撮ることの多いフォトグラファーが「アイドルとして撮られる」「アイドルを撮る」ということについて言及するだけでなく、撮影やレタッチの技法について話し合い、その後アイドルのライブパフォーマンスを撮って実践するところまでがセットという座組だから。これはアイドルのイベントとしても、カメラのイベントとしても実に斬新なコンセプトといえるだろう。

フォトグラファーの稲垣謙一氏(壇上左手前)、お願い!! フルハウスのプロデューサーを務める北川綾巴氏(壇上右手前)、SanDiskのマーケティングを務める清水氏(壇上奥)
フォトグラファーの稲垣謙一氏(壇上左手前)、お願い!! フルハウスのプロデューサーを務める北川綾巴氏(壇上右手前)、SanDiskのマーケティングを務める清水氏(壇上奥)

 この日、イベントに登壇したのは、かつてSKE48でセンターポジションを務め、現在はお願い!! フルハウスのプロデューサーを務める北川綾巴氏と、でんぱ組.incやミームトーキョーのアーティスト写真などを撮影しているフォトグラファー・稲垣謙一氏。二人はSanDiskのマーケティングを務める清水氏による司会進行のもと、上記のテーマについて語りあった。

 まず、北川は「これまでなかったようなイベントで新しいと思った」と語ったのち「今日のイベントでおねフルの奇跡の一枚をみなさんに撮ってほしい」とリクエスト。稲垣氏は「撮影機材のオススメ」「準備は完璧に」「カメラの設定について」「セレクトと色調整」というテーマでトークを繰り広げた。

 トークの内容は実際の配信を見てほしいため詳しくは書かないが、「撮影機材のオススメ」については「カメラのセレクト」「レンズセレクト」が重要だとしたうえで、ライブ撮影は暗い会場が多く自然光よりも厳しい環境のため、2400万画素以上のカメラをおすすめ。ほかにもバッテリーグリップやクロスフィルターなど、カメラ本体・レンズ以外に持った方がいいアイテムについても紹介していた。

 また、準備の大切さについて話が及ぶと、稲垣氏は過去にライブ撮影時「小さい容量のメモリーカードを持っていってしまい、入れ替え時に落としてしまった」という失敗談を語り、それ以降大容量のものを使うようにしていると述べた。これに対し清水氏は「可能であれば、想定しているワンランク上のものを準備しておくと安全。弊社でも最低ラインは32GBですが、売れ筋は64GB。動画などを撮るにはより容量があればあるほどいい」と、実際の売れ行き商品のデータを交えながら話した。

 ここでメモリーカードについてさらに掘り下げがなされていく。稲垣氏は「ライブだとダンスが激しくて連写する必要があるため、そこに耐えうる書き込み速度のメモリーカードも重要」とコメントすると、清水氏は「メモリーカードって余ったポイントで買ったりする人も多いが、結構大事にしなければいけないところ。ライブを撮影することはなくても、鳥などの動物や子どもの運動会など連写で撮る必要がある場合、書き込みの速度の速いカードを選んだほうがいいです」とアドバイスし、稲垣氏もこれに「『SanDisk Extreme PRO CFexpress™』を初めて使った時、あまりにも速くてびっくりした」とより最上位の規格である「CFexpress™」の存在に言及した。

 「CFexpress™」は値段も張るため、筆者はこの日のブースにも展開されていたSDカードの『SanDisk Extreme PLUS』『SanDisk Extreme PRO (V90)』をおすすめしたい。前者はUHS-Ⅰ規格で読み出し最大190MB/秒・書き込み最大130MB/秒で高速連写や4K動画などにも対応。容量も32GBから256GBまで取り揃えている。後者はUHS-Ⅱ規格で読み出し最大300MB/秒・書き込み最大260MB/秒と超ハイスペック。動く被写体の超高速連写、つまり今回のようなライブ撮影にはピッタリというわけだ。

 また、ライブ撮影は終演後すぐにレポート記事やSNS等で使用されるため「かなり高速でセレクトをする必要がある」とした稲垣氏は、同時にバックアップの必要性にも言及。読み込み速度が速ければ速いほどいいとし、高速で読み込めるメモリーカードの重要性を示唆した。

 バックアップといえば、撮影したデータを持ち運ぶための軽くて容量の大きいSSDも欠かせない。この日のブースには『SanDisk Portable SSD』『SanDisk Extreme Portable SSD』『SanDisk Extreme PRO Portable SSD』などの製品も展示されていたが、『SanDisk Portable SSD』は約52gとかなり軽いうえ、高さ2mからの落下に耐える優れた耐久性を持ちながら、読み出し最大800MB/秒とストレスも少なめ。『SanDisk Extreme Portable SSD』と『SanDisk Extreme PRO Portable SSD』は高さ3mからの落下保護に加えIP65準拠の防塵・防滴に対応し、前者は読み出し最大1,050MB/秒・書き込み最大1,000MB/秒、後者は読み出し・書き込みともに最大2,000MB/秒と転送時間を格段に短くしてくれる必須のアイテムだ。

 その後のテーマである「カメラの設定について」は、シャッタースピードや絞り値、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定や、フリッカー対策について言及。稲垣氏が普段のライブ撮影時に標準でセットすることの多い設定を、この日の観客に向けて特別に公開していた。

 最後のトピックである「セレクトと色調整」の前に、お願い!! フルハウスが「ストレイキャットプリンス」をパフォーマンスし、稲垣氏が実際に撮影。撮った写真をその場でセレクト・色調整するという前代未聞の試みがなされた。

 稲垣氏のセレクト中には、おねフルのメンバーが撮ったとっておきの自撮りを発表し、それぞれが講評し合うコーナーを実施。渚七海はハートの中に自分の顔を入れた写真を、有栖妃奈は潰れたグミとの2ショットを、伊藤梨花は自然光で目に光を入れたカットを、月永ゆいは小顔ポーズなどのテクニックを活かした1枚と、それぞれ個性的な1枚を公開した。

 その後再び登場した稲垣氏は、Capture Oneを使って実際のセレクト・色調整について解説。まずはホワイトバランスから見るそうで、今回もマゼンタを下げたり、コントラストを上げて肌の色を白めにするなどの工夫を施したほか、トーンカーブの一番黒い部分を少し上げたり、黒い部分をより黒く編集していく。「黒髪なのでほんの少し上げてグレーに見えるくらいが”エモい”写真にみえて今っぽい」など、流行を踏まえた調整テクニックを使ってみせた。

稲垣氏がこの日撮影し、色調整を試みた写真。
稲垣氏がこの日撮影し、色調整を試みた写真。

 ほかにも、以前に東京でライブを行った際の写真を実際にエディット。抜けで写っているのをトリミングして寄りに見せるなど、編集側での工夫を見せると、北川氏は「抜けで写ってる自分ちょっとやばい! みたいな瞬間ってありますからね。みんなもこれやってね!」とファンに向けてトリミングを推奨する一幕も。

事前に稲垣氏が撮影した、お願い!! フルハウスの東京でのライブパフォーマンス写真
事前に稲垣氏が撮影した、お願い!! フルハウスの東京でのライブパフォーマンス写真

 最後に、お願い!! フルハウスのパフォーマンスが行われたのだが、この日用意されたカメラ席のチケットは完売。同席にエントリーした観客たちはそれぞれの“こだわりの機材”などで、稲垣が話したテクニックを実践している様子が見受けられた。

お願い!! フルハウスのライブパフォーマンス
お願い!! フルハウスのライブパフォーマンス

 彼女たちは切ない雰囲気が写真映えする「金木犀」、アップテンポでセリフパートもある「ツンデレキャンディー」、二人ずつ作ったポーズに大量のシャッター音が鳴り響いた「晴れときどきナミダ」を披露。この日一眼レフカメラを持参した観客にはSanDisk特製のメモリーカードケースがプレゼントされたほか、アンケートを書いた観客に向けて特別なプレゼントが当たる抽選会も実施され、イベントは終了した。

 ときおり観客から稲垣氏へ質問が寄せられるなど、積極的にプロカメラマンの技術がしっかりと手順を含めて明かされ、さらにその覚えたての技術を試す場まで提供された今回のイベント。筆者自身もとても勉強になったうえ、あらためて技術やカメラ・レンズのスペックだけではなく、記録媒体までこだわることの重要性を感じさせられた1日だった。

■製品概要
『SanDisk Extreme PLUS SDHC/SDXC UHS-Iカード』
詳細:https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/memory-cards/sandisk-extreme-plus-uhs-i-sd?sku=SDSDXWA-128G-JNJIP

『SanDisk Extreme PRO SDHC/SDXC UHS-Ⅱカード(V90)』
詳細:https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/memory-cards/sandisk-extreme-pro-uhs-ii-sd?sku=SDSDXDK-128G-JNJIP

『SanDisk Extreme PRO Portable SSD』
詳細:https://www.westerndigital.com/ja-jp/products/portable-drives/portable-ssd-sandisk-extreme-pro-usb-3-2?sku=SDSSDE81-2T00-J25

■配信視聴リンク

SanDisk Presents プロカメラマンに学ぶアイドル撮影イベント 〜アイドルを可愛く撮る撮影テクニック〜 出演者:北川 綾巴、お願い!!フルハウス 講師:稲垣謙一

 

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