久々に触れた『消滅都市』に感じたノスタルジー 「オフライン版」が存在する幸福から、ゲームカルチャーの変遷に思いを馳せる

久々に触れた『消滅都市』に感じたノスタルジー

 リアルサウンドテック編集部による連載「エンタメとテクノロジーの隙間から」。ガジェットやテクノロジー、ゲームにYouTubeやTikTokまで、ありとあらゆる「エンタメ×テクノロジー」に囲まれて過ごす編集部のスタッフが、リレー形式で毎週その身に起こったことや最近見て・試してよかったモノ・コトについて気軽に記していく。

 第30回は、オープンイヤー型イヤホンを購入してQOLが上がった気がするゲーム担当・片村がお届けします。

『消滅都市』オフライン版に触れて

 本題に入る前に、まずは6月1日にベルサール秋葉原で開催されたライトフライヤースタジオによるリアルイベント・音楽ライブ「ライトフライヤースタジオ10周年記念フェス」について触れたいと思います。

ライトフライヤースタジオ10周年記念フェス

 当日はライトフライヤースタジオが手掛ける『アナザーエデン 時空を超える猫』『消滅都市』『ヘブンバーンズレッド』という3つのタイトルから、それぞれスペシャルライブのパブリックビューイングも実施され、フルカラーの全43ページ「ライトフライヤースタジオ10周年記念ブックレット」が無料配布されるなど、非常に豪華なフェスとなっていました。

 現地では、同社のタイトルでいま最も勢いのある『ヘブンバーンズレッド』のブースに人が集まっていましたが、長い歴史を持つ『消滅都市』もさまざまなイラストにくわえ、ユキとタクヤのパネル、そして作品を象徴するバイクとともに記念撮影できるブースもあり、懐かしさに感慨を覚える人たちの姿も。筆者は上記の3タイトルすべてプレイしてきましたが、なかでも『消滅都市』は当時のスマホゲームでは珍しかったように思うポスト・アポカリプスの世界観、繊細かつ力強いBGM、シンプルながらやりごたえのあるゲーム性などから、強く印象に残っています。

 2024年2月27日にサービス終了となり、約10年の歴史に幕を下ろした『消滅都市』。5月27日にはオフライン版が配信されたため、筆者も久しぶりに同作に触れてみることにしました。

 グラフィックなどからは若干、10年という時の流れを感じるところもありましたが、このゲームがなぜ魅力的だったかといえば、先述のように「世界観」「音楽」「ゲーム性」が主な要素。鮮やかなゲーム体験は色褪せることなく、導入から楽しむことができました。正直、やや唐突にも思えるストーリーの導入ですが、いい意味であっさりとした会話を複数重ねていきながら、少しずつ理解を深めていけるのも『消滅都市』です。

 このまま『消滅都市』の思い出語りをしてもいいかなとは思ったのですが、今回感じたのは「オフライン版」のありがたさです。オンラインスマホゲームがサービス終了後にオフライン版やアーカイブを出すことは、一昔前に比べて増えた印象です。それでも、すべてのゲームがそうした“幸福な終わり方”をできるわけではありません。『消滅都市』オフライン版のダウンロード期間は1年間ではあるものの、一度ダウンロードしてしまえば、いつでも思い出に浸れる。これは長く愛されたタイトルであるがゆえに可能だったことかもしれませんが、たとえ短期間しか続かなかったタイトルであったとしても、深い思い入れを持つ人は必ずいます。

 かつてモバイル/スマホゲームが破竹の勢いで台頭してきたころ、「サービス終了したら意味のないデータにお金と時間をかけるなんて」という声も少なくなかったように思います。そうした考え方もかなり減ったとは思いますが、いまでも意見の変わらない人はいるでしょうし、そう思うことも自由です。ただ、「いつかなくなるから」といって、情熱を傾けないことの理由にはならない人も多く、今日のゲームカルチャーはそうした人々の熱量によって支えられている面も大きくなっています。

 ゲームの“作り手”たちが魂を込めて送り出した作品にのめり込んだユーザーたちが、さまざまな形でコミュニティを発展させるという営みは、すべてを可視化するのは不可能なほど広がり続けています。そうしたユーザー/プレイヤーたちに少しでも報いてくれるひとつの形が、オフライン版という形態なのかもしれません。『消滅都市』オフライン版のダウンロードは2025年5月26日まで。かつてタクヤのバイクを乗り回したみなさん、久しぶりにあのころを思い出してみませんか。

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