南北アメリカを徒歩で縦断するYouTuber現る 規格外の旅チャンネルが視聴者を虜にする理由

 YouTubeでは車中泊での日本一周や世界一周の旅動画がたびたび話題になるが、リヤカーを引きながら徒歩で地球横断に挑戦している一風変わった男性クリエイターがいるのをご存知だろうか。「冒険少年ATSUSHI」が挑む規格外の地球横断旅は一体どのような魅力があるのか。今回は同チャンネルの企画の全貌や面白さを紐解いてみたい。

 「冒険少年ATSUSHI」(チャンネル登録者数11.4万人/2024年5月1日時点)は、地球を徒歩で横断している26歳の男性クリエイター。これまでショッピングカートで日本一周を達成、サハラマラソンを完走した経歴をもち、現在は推定23000キロの南北アメリカ大陸(アラスカ州プルドー・ベイからアルゼンチン・ウシュアイアまで)を縦断するべく、時速6キロで毎日歩き続けている。

夢のアラスカに到着!南北アメリカ大陸徒歩縦断#1

 ATSUSHIは2023年6月11日にスタート地であるアラスカ州のプルドー・ベイを出発。店ひとつない700キロ続くダルトンハイウェイを進む途中には、グリズリー(ハイイログマ)やムース(ヘラジカ)、バイソンに遭遇、強風吹き荒れる冬のカナディアン・ロッキーを越えるなど、過酷な環境を物ともせず突き進む。大雪のなかでのタイヤのパンクや通行止めの雪山に取り残されるといったトラブルも経験。しかしながら、徒歩でカナダの国境を通り、なかなかお目にかかれない綺麗なオーロラが現れるなどいいこともたくさんあったようだ。

 今年の元旦には、5ヶ月間歩き続けたカナダからアメリカに再入国。冬の西海岸では1週間雨が続き、足の怪我に悩まされ、カリフォルニア州では数百キロ続く荒野で水が手に入らないという洗礼も受けた。アラスカやカナダでは豊富にあった綺麗な湧き水や川は荒野にはなし。所持していた水分はたった2日分という状況で、現地の人から水や飲み物が差し入れられ、なんとか乗り切ったこともあった。しかし、Googleマップで表示される最多ルートを進むと、リヤカーが渡れない幅の橋に出くわすといったことも。おすすめされるルートがATSUSHIにとっては最短ルートではなかったなど、気づきもあったという。

 しかし、グリズリーやバイソンをはじめ、時には命の危険が及ぶかもしれない野生生物との遭遇や北極圏ならではの白夜、厳しい寒さといった環境のなか、なぜATSUSHIは徒歩で旅しているのか。

 その理由についてATSUSHIは、今回の旅を実現させるために行ったクラウドファンディングで「自分の足で歩いて地球を感じたい」と想いを綴っている。動画内では「アラスカからアルゼンチンまで歩くことが夢」と話すATSUSHIだが、旅の途中では歩く理由について「なにかを目指して頑張ることがいまの僕の生きがい」とも発言。視聴者からは「心が震えます」「アツシさんから勇気を貰えます」とコメントが寄せられており、国や地域、季節によって変わる環境を身体で受け止めるATSUSHIから感じられる夢を持つことの大切さや何かを成し遂げようとする信念が、多くの視聴者の心を動かしていることがわかる。

(参考:https://camp-fire.jp/projects/view/642914

 日本一周や世界一周を車中泊の旅で行うYouTuberたちはいるが、徒歩で叶えようとするYouTuberはなかなかいない。ATSUSHIが旅の途中で出会った人びとも、今回のクレイジーなチャレンジに驚く人ばかりで、それだけこの挑戦が規格外なものであることが彼、彼女らの反応から読み取れる。この旅はある種、”自然界との戦い”でもあるが、トラブルの際に毎回助けてくれる人が現れるシーンをみると、真っ直ぐな努力が多くの人を動かす力を持っていることを痛感する。前代未聞の徒歩での南北アメリカ縦断の旅動画が支持される理由は、ひとりの若き男性クリエイターの夢への熱い思いと信念にあるようだ。

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