歌広場淳×こく兄“おじリーガー”対談 「優しさ」と「恩返し」がつなぐ、格ゲーマーたちの輪

歌広場淳×こく兄“おじリーガー”対談

“REJECT格闘ゲーム部門プロデューサー”としての新たな決意

格ゲー界の暴れん坊! こく兄、REJECT参上

歌広場淳:個人配信者から、REJECTの格闘ゲーム部門プロデューサー兼ストリーマーへと、華麗なる転身を果たしたこく兄ですけど、今回のREJECT加入はどのような経緯があったんですか?

こく兄:REJECTの執行役員を務めるYamatoNくんから、直接お誘いをいただきました。YamatoNくんとは2022年ごろに、フジテレビのゲーム番組で共演させてもらって。芸能人やアイドル、配信者とかが入り乱れて『VALORANT』で対戦する企画だったんだけど、僕はYamatoNくんと同じチームでやらせてもったんです。

 企画が決まってから2か月近く一緒に練習したなかでYamatoNくんとも仲良くなれたんだけど、収録が終わって「お疲れさま」のタイミングで、彼から聞かれたんです。「どこかのチームに入ろうとは思わないんですか?」って。

 僕は「いや、そもそも俺を引き取りたいなんてチームがあるわけないから(笑)。誘ってもらえるんだったらどこだって入るよ」って返したんだけど、そうしたら彼が「本当ですか? じゃあちょっと本気で考えさせてもらっていいですか」って言ってくれたんです。

歌広場淳:REJECTさんとしては、ちょうど格闘ゲーム業界に参入したいと考えていた時期だったわけですね。

こく兄:そうだね。そのころはまだ『スト6』も発売されていなかったんだけど、先見の明があったというか。彼らも格闘ゲーム部門を立ち上げてがんばっていきたいと言っていて、こちらとしてもREJECTと格闘ゲーム業界との架け橋になれるかもしれないなって思えたから。

歌広場淳:個人で活動を続けていくほうが気楽な面もあると思うんですけど、REJECTさんへの加入を迷う気持ちはなかったんですか?

こく兄:まったくなかった。というのも、YamatoNくんがすごく真剣に熱い話をしてくれたんだよね。この人だったら信用できるし、自分もがんばれそうだし、一緒にお仕事をさせてもらいたいなと思ったから、ふたつ返事でオファーを受けました。

歌広場淳:ゲームを通して、YamatoNさんの人となりを知れていたのも大きかったのかもしれないですよね。

こく兄:しかも、REJECT側も僕のことをかなり調べてくれていたみたいだったし、格ゲー業界のことも超入念に調査してくれていたから、そのあたりも安心でしたね。まあ、ちゃんとした企業だから当たり前なのかもしれないけど。加入した後でイチから情報共有していく必要があるのかなと思っていたから、めちゃめちゃ円滑だった。

歌広場淳:実際にREJECTさんに加入してみていかがですか? どんな変化があったんでしょうか。

こく兄:最初の話にも戻るんだけど、僕がやっていること自体はあまり変わらないんですよ。格ゲー業界を盛り上げるだけなんで。ただ、チームにはFPS部門の選手たちもいるから、彼らをきっかけにFPSの方面もこれまで以上に興味を持って見るようになりました。

 あとはやっぱり、“役職が人を育てる”とよく言いますけど。自分も格闘ゲーム部門のプロデューサーを任せてもらった以上は、輪をかけて格闘ゲームのために真剣に活動していかなきゃいけないよなって気になりました(笑)。

歌広場淳:いい刺激になっているわけですね。こく兄の加入以降、チームにはハイタニさんやときどさんが相次いで合流しましたけれど、こく兄はそのあたりの動きにも関わっているんですよね?

こく兄:そうだね。YamatoNくんが、チームを盛り上げるためにこういうことがやりたい、こういう人が欲しいというビジョンを明確に持っているから、僕はそれに合致する格ゲーマーを提案して、チームとつなげる役割をおもにやっています。格ゲーマーはだいたい知り合いだから、そのあたりのコネクションもREJECTは買ってくれたんだろうね。

歌広場淳:それってチームとしてはめちゃくちゃ大きいですよね。こく兄ひとりを仲間に加えただけで、どこぞの大企業の顧客名簿がゴッソリ手に入っちゃうみたいなものだと思うし。現在は『ストリートファイターリーグ』(SFL)に向けたチーム編成に尽力されていると思うんですが、こく兄自身は選手として出場する予定はありますか?

こく兄:いまの時点では「いやあ、ひょっとしたら僕も出るかもしれませんね」と言っておくしかないよね(苦笑)。ほかにもウチにはハイタニもいるし、たいじもいるし、(天鬼)ぷるるだっていますからね。楽しみにしておいてもらえるとうれしいです!

歌広場淳:そうやってはぐらかしつつ、ファンの期待感をあおっていくことも、こく兄の役割みたいなところがあるでしょうから。さすが、仕事熱心でいらっしゃる(笑)。

俺たち格ゲーマーは「ひとりじゃ何もできない」(こく兄)

歌広場淳:今回、こく兄にお話を聞いてあらためて思ったことなんですけど。格ゲー業界の方々って、自分の調子が上向きになったときに、業界全体のためにとか、これまでお世話になった人に対しての恩返しの方向に気持ちが向かう人が多いですよね。

 「今年は俺の畑が豊作だ!」ってなっても成果を独り占めしようとせずに、みんなにも美味しい思いをしてもらおうとか、ノウハウを共有しようと思う人が多いというか。やっぱり、「冬の時代」を長く過ごした経験があるからこそなんでしょうか。

こく兄:それもあるだろうし。あとはたぶん、「ひとりじゃなにもできない」ってみんなわかってるからだとも思う。“対戦格闘”だから、ひとりじゃ対戦にならないわけですから。

歌広場淳:うわー! こく兄、いいこと言うね!! 俺たち格闘ゲーマーは、ひとりじゃ最強を証明することもできない。そうした考えかたが、周囲の人に優しくしようという意識にもつながっているってことなんだ。

こく兄:まあ、周りのためを思って行動することが、結果として自分のためにもなるわけだから。究極的には自分のためにやっていることなんですよ。

歌広場淳:そういう意味では、格ゲー村って地図上で見たら円形なのかもしれないよね。いいことがあったら隣の人にもおすそわけをしてあげて、それがつながって最終的に自分のところに返っていくる構造になっている。

こく兄:そうやって、この輪がもっと大きくなっていったらいいよねって感じだよね。もっとも、嫌なヤツってだいたい勝手に消えていきますから。誰かが手を下すわけでもなく自浄作用でいなくなるんだよね。自分本位な人には、周りの人も協力したくなくなっちゃうだろうし。

 だから、自己中心的なヤツって格ゲー業界にはいないもん。ウメハラだってそうじゃん。みんなを引き上げようとしてくれるから、僕らもウメハラに恩返ししたくなるんだよね。

歌広場淳:ああ、すごくよくわかります。音楽業界で言うと、X JAPANのYOSHIKIさんも同じような感じなんですよ。極論を言えばYOSHIKIさんって自分のために活動しているだけでなんの問題もないどころか、それだけでみんながよろこぶのに、業界のためを思って動いてくださるんだよね。

 YOSHIKIさんは過去に「ヴィジュアル系バンドを100組くらい集めたいんだ」って度々おっしゃっていて。実際に自ら呼びかけてフェスを開いてくださったりしているんですよ。売れている・売れていない関係なく声を掛けてくれて、僕らも呼んでいただいたことがあるんですけど。ウメハラさんもいま、「1万人大会を開きたい!」ってがんばってらっしゃるじゃないですか。僕も協力できることがあったらと、ずっと思っているんですけれど。

こく兄:本当に難しいことだとは思うけどね。あの『EVO』(※6)ですら、初年度の『スト6』部門で7000人がマックスだったわけだから。

※6……アメリカ・ラスベガスで毎年開催されている世界最大級の格闘ゲーム大会。

歌広場淳:だからこそ、やりたいってことなんでしょうね。難しいとわかっているからこそ。僕らだって、僕らにしかできないことがあるはずですから、今後もがんばっていきたいですよね。

強くなりすぎると『おじリーグ』卒業の可能性も!?

歌広場淳:「僕らにしかできないこと」といえば、つぎの『おじリーグ』はいつやるんですか?

こく兄:いや、やれるんだったらすぐにでもやりたいよ! 本当は『スト6』初年度にやりたいと思ってたんだけど、格ゲー業界に突然夏が来ちゃってみんな忙しくしているから、スケジュールが合わせられないんだよね。それに、歌さんもちょっと最近、方向性が変わってきてない? なんか本格的にプロゲーマーになろうとしてない?

歌広場淳:いや、なろうとしてないっすよ! そんなわけないじゃん!

こく兄:だって、プロゲーマーの弟子企画に参加してるじゃん。さすがにプロゲーマーになられちゃうと、もう『おじリーグ』には呼べなくなっちゃうよ。ごめんだけど。勝つってわかりきってるヤツも呼ばないから、俺は。

歌広場淳:『おじリーグ』は負けた人が消えていくシステムだったけど、ここにきて卒業式の概念が生まれる可能性もあるわけですか。

こく兄:このままだとマジで歌さん卒業式になりそうだよ。本当に気をつけてね? いや、好きにしてもらっていいんだけど。プロゲーマーになりたいんだったら俺らも応援するし。そのときは『おじリーグ』のグループLINEで、「今日で歌さんは卒業になりました」ってひと言連絡しておくから。

歌広場淳:プロゲーマーになるのは絶対に無理だと思うんですけど、僕が強くなりすぎちゃったら、そのときはごめんなさい(笑)。あっ、せっかくだからこの機会に提案させてください!

 『おじリーグ』をいますぐ開催するのが難しいんだとしたら、その代案としておじ同士が10先(10本先取)とかの長期戦をくり広げるという企画をやるっていうのはどうですか?

こく兄:なるほど、それいいね! その発想はなかったわ。丸パクリしていい?

歌広場淳:えっ、もちろんいいですけど……開催の暁には、僕も混ぜてくださいね?

こく兄:当然だよ! ちょっと、マネージャーとも揉んでおきますわ。確かに“おじリーガー”同士の長期戦って、これまで全然やってこなかったし。おもしろいだろうね。

歌広場淳:『スト6』の大会となると現状は2先(2本先取)が主流ですし、そういう意味でも新鮮かつ見応えがありそうですよね。

■こく兄&歌広場淳のSNSおよび配信チャンネル

・こく兄 公式X
https://twitter.com/kokujind
・kokujintv Twitchチャンネル
https://www.twitch.tv/kokujintv

 ・歌広場淳 公式X
https://twitter.com/junjunmjgirly
・ゴールデンボンバーの歌広場淳 Twitchチャンネル
https://www.twitch.tv/utahiro0830

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