謎の人物に衝撃的な新事実……『デススト2』新トレーラーから考察すること

『デススト2』新トレーラーから考察すること

 PlayStationに関連した最新情報を発信する“State of Play”が2月1日に配信され、国内外のさまざまなタイトルが発表された。

 本稿では、そのなかでも『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』(以下、デススト2)に注目。同配信で公開された最新のトレーラーから、気になるシーンの解説や考察をしていく。また、本作の開発者である小島秀夫監督自身が明かした、完全新作のタイトル『PHYSINT(仮)』についても、簡単ながら触れている。

DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH – State of Play Announce Trailer | [CERO]4K

6度目の大量絶滅から人類を救うため、サムは新たな旅に出る

 トレーラーの冒頭、20秒から1分25秒くらいにかけて、一組の男女が何者かを介抱している。男性は今作からの新キャラクターだろうが、女性は前作にもいたフラジャイルと思われる。寝かせられている相手は黒い液体に塗れているが、これは前作にも出てきたタールだろうか。腕には円形の痕が等間隔にならんでおり、中央に刺さっている棘を男が抜こうとすると、タールらしき液体が飛び出し、フラジャイルの手袋に当たったかと思うと、彼女の手を老化させていた。

 謎の人物がタールに塗れているのは、前作でいう「BT」の仕業なのかもしれない。BTは『デス・ストランディング』の世界における“あの世”の存在で、人の形をした「ゲイザー」を始め、BT自体にもさまざまなタイプがいるのだが、そのなかでも「キャッチャー」と呼ばれる大型のBTには、タコのような海生生物を思わせる姿の個体もいた。BTはみなタールをまとっているので、この人はBTに襲われ、体内にタールを注入されてしまったのではないだろうか。タールに触れたフラジャイルの手は老化しているので、少なくともこのタールに限っては、前作の「時雨」と同じく時間を加速させる効果があるのだと思われる。

 フラジャイルがサムに艦内を案内するシーンを経て、サムが艦を出て外に向かうシーンへ。フラジャイルの話を聞く限り、本作ではメキシコがフィールドとして登場するようだ。また、サムの任務では「カイラル通信」をつなぐことも目的になっている様子。前作では北米大陸を横断する際、各地の拠点でカイラル通信を復旧させる必要があった。今作でもその流れを踏襲しているのだろう。

フラジャイルの肩に乗っているのが、今作でサムの相棒(?)になる“生きた人形”。小島監督の公式Xアカウントによれば、彼の動きはフレームレートをわざと落として“ストップモーション”風に見せているとのこと
フラジャイルの肩に乗っているのが、今作でサムの相棒(?)になる“生きた人形”。小島監督の公式Xアカウントによれば、彼の動きはフレームレートをわざと落として“ストップモーション”風に見せているとのこと

 ここからサムがさまざまな土地を歩くシーンが続く。見るからに険しい山岳地帯から、広大な砂漠も確認できるほか、整備された道路の先に大きな都市がそびえ立っている場所も。多彩なフィールドが登場するのは楽しみであるのと同時に、各地の様相がわかってくれば、前作で起こった“デス・ストランディング”という現象によって、世界がどのような被害を受け、そして立ち直っていたのかも判明しそうだ。

大きな月に向かってサムが歩いているシーン。月の引力は潮の満ち引きに関わっており、BTや「ビーチ」といった海や浜辺に関連した要素の多い『デス・ストランディング』では、月には重要な意味がありそうだ
大きな月に向かってサムが歩いているシーン。月の引力は潮の満ち引きに関わっており、BTや「ビーチ」といった海や浜辺に関連した要素の多い『デス・ストランディング』では、月には重要な意味がありそうだ

 5分30秒あたりになると、オレンジ色の装備をまとった男がサムと対峙するシーンへ。仮面を取ると白化粧をした顔があらわになり、誰なのかいまいち判然としないものの、サムからは「ヒッグス」と呼ばれていた。ヒッグスは前作でサムと対立していた男だ。サムとの決戦の後、本人はビーチに取り残されていたようだが、劇中のセリフを読む限りでは現実に帰ってきた模様。人々の分断を目論む分離過激派だった出自らしく、今作ではあちこちに武器を売りさばいているらしい。

 サムとの短い問答を終えた後は、突如現れた覆面の人物と戦闘に。刀を振るう相手に対し、ヒッグスは持っていたギターを弾いて放電、さらに刃を起動して斧のように振り回すなど、なかなかユニークな戦い方を披露した。

 ヒッグスが戦っている相手も印象的だ。オレンジ色の装備に全身を包んでおり、素顔は不明。さらに刀を振るう姿からは、「メタルギア ソリッド」シリーズの『1』や『2』に出てきたサイボーグ忍者を思わせる。本人の顔面に備わっていたのは、人々がBTを検知するために使っていた機械「オドラデク」だろう。まったく同じ見た目の装備を、サムは前作で使っていた。憶測に過ぎないが、レドームに視界を頼っていた「メタルギア REX」のように、謎の人物は視力をオドラデクで代用しているのかもしれない。

 ヒッグスの登場や激しい戦闘シーンに目がいきがちだが、ヒッグスに対するサムの「お前がルーを殺したのか?」という問いも衝撃的。ルーは前作では「BB」としてサムとともに北米大陸を横断した赤ん坊で、役目を終えた後はサムといっしょに暮していたはずだが、このシーンの時点では亡くなっているようだ。

完全新作のアクションエスピオナージ『PHYSINT(仮)』を発表

 『デススト2』の映像の後、小島監督は「State of Play」の最後に登場し、完全新作のアクションエスピオナージ『PHYSINT(仮)』について語った。『デススト2』が発売された後、本格的に開発が始まるらしい。

 2026年でゲーム開発を始めて40周年になる小島監督にとって、『PHYSINT(仮)』は自身の集大成になるとのこと。最先端のテクノロジーと世界中の才能を集めて制作するようで、さらにゲームと映画の壁を超えるとも語っており、その全貌に期待がかかる。

 潜入を軸にした「メタルギア」シリーズを始め、現実の太陽光を取り入れた「ボクらの太陽」、配達や歩荷をゲームにした「デス・ストランディング」など、小島監督の作品にはさまざまな発明や実験が伴い、その斬新さに人々は沸いてきた。『PHYSINT(仮)』はまったく未知ではあるが、プレイヤーたちに新たな遊びを届けてくれるのは間違いない。

 なお、YouTube上にあるコジマプロダクションの公式チャンネルで、小島監督自らが今回のトレーラーや諸々の新情報について解説する番組“HideoTube (ヒデチュー):特別版 (with Eng. subtitles)”が2月9日より公開されている。正確で細かな情報を求めるのなら、ぜひともそちらを参照してほしい。

HideoTube (ヒデチュー):特別版 (with Eng. subtitles)

 『デススト2』の9分40秒におよぶ大ボリュームのトレイラーに、完全新作の告知と、今回のState of Playでは小島監督の存在感はとくに大きかった。彼が生み出す作品の続報に、今後も期待したい。

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