市場めぐり動画は「コスパは微妙」だけど“穴場”? トミックの路線変更が成功した理由を紐解く
魚を使った料理動画で人気を博したYouTuber・トミックが、最近は地方の市場や海鮮丼、寿司屋を扱う飲食店を紹介する動画へと舵を切っている。
YouTubeのなかで根強い人気を誇る魚料理で支持を得てきたトミックは、なぜここにきて路線を変更したのか。今回は路線変更の理由や人気コンテンツから、コンテンツの路線変更がもつ可能性を考えてみたい。
トミックは魚料理や実験動画で人気を獲得してきたYouTuber。活動13年目のトミックが運営するチャンネル「TOMIKKU NET」の登録者数は197万人を突破しており、安定的に支持を得ている動画クリエイターだ(2023年8月24日時点)。これまで自ら魚を捌き、料理する動画をつくってきたトミックだが、この1年は地方の市場を訪れ、魚料理を提供する飲食店に関する動画を制作。これまでとは異なる路線で勝負に出ているわけだが、チャンネル登録者数200万人が目前に迫っており、人気再熱に拍車をかけているようなのだ。
トミックが料理動画から舵を切ったのはいまから約1年前、2022年夏のこと。トミックは地方の市場をめぐる動画を制作しはじめると、全国の市場を訪れどのような魚が販売されているのか、市場内の飲食店ではなにが提供されているのかをトミックの視点を交えて紹介。こういった市場紹介動画については2023年1月1日に投稿した動画「今後の活動について」で「市場めぐりの教科書のようなコンテンツ」と説明している。
市場めぐり動画をつくりはじめたのには、「ネットで調べても情報がない、あったとしてもわかりにくい」という現状を打破するという目的があったというトミック。市場めぐり動画は1本を制作するための時間とお金がかかり、「コスパは微妙」と話すトミックだが、「市場めぐりの動画をつくれるのは俺しかいない」と断言しているのが印象的だ。トミックによると市場めぐり動画は「需要がある」そうだが、その一方でトミックを人気にした料理動画については「需要がない」と発言。これまで大きな反響を得ていた魚を捌く動画については、「ショート動画でやります」と述べている。
公開されている市場めぐり動画のなかで人気のコンテンツを見てみると、入るには少し勇気のいる中央卸売市場を訪れ、アクセス方法やコスパ最強の海鮮丼と握りを紹介していることがわかる。動画に声のみで出演した市場内にある飲食店の店員は、地域の住民や観光客が市場に入れることを知らないことについて「長年の課題」と話しており、市場関係者からのトミックの市場めぐり動画の需要を感じられる。肝心の視聴者からの反応はというと、「一般人も入れるのも知らなかった」というコメントが多数。トミックの「需要がある」発言が証明されていたのだった。
YouTubeにおける魚料理コンテンツは、「きまぐれクック」チャンネルをはじめ、【素潜り漁師】マサル Masaru.や小豆島の漁師はまゆうなど人気YouTuberがひしめいているジャンル。企画の差別化が難しいように感じられる一方で、ひとつのチャンネルで全国のさまざまな市場をめぐり、紹介している動画は現時点ではトミックのみ。つまり、魚や漁などを扱っているコンテンツのなかでも市場めぐりは“穴場”だったわけだ。
ほかのYouTuberたちが市場めぐり動画を作らない理由は、トミックの発言にもある通りコスパが悪いことにあると考えられるが、トミックのこれまでの経験や知識をうまく活かした市場めぐりシリーズは、YouTube上で大きな可能性を秘めていると考えられる。今年の目標であるチャンネル登録者200万人を目指し、独自の路線を切り拓いたトミックの決断は、少し視点を変えることで状況が一変するということを実感するものだった。自身はもちろん、視聴者の需要をしっかりと見極めたコンテンツづくりは、トミックの今後に大きな変化をもたらすかもしれない。
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