イマドキのホームシアターは手軽なのに本格派。話題のサウンドバーで動画も映画も“いい音”に

SONOS「ホームシアター」は手軽なのに本格派

 アメリカのオーディオブランド・SONOSから、新製品サウンドバー『Arc Ultra』とワイヤレスサブウーファー『Sub4』が発売中だ。

 SONOSはワイヤレス技術を活用したアクティブスピーカーやシアターシステムを展開しているブランドだ。日本国内でもワイヤレススピーカーやサウンドバー、サブウーファーなどを多くラインナップし、シンプルながら美しいデザインと快適な操作性、音の良さで人気を集めている。 

一台でドルビーアトモスのサラウンド再生も可能なサウンドバー『Arc Ultra』。本体サイズは幅117.8cm、高さ7.5cm、奥行き11.06cm、重さは5.9kg。

14個のスピーカーと15chのパワーアンプを内蔵したトップモデル

 そんなSONOSでは現在、サウンドバーとして『Arc』『Beam(Gen2)』『Ray』をラインナップしている。店頭では高級機に分類されているそうで、音質やサラウンド再生品質の面でハイエンドユーザーの期待に応えられるよう注力しているそうだ。

 中でも新製品の『Arc Ultra』はトップモデルということもあって、充実したスペックを備えている。その一番の特長は、14個のスピーカーを内蔵して、一台でドルビーアトモスの9.1.4chサラウンドが再生できること。

 本体の横幅は117.8cmで、65インチ以上のテレビと組み合わせると視覚的にもバランスがよさそう。この中に7個のツイーターと6個のミッドウーファー、新開発のサウンドモーションドライバーを内蔵、合計15chのデジタルパワーアンプでドライブしている。

『Arc Ultra』の内部構造。2ウェイ3スピーカー構成のL/C/Rスピーカーと、リア&トップ用ツイーターなどを最適な位置に搭載している。図上側の四角いボックス(赤い矢印)が独自のモーションドライブだ。

 詳しく説明すると、本体正面にはL/C/Rスピーカーを搭載。どれもツイーターとふたつのミッドウーファーからなる2ウェイ3スピーカー構成で、豊かな音楽や声を再生できる。さらに本体の両端にリアスピーカー用、上面にトップスピーカー用としてツイーターを各2個、合計4個配置している。それぞれのスピーカーはビームフォーミング技術やウェーブガイドが組み合わせられており、壁や天井の反射なども利用してサラウンド感を再現できる仕組みだ。

 サウンドモーションドライバーは、小スペースで豊かな低音を再現するために開発されたもので、楕円形の振動板を背中合わせに2枚設置し、ユニットの四隅に置かれたモーター(スピーカーを振動させる部品)で駆動している。モーターを上下の振動板用に2個ずつ使うことで薄型化を実現し、サウンドバー本体だけで50Hzまでの低音を再現する。

ワイヤレスサブウーファーの『Sub4』は、テレビ台の横に収まりやすいサイズながら25Hzの低音まで再生できる。ワイヤレスなので、電源ケーブルをつなぐだけで使えるのも便利。

サブウーファーを追加して、より迫力のあるサラウンドを体験

 『Sub4』は、幅と高さが40cm前後、奥行き16cmほどのアクティブサブウーファー。本体中央にスリットが入っていて、その内側に楕円形ウーファーが向かい合わせに取り付けられている。こうすることで余分な振動を抑え、音の歪みも解消できるわけだ。サブウーファーとしては、25Hzの低音を再現できる。

 今回『Arc Ultra』と『Sub4』の取材機を借用できたので、そのインプレッションを紹介したい。

 到着した『Arc Ultra』の外箱は、長さが130cmほどと案外大きい。しかし両端のロックを外して蓋を開ければ、簡単に本体を取り出すことができる。このあたりはSONOS製品共通の仕様で、こういった細かな気配りは嬉しい。

 箱から取り出した『Arc Ultra』をリビングのテレビ台に乗せ、セットアップをスタートする。なお『Arc Ultra』の入力端子はHDMIとLANのふたつで、アナログ端子などはついていない。つまりARC/eARC対応テレビと組み合わせて音を高品質に再生します、というスタンスだ(アダプターを使えば光デジタルでも接続可能)。テレビのARC対応HDMI端子と『Arc Ultra』をHDMIケーブルでつないで、あとは電源ケーブルを挿すだけと接続は簡単だった。

各製品の登録やどの組み合わせで使うかなどは、「SONOS」アプリから行う仕組みだ。音場補正機能の「Trueplay」やトップスッピーカーのレベル調整もアプリから可能。

快適なサラウンド再生のために、「Trueplay」の測定も忘れずに

 ここからSONOS独特の作法として、アプリに製品を登録していく。SONOSアプリを起動すると、家庭内ネットワークにつながっている製品をメニューに表示してくれるので、画面の指示に従って追加していけばいい。数分で『Arc Ultra』からテレビの音が出るようになった。

 なお『Arc Ultra』は、日本のテレビ放送の音声(MPEG-2AAC/MPEG-4AAC)はデコードできないので、テレビの初期設定のままでは音が出ないこともある。その場合は、テレビ側でリニアPCMに変換するようにしていただきたい。

 もうひとつ、SONOS独自の音場補正機能「Trueplay」も忘れずに行っておきたい。アプリから機能をオンにするとテストトーンが再生されるので、iPhoneのマイクで部屋中の音を拾っていく。こうすることで「Trueplay」が再生環境に合わせたチューニングを行い、最適な状態でサラウンドを楽しめるのだ。Androidスマホ用に、本体内蔵のマイクで測定を行う「Quicktune」機能も準備されている。

『Arc Ultra』の接続端子は背面真ん中にあり。入力端子はHDMIとLANだけで、eARC/ARCに対応したテレビと組み合わせて使うようになっている。Bluetooth機能もついている。

地デジも、配信の映画作品も音が激変!

 地デジ放送のニュースやドラマを再生すると、テレビ内蔵スピーカーとはレベルの違う音に変化している。最近の薄型テレビは音を良くするための対策がなされているが、それでも『Arc Ultra』を追加することでセリフが聞きやすくなったし、アップコンバート機能によって音が広がることで、大画面と一体化したサラウンド感で楽しめる。

 2ch放送でこれくらい臨場感が体験できるなら、5.1chやドルビーアトモスを再生したらどうなるのか、動画配信のPrime Videoで映画やライブを再生してみた。

 SONOSの内覧会で見せてもらった「トップガン マーヴェリック」を再生する。この作品はPrime Videoでは5.1chで配信されているので、『Arc Ultra』でアップコンバートした音を聞くことになる。冒頭の空母からの発進シーンはエンジン音の迫力もあるし、着艦フックを捉える音もキレがいい。テーマ曲の「デンジャー・ゾーン」もテンポよく響く。

 ドルビービジョン/ドルビーアトモスで配信している「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」も再生してみる。イントロや会話主体のシーンではそこまでの広がり感の演出はないが、オークの砦探索での吹雪や洞窟内の残響感などは丁寧な音作りで、サラウンドが作品世界をいっそう盛り上げてくれる。

 これらの作品ではもっと低音が欲しいと思ったので、『Sub4』を組み合わせてみた。SONOSアプリで機器を登録し、『Arc Ultra』と一緒に使うように設定すれば追加は完了。ワイヤレスサブウーファーなので置き場所も選ばないし、ケーブルをつなぐ必要がないのは嬉しい。なお『Sub4』を追加した後に、Trueplayでの測定をやりなおしている。

 『Sub4』を加えた効果は明瞭で、映画の迫力や音の安定感がぐっと向上した。「トップガン マーヴェリック」では「デンジャー・ゾーン」のイントロも迫力が増しているし、エンジン音などの効果音も力強い。やっぱり映画は低音が必須だなぁと痛感する。

音楽配信サービスもSONOSアプリで再生した。空間オーディオもフォーマット通りに楽しめるのは嬉しいポイントです。

空間オーディオも2chの配信も、区別なく快適に楽しめる

 続いて音楽配信を聞いてみる。SONOSアプリでは「SONOS Radio」といった独自の配信サービスに加え、Amazon Music、Aplle Musicなどのサービスを追加・ダイレクトに再生できる。今回はAmazon Musicを追加した。

 Amazon Musicの空間オーディオ作品から、宇多田ヒカル「Automatic(Live Version)」と、ビートルズ「Let It Be(Remastered 2009)」を再生。どちらもドルビーアトモスで配信されているが、「Automatic」はサラウンド情報が控えめで、観客の声援がわずかに広がるような印象だ。「Let It Be」も極端なサラウンド演出ではないが、ライブとも一味違った感じになって面白い。

 BTS「Butter」やAdo「うっせぇわ」などは、いかにもサラウンドを意識して作りましたという内容で、低域をずんずん響かせているし、頭の両脇(さすがに真後ろとまではいかないが)や天井方向から楽器や反響が聞こえてくる。こうした音作りの工夫までわかると、空間オーディオを積極的に選びたくなるだろう。

 2ch配信からCreepy Nuts「Bring-Bang-Bang-Born」を再生すると、案外力のあるビート感が再現されている。若干ゆるめの低音ではあるけれど、サラウンド変換の効果もあってクラブサウンドっぽい響きで楽しめる。

 テレビのYouTubeアプリで、THE FIRST TAKE「いきものがかり – コイスルオトメ」を選んだ。吉岡聖恵の声に実体感が出てくるし、声の伸びも綺麗だ。『Sub4』の恩恵かドラムも力強く響いてくる。最近はYouTubeで音楽を楽しむ人も多いだろうが、そういった用途でも『Arc Ultra』は充分期待に応えてくれる。

 ひとつ気になったのは、これらの配信コンテンツは音量レベルが低いのでついボリュウムを上げがちになる。だがそのまま放送に戻るといきなり大音量で再生されてしまうので、ここは注意が必要だ。テレビ側で放送と配信の音量差を調整するような機能が出てきてくれるといいんだけど。

『Arc Ultra』を中心としたSONOSのシアタープラン。『Sub4』の両脇がリアスピーカーとしても使える『ERA 300』で、もちろんワイヤレスで接続する。ヘッドホンの『Ace』は深夜のサラウンド試聴などで活躍するテレビ音声スワップ機能を搭載。

『Arc Ultra』でホームシアターを始められる人は、シアワセです

 昔のテレビは放送を見るためのものだった。しかし現在では放送だけでなく、動画配信やYouTubeなどのネットコンテンツを見るためのツールとしても使われている。それらを楽しむ場合にも音のよさは大切で、サウンドバーの価値はますます大きくなっていくだろう。

 『Arc Ultra』は、テレビや配信の音を確実にステップアップしてくれるし、本体だけでドルビーアトモスなどのサラウンドを満足度たっぷりに楽しませてくれる。さらに将来的にはサブウーファーやリアスピーカーを追加することで、本格的なホームシアターシステムが手に入るという発展性も備えている。いい音といっしょに生活を始めたいという方には、ぴったりの選択肢になるだろう。

参考情報

商品名:サウンドバー、ワイヤレスサブウーファー
型名:『Sonos Arc Ultra』、『Sonos Sub4』
価格:14万9800円(税込)、10万9800円(税込)
https://www.sonos.com/ja-jp/home

ラジオ・音声業界向けのアプリ『ラジオメディア』リリース 学び・繋がり・新たな価値を創出

株式会社TwoGateは12月27日、石井玄氏が立ち上げた株式会社玄石の協力のもと、ラジオ・音声業界アプリ『ラジオメディア』をリ…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる