中卒40歳・年商12億経営者のドキュメンタリーが話題に 派手な私生活からの失敗・再起に胸打たれる人が続出
3月2週目、YouTubeの急上昇に中卒で年商12億円を稼ぐ、40歳の経営者のドキュメンタリー動画がランクイン。コンクリート圧送の事業をメインとしたグループ企業を経営する小澤辰矢氏に密着した動画が大きな反響を集めている。今回は、この経営者のドキュメンタリーがなぜ注目を浴びているのか、その理由に迫ってみたい。
「中卒40歳年商12億円経営者」チャンネルは、テレビ朝日『報道ステーション』やテレビ東京『ガイアの夜明け』などを担当するディレクターが、1年間小澤氏に密着したドキュメンタリー動画を投稿しているチャンネルだ。今年2月に投稿された1本目の動画は、公開後3週間で約250万回再生を記録、いまではその回数は271万回を超えるほどの好評ぶりだ(3月11日時点)。
今回急上昇に登場したのは、チャンネル2本目となる動画。小澤氏が24歳の頃に独立し、頭金400万円で1600万円のポンプ車を購入したエピソードから始まっている。この動画では、通常コンクリートを流して終わりのところ、土建屋が担当するコンクリートのならし作業も「お客さんが喜ぶから」と無償で手伝っている姿や、掃除や荷物運びも率先して行っている様子が映し出されている。この仕事ぶりが業者の中で評判になり、当時建設業界では珍しかったホームページを立ち上げた結果、仕事が増えていったことが紹介されている。
徹底的な現場主義の姿勢を見せている小澤氏だが、過去には熱血スタイルだったことも明かされている。若くてヤンチャな社員たちには毎日暴言を吐きながらも、毎日食事に連れて行き、時にはお金を貸すなどしていたなど愛情をもって接してきたという。それでも社員が辞めていってしまう現実のストレスから逃れるため、小澤氏は稼いだお金で高級車7台にヨットを購入、ハマーの改造には2000万をつぎ込んだこともあったそうだ。
しかし派手な私生活を見ていた社員たちは、そんな小澤氏に不満を募らせていた模様。「よそより高い給与をあげているからいいだろう」と従業員の気持ちに気付かなかった小澤氏は、作業着を脱ぎ捨て異業種の経営者たちと交流するように。現場に行くこともなくなり、副業として飲食店やサーフショップなどの事業にも手を出したという。
小澤氏の方針についていけなくなった従業員は次々と退社。従業員や友人たちが周りからいなくなったことで「ひとり」になってしまったことに気付いた小澤氏は、高級車を売却し、本業に関係のない事業を廃業するなど事業整理に着手。現在は現場で率先して働くその背中を、従業員に見せたいと奮闘している。
今回の動画には、視聴者から「こんな社長に出会いたかったな……」「この人の会社で働きたいわ〜〜」と、小澤氏の仕事や従業員に対する姿勢に感銘を受けた社会人からの声が殺到。経営者たちからは「動画を通じて色々学ばせていただきました」というコメントが書き込まれている。コメントをみると、とくにこの動画で支持を集めたのは、小澤氏の過去の失敗から現在の成功を掴むまでのストーリーであることがわかる。
なかなか自分の過ちを認め、告白するのは難しいことだが、今回明かされた小澤氏の失敗から会社を立て直した姿と会社と従業員に対する真っ直ぐな想いには、万人が心を動かされた様子。さらに動画内に出てくる「お金さえあれば幸せ」という考えが実は間違っていたという話は、視聴者にとって反面教師となる部分でもあり、この1本の動画だけでも多くの学びがある。
YouTubeで人気のVlog動画もYouTuberたちの生活の一部を切り取ったドキュメンタリー部類のコンテンツだが、ドキュメンタリーのプロが作るこのチャンネルには、ひとりの人物の生き様が深掘りされているという、Vlogとは異なる良さがある。「中卒40歳年商12億円経営者」は、小澤氏の過去の失敗から磨かれた人間力こそが、多くの視聴者から支持される理由なのではないだろうか。