人気YouTuberたちが相次いで顔出しを解禁 新たなコンテンツへの挑戦と新規ファンの獲得が理由か?
2月3週目、人気ゲーム実況者mkと教育系YouTuberこいこいが、ふたりで活動するエンタメチャンネル「からあげ劇場」を始動、顔出しを解禁した動画が話題になった。これまで顔を隠して活動してきたYouTuberたちがなぜいま相次いで顔出しを解禁するのか、今回はYouTuberたちの顔出し解禁の理由を考えてみたい。
ゲーム実況者mkは、2017年7月にYouTubeで「mkのゲーム実況ch」を開設。"家族で安心して楽しめるゲーム実況者"として人気を集めており、チャンネル登録者数39.9万人。一方の教育系YouTuberこいこいは、2019年9月に「こいこいの人工知能研究室」を開設。ExcelやPythonの活用術に関する動画を投稿しており、登録者数は3.96万人(数値はどちらも2月22日時点)。実はふたりは出会って13年ほどの大親友という間柄。ニコニコ動画のコミュニティで知り合ったそうで、こいこいはmkから「ヒット」という愛称で呼ばれており、mkファンにはこの愛称で知られていた。
2月11日に「からあげ劇場」と名付けられたチャンネルで、1本目となる動画を投稿したふたり。こいこいが部屋をまわりながら、クローゼットや冷蔵庫、電子レンジの中までmkを探すというコントのようなシーンを経て、初めてふたりがその素顔を明らかにした。この動画ではチャンネルについての詳しい説明はなかったが、「今後はこの2人でからあげ劇場頑張っていきます」と、意気込みを語っている。
からあげ劇場とは一体どういうチャンネルなのか。mkは今月1日に自身のチャンネルで投稿した動画で、「今後はmkさん、顔を出して活動することにしました」と発表。からあげ劇場については「今後めちゃめちゃ力を入れていくメインチャンネルになります」と説明していた。こいこいも自身の動画で「超人気ゲーム実況者のmkさんという方と一緒にやっていこうかなと思います」と述べており、チャンネル登録者について「最初から格差ありすぎのコンビ」と自虐コメントを残している。なお、ふたりが顔を出して動画に出演するのはからあげ劇場チャンネルのみ。それぞれの個人チャンネルでは今後も顔出しをしないと発言している。
こいこいによると、からあげ劇場チャンネルの開設は2年ほど前にmkから「一緒にチャンネルをやろう」という誘いがあったことがきっかけだったという。ゲーム実況と教育という畑の違うふたりだが、この1年間で準備を進め、1本目の動画が公開されるまでに30〜40本ほどの動画を撮影済みであることを明かしている。
顔出し解禁といえば、今年1月にはゲーム実況者のあっさりしょこが活動8年にして初めて顔を出して動画を投稿し、大きな話題となった。あっさりしょこは出演する番組のロケでの立ち位置やすべてを口頭で説明する難しさ、オフラインイベントでのファンとの交流をより深くしたいというのが顔出し解禁の理由だった。しかし、この2人はなぜ顔を出して活動をすることにしたのか。
その理由はどの動画でも触れられていないが、顔出しをしないチャンネルと顔出しをするチャンネルの両方を持つことで生まれる相乗効果にポイントがあると考えられる。これまで声だけで魅せてきた個人チャンネルでは、顔が見えないからこそゲームの内容やmkとこいこいの話に集中できた視聴者もいるだろう。視聴者にとってはmkやこいこいがどのような人物なのかを想像する楽しさもあったかもしれない。一方、顔を出したチャンネルをもつことで、人となりが伝わり信頼されやすくなる、リアクションを重視したコンテンツを制作できる、新たなファンを獲得できるといったメリットが生まれる。別々に活動していたふたりがコンビとしてチャンネルを運営するとなれば、これらのメリットを確実に享受できるに違いない。
顔を出すことで一部の視聴者が離れていく可能性はあるが、顔出ししないチャンネルを引き続き運営することで、声のみのコンテンツを望む視聴者はこれまでのチャンネルで動画を楽しめる。今回のふたりの場合は「想像とは違ったが面白い」と顔出し解禁は大成功だったが、顔出ししないチャンネルと顔出し用チャンネルの両方を運営することは、これまでのファンを大切にしながら新たなコンテンツにもチャレンジできる良案なのかもしれない。
mkとこいこいのケースから考えると、人気YouTuberがファン離れの危険性を負ってでも顔出しを解禁のする理由には、新たなコンテンツへのチャレンジと新規ファンの獲得といった事情がありそうだ。
人気ゲーム実況YouTuberが顔出し解禁へ 長年の活動方針を転換した心理に迫る
1月2週目、ゲーム実況者のあっさりしょこが、初めて素顔で登場した動画が急上昇にランクイン。活動開始から顔を隠して活動をしてきたあ…