超絶技巧のアイシングクッキーで企業から引っ張りだこ……お菓子クリエイター・まんなたぬきが明かす“チャレンジの日々”

まんなたぬきが明かす“チャレンジの日々”

ーー今のトレンドみたいなものは、細かくチェックされるのでしょうか?

まんなたぬき:最近はあんまりできていないですね。でも、SNSではめまぐるしくトレンドが変わったりするので、時間があるときなるべく見るようにはしています。流行りものもやりたい気持ちはあるんですけど、最近ちょっと疎くなってしまっているので…もっと感覚を研ぎすまさなきゃいけないですね。

ーー戦略がしっかりとあって、BGMを選ばれているのですね。

まんなたぬき:戦略というか感覚的な感じで選んでいます。TikTokはなんとなく見ていて「この曲がよく流れてくるしトレンドっぽいから、こういうふうに合わせたらぴったりになりそうだな〜」とか。流行をマネージャーさんに教えてもらったりもします。

ーー下準備やお菓子の制作、編集にもたくさんこだわって動画を作ってきたなかで、動画クリエイターとして転機になった作品を教えてください。

まんなたぬき:転機になった作品は、去年の夏に投稿した『Apex Legends』の世界を表現したお菓子です。「海をお菓子で表現してください」というざっくりとしたご希望は聞いていたんですけど、それをいざ作るとなった時に、自分が持っている技術だけでは足りなさすぎて。新しい挑戦をしないと上手くできないなと思いました。

【APEX】の世界を全部お菓子で作ってみた|Converting The World of APEX into sweets and cookies【OSEAN JELLY|ISLAND CAKE】

 海外のアイランドケーキというものを見つけてはじめて取り入れてみたり、ネッシーをチョコレートで作ったのもまったく新しい試みでした。完全立体の作品で、位置がずれてしまうと全体的なイメージも崩れてしまうので、紙粘土と厚紙で模型を作って、ミリ単位で位置を確認しながらお菓子の制作を進めました。本当に新しい挑戦がいっぱいあったっていうのと、苦戦した部分も多かったので、とても思い入れがあります。

ーー新しい技術はいきなり挑戦してできるものなんでしょうか?

まんなたぬき:いきなりぶっつけでやったらわたしは100%失敗します(笑)。今の時代、すばらしい技術やテクニックを公開してくれてるプロの方やパティシエさんがたくさんいらっしゃるので、その方々のSNSや参考書や、YouTubeの動画を見ながら、まずは試作してみます。試作してみてできそうだなって思ったら、本番を撮影しながらやってみるという感じです。

ーー技術の話が出ましたが、YouTuberさんのなかでもアイシングクッキーに特化している方々とはどのように差別化を図っていますか?

まんなたぬき:アイシングクッキーって、平面クッキーにお砂糖を乗せて絵を描くというのが基本でスタンダードだと思うんですけど、アイシングクッキーを作られている方は本当にたくさんいるので、ただシンプルにそれだけだと埋もれちゃう。

 平面のものを組み立てて立体にするとか、カップ型のクッキーをアイシングでコーティングしてインパクトを強くするとか。あとは、アイシングクッキーと別のお菓子を掛け合わせたりして差別化できたらなっていうのは考えてやってきました。これからも新しい挑戦はどんどんやっていきたいなって思っています。

ーーバイキンマンのUFOを立体で作った動画を見た時にすごいなと思いました。あの作品には飴が使われていましたが、どのように作っているのでしょうか?

まんなたぬき:冷やした水風船の周りに溶かした飴をコーティングして、飴が固まったら水風船をそっと割るんです。すると、ドーム型に固まった飴が出来上がります。それとカップ型とドーナツ型のクッキーを合わせて作りました。食べづらい形ですけどパリパリサクサクして美味しかったですよ。

ーーアイシングクッキーは保存状態がよければ半永久的にもつと言われていますが、食べてしまうんですね。

まんなたぬき:飾ってるものもありますが、結構自分で食べちゃってますね(笑)。ただ、アイシングクッキーの中に飴が入っているものはうまい保存方法がまだ見つけられていなくて。飴職人さんに聞いてみたいです。ちょっとした湿度の変化で曇っちゃったり、割れちゃったりするんですよね。

 アイシングクッキーだけだと完全に水分を飛ばして、透明のフィルムに入れて密封させておけば、半永久的にもちます。海外だとお菓子屋さんに飾られているところも多いみたいなんですよ。アイシングクッキーとメレンゲクッキーは、鑑賞用でも楽しめるお菓子です。『千と千尋の神隠し』の作品なんかはいまでも飾っていて、綺麗なまま残っています。

ーーどれも完成度の高いお菓子ばかりで、食べてしまうのがもったいなく感じてしまいます。動画の最後にNG集が盛り込まれていますが、失敗もあるんでしょうか。

まんなたぬき:意外と面白がって見てくださる方が多いですが自分的にはちょっと(笑)。以前担当して下さっていたマネージャーさんが、「理想と現実みたいな比較をやってみたら面白いよ」と勧めて下さって、NGシーンを入れるようになりました。

 アイシングクッキーは作り慣れているので、試作はせずにぶっつけで撮影することも多いですが、いまでも失敗は沢山します。動画の本編にはいいところしか載せてはいないんですけど、NGカットみたいに影では全然形にならないものもいっぱいあります。今でも自分で見るのは恥ずかしい。

ーー難しくて断念したお菓子はありましたか?

まんなたぬき:形になるまでとにかくとことんやるタイプなので、途中で断念したものはないと思うんですが…方法を変えたものはいっぱいあります。例えば、アイシングクリームで絞ってみたけれどうまくいかなかったので、別の素材に変えてやってみようとか。一度じぶんで作りたい!と決めたものは、ちゃんと形になるまでやり抜きたい。思いついたアイディアの中でボツにしたものはいくつかありますが、下書きや設計図を細かく書き出したらもう最後までやります。性格的にちょっと頑固でこだわり屋なところがあるので(笑)。

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