高級デジカメのように自然なボケがつくれるスマホがついに現る レンズ絞り可変式のHuawei『Mate 50 Pro』のこれまでにない撮影体験
スマートフォンのカメラはデジカメを超えたとも言われているが、美しくボケを調節したポートレートや風景撮影ではレンズについた絞りを自在に調整できるデジカメにはまだまだ及ばない。スマートフォンではカメラのポートレートモードを使ってAIによるデジタルボケ処理が可能だが、背景と人物の境界がぼやけてしまったり、不自然にボケた写真に仕上がってしまうこともある。
しかしHuawei(ファーウェイ )が海外で発売した『Mate 50 Pro』はカメラに世界初の「6枚羽根可変式絞り」を搭載し、デジカメのようにボケを手動でコントロールすることができる。スマートフォンがまた1歩デジカメに追いついた製品として注目されているのだ。
まずはMate 50 Proのスペックを見ていこう。チップセットはSnapdragon 8+ Gen 1、ディスプレイは6.74インチ2616x1212ピクセル、120HzのOLEDを採用している。カメラはフロントに1300万画素+深度測定を備え、自撮りでも美しいポートレート撮影が可能だ。メインカメラは5000万画素で、6400万画素の3.5倍望遠と1300万画素の超広角も備える。バッテリーは4700mAhで66Wの急速充電に対応。またワイヤレスでも50W充電に対応するので、USBケーブルあり、無しのどちらでもかなりの速度で充電できる。なお通信方式はアメリカ政府の制裁の影響を受け、5Gには非対応、4Gまでの対応となる。
本体サイズは162.1 x 75.5 x 8.5mm、205g。ディスプレイは角を取ったエッジデザインとして握りやすくしている。背面は光沢ある仕上げが美しいものの指紋の跡が目立ちやすいのがやや残念。とはいえ高級感あふれるボディーはカメラを強化したスマートフォンにふさわしい出来栄えだ。
それでは世界初という6枚羽根の可変絞りカメラを見ていこう。背面は円形の台座の中にカメラなど4つの円をまとめた特徴的なデザインをしている。このうち一番右上のメインカメラのレンズに可変絞りが搭載されている。このメインカメラは5000万画素で、F値は1.4と明るいものを採用している。
カメラを起動してアパーチャモードにすると、手動でこのF値を1.4から4まで10段階の幅で変えることができる。実際にF4にしたときのレンズの様子がこの写真だ。レンズ部分の穴がF1.4の時と比べて小さくなっていることがわかるだろう。
絞りを動かすとなぜ写真のボケを調節できるのか。簡単に言えば被写体からレンズに入る光の光路が広いと、ピントの合う範囲(被写界深度)が狭くなり、逆に光の通路が狭くなるとピントは全体に合いやすくなる。レンズのF値は数字が小さいほど開放側、数字が大きい方が絞り側となる。F値が小さい=明るいレンズは被写体の背景がボケやすいのである。一般的なスマートフォンのカメラがF値F1.7やF2などで比較的明るいのは、室内や暗いところでも良好な撮影ができるようにしているためだ。しかしこのF値を変えることはできない。
一方、Mate 50 ProのカメラのレンズもF1.4と明るいが、可変式の絞り羽根があるためF4まで10段階に絞ることができる。これにより光の入る量を物理的に調節でき、自然なボケ味のある写真や、逆にボケの無いしっかりした写真を撮影できるのだ。
実際に作例でボケ調節を見てみよう。よくあるシーンとして、カフェやファーストフード店に入って一休みしたときなどSNSに写真をアップすることがあるだろう。料理に近寄って写真を撮ると、角度によっては後ろの方がボケてしまう。このボケを解消するには絞りを変えるしかないが、一般的なスマートフォンは絞り調節機能はついていない。そのため食事から離れて撮影するしかボケを無くす方法はない。
しかしMate 50 ProならF値を4にして絞ることで被写界深度を広げることができる。この写真は右がF1.4、すなわち一般的なスマートフォンで近寄って撮影した場合と同じだ。料理の後ろ側がボケてしまっている。だがF値を4に調節すると料理全体がボケずに写る。なおMate 50 Proは、被写体が料理であるとAIが判断することでF値が自動的に4になりボケないようにしてくれる。
風景を撮るときも至近距離から遠景までの構図で撮影すると、どこかしらがボケてしまう。たとえば真ん中にピントを合わせると手前と背景がボケてしまうのだ。ボケのある写真を撮りたいのであればこれでいいだろうが、全景をしっかり写すためにはもっと手前側に移動して撮影する必要がある。これもMate 50 ProならF値を4に切り替えれば前後のボケを抑えられる。
もちろん逆にボケをうまく効かせた写真も撮りやすい。AIによるボケ調整ではボケが効きすぎてしまいがちだが、Mate 50 Proは実際に羽根を使って光量を調節しているので、細かなボケの調節もできるのだ。