『ゼルダの伝説 風のタクト』20周年 トゥーンレンダリングで描かれた「ゼルダ」の新たな水平線
筆者としては、「トライフォースのかけら集め」が印象深い。なぜなら、筆者はこれをきっかけに本作のプレイを一度挫折してしまったからだ。
本作では、ストーリー後半で「トライフォースのかけら」というアイテムを集めることになるのだが、これがかなり面倒な作業だったと記憶している。全体的な流れは、「トライフォースのかけらのありかが記されたマップを入手する」「高額なお金を払ってマップの解読をしてもらう」「解読したマップをもとにトライフォースのかけらを探す」というものだ。
このプロセスが1回や2回程度であればまだいいものの、かけらは全部で8つも集める必要があるため、同じような作業を何回も繰り返すことになる。また、マップ解読のために大量のお金(1回につき398ルピー)が必要になることも、面倒さに拍車をかけている。さらに、このトライフォースのかけら集めでは頻繁に海上を移動することになるのだが、先述した風向きの要素もあいまって、いよいよ移動の面倒さが顕著に感じられるようになるのも辛い。
とはいえ、ゼルダならではのアクの強いキャラクターたちは健在で、ストーリーも秀逸だった。特に本作のガノンドロフからは、ほかの作品では見られない人間くささを感じられた。「ゼルダの伝説」シリーズのほとんどのタイトルでラスボスとして立ちはだかる彼だが、個人的には本作のガノンドロフが一番魅力的に映った。
また、ダンジョンがやや難しすぎるきらいがあった前作『ムジュラの仮面』と比較すると、本作は謎解きの難易度もほどよく、中盤までは非常に楽しくプレイできていた。それだけに、後半のトライフォースのかけら集めや面倒な移動などのマイナスポイントさえなければ、もっと世間の評価も高かったのではないだろうか。
なお、2013年に発売された本作のHDリマスター版『ゼルダの伝説 風のタクト HD』では、上述したトライフォースのかけら集めの問題点も多少改善されているそうだ。Wii U本体を用意するというハードルはあるが、いまから『風のタクト』を遊びたいと考えている方には、HDリマスター版の購入をおすすめしたい。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』、なぜ“ビデオゲームの殿堂入り”に? ゲーム業界の歴史を変えた「革新性」とは
2022年5月、アメリカ・ニューヨークのストロング国立演劇博物館は、同館が定める「世界のビデオゲームの殿堂」に『ゼルダの伝説 時…
「ゼルダのあたりまえ」を壊し、オープンワールドのレベルを引き上げた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』 発売5周年を機に振り返る
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、ゼルダBotW)は、2022年3月3日に発売5周年を迎える。本作は、従来の『…