トライエースとの距離がわけた明暗 『スターオーシャン6』はシリーズの復権を果たせるか

シリーズ復権叶うか?『スターオーシャン6』考察

 10月27日、『スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE』(以下、『スターオーシャン6』)が発売となった。

 おなじく9月にナンバリング最新作が発売となった「ヴァルキリープロファイル」シリーズとともに、かつてはトライエース開発の名作シリーズとして名を馳せた「スターオーシャン」シリーズ。6年ぶりの最新作は、フリークの期待に沿う作品となれたのだろうか。

 本稿では、名作RPGシリーズと謳われながら近年低迷を見せている「スターオーシャン」、「ヴァルキリープロファイル」の両シリーズと、長く双方の開発を担ってきたディベロッパー・トライエースに目を向け、それぞれの今後を考えていく。

3Dアクションバトルと自由度の高い育成システムで独自の立ち位置を確立した「スターオーシャン」シリーズ

『スターオーシャン 6 THE DIVINE FORCE』ファイナルトレーラー

 「スターオーシャン」シリーズは、1996年にスーパーファミコンで発売された『スターオーシャン』(以下、『スターオーシャン1』)を初作とする、トライエース開発・エニックス(現スクウェア・エニックス)発売のRPGだ。これまでにナンバリング6作のほか、いくつかのスピンオフ、モバイルゲームがリリースされており、2001年には第2作『スターオーシャン セカンドストーリー』(以下、『スターオーシャン2』)を原作としたTVアニメ『スターオーシャンEX』も放送されている。

 シリーズとしての特徴は、3Dによるリアルタイムアクションバトルと、育成自由度の高いスキルシステム、(特に古い作品において)仲間キャラクターの取捨選択があることなどだ。特に完成度の高いバトルシステムは、シリーズ全作を通じて高く評価されている。「『スターオーシャン』=バトルが面白いRPG」と連想するフリークも多くいるはずだ。

 ナンバリング6作のうち、商業的にもっとも成功したのは1998年発売の『スターオーシャン2』。同作の成功によって「スターオーシャン」は一躍、王道かつ定番のRPGシリーズに区別されることになった。しかしその後はバグの多さや、没入しにくいシナリオ、キャラクターモデリングの不評などが続き、“すでに過去のものとなった名作シリーズ”とされる向きもある。『スターオーシャン5 -Integrity and Faithlessness-』(以下、『スターオーシャン5』)以来、6年ぶりのナンバリング最新作が近年の低迷を払拭できるか。注目が集まっている現状だ。

初週売上は約4.4万本と振るわない結果に

 ファミ通.comのゲームソフト週間推定販売数ランキングによると、『スターオーシャン6』における初週の売上本数はPS4版が約2.7万本、PS5版が約1.7万本の計4.4万本。前作『スターオーシャン5』の初動が約11万本だったことを考えると、やや物足りない数字ではある。ここにはシリーズに対する評価が下落の一途をたどってきた点、そのなかでも前作がもっとも評判が悪かった点などが影響していると考えられる。かつてはジャンルの王道・定番と言わしめたシリーズの待望の新作がこうした結果となってしまったことに、ファンや盛時を知るフリークはなんとも言えない感情を抱いているかもしれない。

 しかしながら、各所のユーザーレビューに目を向けると、それほど悲観しなくてもよい現状が見えてくる。初動売上に反して、評判は総じて上々であるのだ。この点には、同タイトルに対する期待値の低さが影響しているとも言われているが、それでもシリーズがここ何作かで得てきた評価に鑑みると、シリーズの面目は保ったと言えるのではないだろうか。初動こそ振るわなかったものの、今後はスマッシュヒット的に支持を広げていく可能性もありそうだ。

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