ついに登場するソニー製ハイエンドコントローラー 『DualSense Edge』がゲームシーンに与える影響は?

ソニー製の新型ワイヤレスコントローラーが発表

 ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、ソニー)は10月18日、新型ワイヤレスコントローラー『DualSense Edge』を、2023年1月26日に発売すると発表した。

 Microsoftが開発・発売する『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー』の好評など、盛り上がりをみせる“コントローラー”界隈。満を持して登場するソニー製ハイエンドコントローラー『DualSense Edge』は、同分野に旋風を巻き起こせるか。開発・発売に至る背景から、その可能性について考えていく。

満を持して登場のソニー製ハイエンドコントローラー『DualSense Edge』

DualSense Edge™ ワイヤレスコントローラー 機能紹介映像 | PS5™

 『DualSense Edge』は、PlayStation 5本体に付属されるコントローラー『DualSense』にさまざまな機能を付加した、新型のワイヤレスコントローラーだ。リマッピングやスティック・トリガーの感度調整、複数の設定プロファイルの登録・切り替えといった、カスタマイズできるオプションを搭載。従来のモデルよりハイエンドなPS5向けコントローラーとして機能する。

 開発・発売元のソニーによると、「高水準のパフォーマンスと、プレイヤーの好みに合わせた操作性を実現」「自分だけのゲーム体験を作り上げることが可能」とのこと。2023年1月26日を全世界同時の発売予定日としており、10月25日より各販売店・ショッピングサイトで順次予約を開始する。希望小売価格は29,980円(税込)。

 製品パッケージには、ユーザーの好みで交換可能なスティックキャップ3種・背面ボタン2種と、編み込み仕様の充電用USB Type-Cケーブル、コネクターカバー、携帯用ケースが同梱される。

 同機は今年8月、ドイツ・ケルンにて開催されたコンピューターゲームの見本市『gamescom』でお目見えとなっており、約2か月を経て発売日や価格などが明らかとなった。

『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー』が切り拓いた、ハイエンドコントローラーの市場

 今回発売される『DualSense Edge』を「別売型の上位コントローラー」という括りで考えると、任天堂の『Nintendo Switch Proコントローラー』や、Microsoftの『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー』なども、類似する製品とみなせる。特に後者は、Xbox One・Xbox Series X/S本体に付属するコントローラーとの間に明確な機能差を持つため、同様の開発背景を持つ製品とすることができるだろう。

Microsoftの『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー』

 

 『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー』は2015年、当時の現行機であるXbox Oneのハイエンドパッケージ『Xbox One Elite』に付属する形で市場に登場した。価格は、49,980円(税別)。同時期のXbox One本体の価格が39,980円(税別)であったことを踏まえると、「上位コントローラーの同梱」「内蔵ストレージの換装」という利点があるとはいえ、多くの消費者にとっては、やや手が出しづらい商品だったはずだ。

 同機が単体の製品として国内で発売されたのは、翌年2016年2月のこと。14,980円(税別)と、標準仕様のコントローラーとの間には大きな価格差があったが、その使用感の良さから大人気となり、手に入りにくい状況が続いた経緯がある。2019年には、新モデル『Xbox Elite ワイヤレスコントローラー シリーズ2』が発売に。『DualSense Edge』のパッケージと類似した商品は2022年10月現在、税込19,778円で販売されている。

 一方のサードパーティーでは、Scuf Gamingの『SCUF REFLEX』シリーズが有名だ。同シリーズには複数のモデルが存在するが、価格はおおむね200~250ドルほど。2022年10月現在の為替レートで、30,000~40,000円となる。

 これらのハイエンドコントローラーは、近年のPCプラットフォームの台頭、スポーツ性の高いタイトルの流行などもあり、再評価の気運が高まっている。それぞれをPC用のコントローラーに流用することで、より快適なプレイ環境が構築できるためだ。『DualSense Edge』の開発・発売も、こうした時流を受けてのものと考えられる。Microsoft、サードパーティの牙城を崩せるか。『DualSense Edge』の性能や価格、使用感に注目が集まっている状況だ。

『DualSense Edge』がeスポーツカルチャーに与える影響

Scuf Gamingの『SCUF REFLEX PRO』

 プラットフォーマーが発売するハイエンドコントローラーには、汎用機としての価値とは別の意味もある。それは、競技シーンで動作保証される入力機器となりうるという点だ。

 これまでは公式発のハイエンドコントローラーが存在しなかったため、PSプラットフォームにおける大会で使用するためには、(ソニー視点でのMicrosoftを含む)サードパーティー製の入力機器を選ぶほかなかった。場合によっては、所持するコントローラーが大会で動作保証されておらず、「トラブルを懸念しながらのプレイとなる」「実際にトラブルに遭遇し、実力とは別の部分で敗退が決まる」といった例もあっただろう。

 その点において、オフィシャルのハイエンドコントローラーが存在することは、プレイヤー側にとっても、運営側にとっても、ひとつの指針となっていく。同機でのプレイ・運営をカバーしてさえいれば、特殊な事情に左右される可能性を最小限にできる。視聴者サイドからすると、大会の進行が滞るようなトラブルが減ることで、再開を待つという無駄な時間を過ごす必要がなくなる。

 一方、長期的な視点で考えると、現状ライセンス商品として認められていた一部のコントローラーが、大会によっては、動作保証される入力機器から外れる懸念もある。『DualSense Edge』が入力機器として一定のクオリティにある前提のうえに話を進めれば、ゆくゆくは同コントローラーのみ動作保証される大会が増えていくのかもしれない。

 無論、一般のプレイヤーにとっては、ハイエンドコントローラーの選択肢が増える点が最も恩恵のある部分だろう。特にPS5では、独自の機能「アダプティブトリガー」「ハプティックフィードバック」の存在により、サードパーティーのコントローラーが選択しづらい状況にあった。今後は本当の意味で、「プレイヤーの環境や嗜好に左右されない、最高のゲーム体験」が実現される未来がやってくるのだろう。

 『DualSense Edge』は、コントローラーの分野に旋風を巻き起こせるか。その行方は、機器としてのクオリティと、ほかプラットフォームでの動作状況にかかっているといえる。

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