超大型の“文化祭”に感じた、とてつもないエネルギー　『にじさんじフェス2022』総括レポート

文＝草野虹、画像提供＝（C）ANYCOLOR
『にじさんじフェス2022』総括レポート

　初日13時半からメインステージにてスタートした「さんばかステージ」は、ライブを披露するための衣装が謎の衣装箱に格納されてしまったため、さまざまなクイズを視聴者とともに解き明かしていき、その後、衣装をゲットした3人が特別ライブを開催するという内容であった。

さんばかステージ 無料パート【#にじフェス2022_Day1】

　いくつかのクイズでは設問そのものが「？？？」と首をかしげてしまいそうなユニークさもありつつ、見事にすべての問題を乗り切ってライブパートがスタート。集まったファンは思い思いにペンライトを振り、その雄姿を固唾を飲んで見守っていた。

　いったん本編が終了し、アンコールとして再度出てきた3人。「最後の曲は……」と曲名をコールするかと思いきや、ここで誕生日のBGMが流れ出し、「Happy Brithday To You～♪」と歌い始めたリゼ＆戌亥、9月30日に誕生日を迎えていたアンジュへのサプライズが行なわれたのだ。

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　「えっ！！？　リハーサルと違うやん！！？」とアンジュが真顔になって驚き、喜びのあまり泣き出してしまう。9月29日から30日にかけて誕生日配信をしていた際には、逆凸企画としてさまざまなライバーへと通話をかけていたわけだが、「リゼと戌亥はフェスのこともあって忙しいし今回はナシかな」と通話をすることはなかったわけだが、おもわぬ形で祝福される形となった。

　この直後に歌われたアンコールでは、歌の合いの手がリハと違うことに気付き、おもわずつっこんでしまうという事態に。終始、さんばからしいムードに包まれた1時間半のショーケースであった。

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　16時半から17時半には演劇ステージで演目『不思議の国のアリス』が公演された。ルイス・キャロルの名作を下敷きにしたオリジナル演目。ミュージカル『薄桜鬼』や『メサイア・プロジェクト』を皮切りに漫画・ゲーム原作の舞台作品を多く務めているほかに、『仮面ライダー』『スーパー戦隊』シリーズでの脚本をいくつも出がけてきた名脚本家・毛利亘宏が脚本と演出を務めた。

　にじさんじにはまさに物述有栖が在籍していることもあり、多くのファンが物述有栖がストーリーの中心となって進むかと思っていたと思う。事実、公式サイト上でも物述有栖の名前は左上から始まっており、慣例的に読み解けば彼女が「主役」だと思うはずだ。

　だがスタートしてみると、健屋花那の演じる少女がもう一人の主役となり、神田笑一が演じる紳士に引っ張られるように「不思議の国」へと突入していく物語となっていた。

演劇ステージ 無料パート【#にじフェス2022_Day1】

　健屋と神田による小気味よい会話劇とにじさんじネタ、物述と鈴木勝が演じるうさぎとの可愛らしい演技もさることながら、文野環によるチェシャ猫の演技は明らかに「文野環本人の会話・口調」そのものであり、ルイス・えま・魔使によるトランプ兵のコミカルさなどは、笑えるポイントとなって機能していた。

　「もっとちゃんと演技したほうがいいのかな？」とルイスなどが確認を取ったところ、監督からは「そのままで良い」と逆に指示されたと明かしていた。アドリブを多めに指示しつつ、演技では生みだしづらいコミカルさをそのまま活かすような演出は、「にじさんじ」らしさを活かそうという毛利の慧眼であろう。ビシっとしたダンスシーン、感情を表に出した演技、ヒネりの利いたストーリーラインも相まった濃い内容は、万雷の拍手をもって称えられた。

「仮面ライダーすぐ薦めてくるおじさん、トランプ兵がはけるときのもアドリブ。一般迷惑リスナーは本番で初めてやったアドリブだし、勝くんのブツブツ言うところもアドリブじゃないかな」

「実は今回の劇はアドリブが多くて、本当なら1回だけじゃなくて何公演もやりたい。舞台は成長するものだから」

　この語る健屋の言葉を聞くと、「演劇ステージ・にじさんじ」がいつか開催されるのかもしれない。淡い期待をもってみたいと思う。

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なんでもない日、ありがとう。なんでもない日、おめでとう。

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