ハマ・オカモト × ゲーム実況者・shu3対談 ジャンルの異なる2人が考える「良いもの」とは?

ハマ・オカモト × shu3対談(後編)

下手な部分も全部見せることで生まれる感動

――動画を拝見していると、用意周到なプレゼンをすることもあれば、初見プレイだったり要所にアドリブが入ったりして、そのバランスが絶妙だと感じます。

ハマ:人がやってる、って感じがするよね。ものすごいキチンと用意されてるし、見やすいようにレイアウトされてるし、編集もされてるけど、生のリアクションみたいなものとの塩梅が素晴らしい。たとえばshu3はたまに、飛ばした矢が当たったかどうかを確認しないで次を撃ったりするじゃないですか。「めっちゃプレイしたんだな」っていうプレイがそういうところに見られるんですよ。そのバランスはやっぱ超すごいなって思います。

shu3:ゲームが超絶的に上手い人は世の中にたくさんいて、それは感動するレベルで上手いんですよね。ここまで来るのにどれだけ練習したんだろうって。でも僕はそこまではできない人間なので、じゃあどうすればいいかな、と考えた時に、「下手な部分も映して、達成できた時に喜ぶ」っていうシーンまで全部見せようと。そこには感動も生まれるし、それなら僕がやる意味があるかなと。

ハマ:グラデーションがありますよね、起伏があるっていうか、攻略動画ではないですもんね。もちろん攻略はされてるんですけど、「この動画をお手本にして攻略しよう!」って見る動画ではないというか。そこにやっぱり作品性を感じるんですよね。

shu3:純粋な攻略動画ではないですよね(笑)。僕は昔のニコニコ動画で見て面白かった動画を、自分なりの形で今でも作っている感じがします。

――憧れのような気持ちが今でもありますか?

shu3:そうですね、ありますあります。

ハマ:いまも続けてる方っているんですか? 当時見てた「わぁすげぇ!」って人が、活動場所をYouTubeに移していたり。

shu3:僕のグループのメンバーの方々とかは、まさに当時から動画を作っている人たちですね。

ハマ:そうか、「ナポリ」のみなさん!

shu3:そうですね、古参と呼ばれる人達です(笑)。昔、僕がアップした動画を観て、声をかけてくれて。その時は全然やり込みとかはやっていなかったんですけど、僕の動画を面白がってくれた人がいて。メンバーは4人ともすごく気が合うし、みんな似たような雰囲気で、少しじめっとしているというか(笑)。

ハマ:素敵な話ですよね。自分がもともと観ていたような人たちに、声をかけてもらえた訳じゃないですか。

shu3:声をかけてくれたとき、まず「優しそう」って言われました(笑)。「一緒にやっても怒らなさそう」って。あとはみんなゲームが大好きなので話も合うし、居心地も良いです。

ハマ:ゲームが好きっていう芯がありますもんね、そこに。

4人でひとつの島に住む男たち【あつまれどうぶつの森】 1周目

――チームに所属することの面白さはありますか?

shu3:そうですね、自分ひとりでやると自分の手の届く範囲で想像したものが出来上がるんですけど、チーム4人でやると全然上手くいかないんですよね。自分だけの裁量じゃないんで。それが楽しいっていうのはあります。

 凝った配信や動画でも、それぞれの得意分野の掛け算が起きてうまくいったらめっちゃ楽しいです。バァーッと広がった時は、一人じゃできないことをやってるなって思います。

ハマ:いま仰ってたことは、本当によく分かります。還元もできるじゃないですか。4人でやっている時の”気付き”って、明確なものもあれば、もっと感覚的なものもあると思いますが、それを得たうえで「1人でやるときはこういうことをやろう」とか、またその逆もあると思いますし、発信したり表現したりすることにおいてすごく得してるというか、とても健全ですよね。

ハマ・オカモト

 バンドで音楽をやっていて、メンバーが一人で仕事したりソロを出したりすると「あ、仲悪いんだな」とか「解散しちゃうんだな」とか思われるような風潮っていまだにあるんですけど、当事者としてはむしろ真逆というか。集団の名前があることって僕はいい意味で「甘え」だと思っていて、「自分の居場所が自分ひとりじゃないところにもある」という精神状態は、なにかをやるにあたってとても良いことだと思うんです。それはバンドに限らず家族とか、色んな形があると思うんですけど、shu3の場合はお一人でも集団でも、やること自体のカテゴリが同じ「動画制作」だから、それはshu3の創作活動における風通しを良くしているんだろうなって、外から見ても思います。

shu3:おっしゃるとおりですね。「ナポリ」で話し合っていたときに「疲れて帰ってきたサラリーマンがパッと動画見た時に、それでも分かるようにしないといけない」って、そういう話をしてたんですよね。それは自分個人の動画でも強く意識するようになりました。

ハマ:秋元康さんみたいですね(笑)。秋元先生はインタビューで「朝から晩まで漁船で魚を釣り上げてる人が海原で聞いて、『いいな』と思えるものを作りたい」って言ったらしくて、すげえこと言うな! と思いました。「それが大衆に向けて何かを作るってことだ」って答えてて。今の話と通ずるものがあります。

shu3:僕のやっていることと比べるのもおこがましいレベルの話ですが(笑)。動画をわかりづらくしないように心がけてます。見てて無駄に疲れさせないというか、「これなんだろう?」っていう疑問がなるべく少ない動画を作りたいんです。

ハマ:「ナポリ」のみなさんで作っている動画もすごく好きです。OKAMOTO 'Sも集団でおしゃべりするコンテンツを持っているので、本当に勇気をもらえます。集団の良さってありますし、見てる方も特別に感じるんですよね。個人のコンテンツとはまた違う一面が見られるし。僕はshu3のファンになって、後追いで「ナポリ」のみなさんの動画を見ましたけど、「shu3のファンだからshu3のことしか聞いてない」とかにはならないんですよね。集団の良さを感じました。

shu3:そう言っていただけて恐縮です(笑)。

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