『ごっつ』や『笑う犬』の放送作家も協力 東海オンエア、なぜ“本格コント”に注力?
人気YouTuberグループ・東海オンエアが、近ごろ本格的な“コント”に力を入れているのは、ご存じだろうか。東海オンエアといえば、“十字架”と呼ばれる長期的な罰ゲームをはじめ、1500mを走り切った後、牛丼を早食いする伝説の「1500m牛丼」企画などが有名。常にコントのような特殊な企画動画を生み出しているとも言える東海オンエアだが、最近は“ドリフ”などを彷彿とさせる本格的なコントにも乗り出している。
『ごっつ』『笑う犬』の放送作家も協力
昨年12月末には、『コントしてみた』というタイトルで、構成や美術セットなどプロ協力の下、本格的なコントを披露している。『傾いている家』という急角度に傾く家の中をまっすぐに歩けず演者がどんどん滑り落ちてゆく、“ドリフ”さながらの昔ながらの体を張ったコントや、『オモマイウな店』という、大量の焼そばに埋もれる焼きそば屋の店主といったシュールな作品にも挑戦している。
じつはこのコント、構成に現在放送中の『ネプリーグ』や『ザ・イロモネア』『さんまのお笑い向上委員会』といった人気番組を担当する放送作家の松井洋介が協力。松井は過去に、伝説のコント番組である『ダウンタウンのごっつええ感じ』やウッチャンナンチャンとネプチューンによるコント番組『笑う犬』シリーズなど、そうそうたる有名コント番組を手がけてきた人物である。
演者が東海オンエアという、メンバーそれぞれの個性や面白さを持ったグループであるのはもちろんだが、中途半端に“やってみた”というものではないからこそ、しっかりと笑える完成度となっていた。
コントの定番「葬式」に挑戦
また、今月20日に投稿した『自分が死んだら、こんな葬式をやって欲しいな。』といった動画では、メンバーのしばゆーが完全プロデュースした上で、自身の“葬式”をするといったコントも披露。
しばゆーが棺桶に納められ、ほかメンバーは何も知らない状態で“生前のしばゆー”の意向に沿ったムチャブリをやらされる。しばゆーが考えた適当かつ絶妙な語句が並ぶお経を読まされたり、焼香を動かないしばゆーの額に塗り込ませたりなど、葬式の中“笑えない”メンバーにやりたい放題。また、遺影が写真ではなく動画となっており、“生前のしばゆー”がギャグやボケを遺影から次々と繰り出すといったYouTuberらしい要素も含まれている。(最後には衝撃の結末もあるので、ぜひ動画を見ていただきたい)
このコント、ただしばゆーが“悪ふざけ”をしているわけではなく、“葬式”といえばコントの定番。お笑いの歴史上では、ドリフターズやダウンタウンをはじめ、数々のコント番組でモチーフとなってきたもの。また、とんねるずは過去に自身の番組内で、木梨憲武の葬式を視聴者へのドッキリという形で行っていたり、ビートたけしも番組内で生前葬を行なったこともある。このようにお笑いの歴史において、“葬式”というモチーフは切っても切れないものであり、そこに今回東海オンエアが乗り出したことに、コントへの本気度をさらに感じたのだ。
ドラマや演技に挑戦するYouTuberは昨今増えているが、コントを本格的にできるYouTuberは意外と少ないのではないだろうか。
それぞれのキャラクターを持ち、一人ひとりが個人チャンネルでも通用するポテンシャルを持っている東海オンエアとコントの相性は良いとも言えるだろう。また虫眼鏡という、しっかりとメンバーを仕切り、場を回すツッコミ的な存在がグループ内に居ることも大きいのではないだろうか。個々の役割をしっかりと把握しつつ、ボケを捌けるまとめ役がいることは、エンタメやバラエティを行っていく上での強みとなる。
このように登録者も確実に増やしつつ、独自の路線を歩み続ける東海オンエアという特殊なグループにこれからも目が離せない。