時代遅れの良作『ダンジョンエンカウンターズ』が感じさせる“ゲームカルチャーが失ってしまったもの”
近年、二律背反のようになりつつあるグラフィック・音楽に対する作り込みと、システムの面白さ。本来、両者は共存しうるはずである。それがどこで間違ったか、前者のみが優先され、後者はないがしろにされているように感じる。しかし、本当の意味でゲームに必要なのは、ハードのスペックを生かしたグラフィック・音楽に対する作り込みなどではなく、システムの面白さなのではないだろうか。ここ数年、顕著となっているインディータイトルの躍進にも、こうした需要が投影されているような気がしてならない。業界のメジャーシーンで活躍する多くのパブリッシャー・ディベロッパーは、この点を見落としてしまってはいないだろうか。
2021年10月に現れた“時代遅れ”の良作『ダンジョンエンカウンターズ』。同タイトルには、ゲームカルチャーがいま思い出すべき、大切な遊び心が込められている。