『FFオリジン』はなぜスピンオフに? 『FF15』との違いに見る、関連3タイトルとの共通点

『FFオリジン』はなぜスピンオフに?

 9月30日~10月3日に開催された『東京ゲームショウ2021 オンライン(TGS2021 ONLINE)』で、『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン)』(以下、『FFオリジン』)の最新情報が明らかとなった。

 人気シリーズ発の大型スピンオフ作品として、多くのフリークから熱視線が注がれている同タイトルは、いったいどのような体験をプレイヤーにもたらしてくれるのだろうか。公開情報、体験版から受けるインプレッションの先に、関連の深い3タイトルとの共通点が見えてきた。

シリーズの系譜を色濃く受け継ぐ挑戦的スピンオフ『FFオリジン』

STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN 発表用ティザートレーラー

 『FFオリジン』は、スクウェア・エニックスと、コーエーテクモゲームスのTeam NINJAが共同で開発を進める、『ファイナルファンタジー』シリーズの最新スピンオフタイトルだ。FF作品には珍しいダークな世界観を特徴とする本格アクションRPGで、シングルプレイのほか、最大3人までのオンラインマルチプレイにも対応する。

 『E3 2021』において公開となったトレーラーには、『FF1』の敵・ガーランドを想起させるキャラクターが登場。「ただ『ファイナルファンタジー』の名が冠されただけの新作」ではなく、過去作品と“地続き”のタイトルであることもわかった。6月と10月にそれぞれ配信された体験版からは、ジョブやスキルツリーを用いた奥深い育成システムや、ハックアンドスラッシュ要素(※)が盛り込まれていることも明らかに。同タイトルは、『FF』の系譜を色濃く受け継ぐタイトルでありながら、シリーズの新たな方向性を示す挑戦的なスピンオフとなるようだ。

 発売日は2022年3月18日。価格は、スタンダードエディションが税込8,800円(パッケージ版/ダウンロード版)、アートブックやシナリオ台本、サウンドトラックLP、Tシャツが付属するコレクターズエディションが税込19,800円(パッケージ版)となっている。

※「hack(叩き切る)」と「slash(切り刻む)」をゲームシステムの根幹に据えたサブジャンルのひとつ。本来の意味は、「敵とのバトルの繰り返しを主目的としたタイトル」を指すが、転じて、「ランダムドロップするレアアイテムの収集を目当てにバトルを繰り返すタイトル」を指して使われることもある。

「FF×アクション」の集大成『FFオリジン』に感じる3タイトルの気配

 開発元にクレジットされているTeam NINJAは、『デッド オア アライブ』や『NINJA GAIDEN』、『仁王』、一部の『無双』作品のディベロッパーとして広く知られている。これらはすべて、無二のアクション性を武器に成功を収めてきたタイトルたちだ。同チームの手の下、『FF』シリーズの新作スピンオフは、どのような体験をプレイヤーにもたらすのか。すでに公開されている情報、体験版から受けるインプレッションなどを元に、同タイトルの可能性を紐解いていきたい。

 まずは、『FFオリジン』がアクションRPGというジャンルに属する点についてだ。1987年から続くシリーズの長い歴史において、『FF』はコマンドRPGとして名を揚げてきた背景がある。しかしながら近年では、さまざまなシリーズ作品にアクションを取り入れ、新たな時代にフィットすることを目指してきた。たとえば、ナンバリングタイトルでは、『FF10』『FF12』『FF13』『FF15』(『FF11』『FF14』については、MMORPGであるため省略)と数字を重ねるたび、バトルにおけるコマンドの割合が減少。アクションRPGに分類して差し支えないほどに、その性質を強めてきた。いまや『FF』とアクションは切り離して語れないほど密接な関係にあると言える。そうした流れのなかで発売されるスピンオフ最新作は、現時点での「シリーズ×アクション」の集大成と考えられるだろう。スクウェア・エニックスが長い時間をかけて目論んできたシリーズとアクションの融合。そのひとつの完成形が、『FFオリジン』なのだ。

 一方で、体験版をプレイすると、発売済みの最新ナンバリングタイトル『FF15』のアクション性とは異なった部分も見えてくる。その違いとは、『FFオリジン』のキャラクターの方が現実の人間に近い挙動をする点だ。

 先に述べたとおり、同タイトルの開発には、数々の人気アクション作品で知られるTeam NINJAがクレジットされている。家庭用プラットフォームにおけるシリーズと同チームのコラボレーションは、『ディシディア ファイナルファンタジー 』とその関連作品以来、今回で2度目。唯一の前例が、豊かなアクション性を武器にいまだ愛され続ける作品となっていることを踏まえると、『FFオリジン』への期待もおのずと高まってくる。

 そのうえで、同タイトルをTeam NINJAが手掛けた作品のいずれかにたとえるならば、『仁王』がしっくりくるのではないだろうか。「人間らしい挙動をベースにした本格アクションRPG」「柔軟で幅広い育成」「ハックアンドスラッシュの概念」といった要素はすべて、両作に共通するゲーム性だ。また、雑魚敵と対峙する場面では、無双シリーズのように爽快感を持って切り捨てるのではなく、じっくりと向き合いながら1体1体片付けていくという感覚があった。こうした点もまた、『FFオリジン』の“『仁王』らしい”部分だと言えるだろう。

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