『トライアングルストラテジー』はSRPGの新たな金字塔となれるか 誕生の裏に感じる2作品の影響と、いま再燃するSRPG人気
任天堂の新作情報告知番組『Nintendo Direct 2021.9.24』で、『トライアングルストラテジー』の発売日が明らかとなった。
新規IPながら、正統派シミュレーションRPGの系譜を受け継ぐ作品として、期待と注目を集める同タイトルは、シミュレーションRPGを不動の人気ジャンルの地位へ導くだろうか。
『トライアングルストラテジー』のリリースを起点に、同ジャンルのこれまでとこれからを考える。
“浅野チーム”開発の正統派シミュレーションRPG『トライアングルストラテジー』
『トライアングルストラテジー』は、スクウェア・エニックスが発売する新作のシミュレーションRPGタイトルだ。同社で『ブレイブリーデフォルト』や『オクトパストラベラー』といった人気作品を手掛けてきた浅野智也氏率いる“浅野チーム”が、アートディンクとともに開発を担当する。今年2月に配信された『Nintendo Direct 2021.2.18』で存在が明らかとなっていた同タイトル(当初は『プロジェクト トライアングルストラテジー』という名称だった)。続報が待たれていたなかでの、今回の発売日発表となった。
公式サイトなどを見るかぎり、シミュレーションRPG作品によく見られる「三国による協力・敵対関係」「3つの価値観に基づいたストーリー分岐」以外にも、さまざまな“トライアングル”がゲーム内に存在しているようで、同日付で公開となった新トレーラーには、「決裂」「裏切り」「永遠の別れ」という、シナリオ上の“トライアングル”を感じさせるワードも散りばめられていた。
発売日は2022年3月4日予定。価格はパッケージ版・ダウンロード版が7,680円(税込)、全曲収録のサウンドトラック、オリジナルグッズなどを同梱した豪華特典版・Collector's PACKが16,500円(税込)となっている。
『トライアングルストラテジー』が感じさせる、シミュレーションRPGにおける“金字塔たち”の存在
『トライアングルストラテジー』の発売を心待ちにしているフリークのなかには、かねてからシミュレーションRPGを愛し、同ジャンルの作品を進んで遊んできたプレイヤーも多くいると思う。そのような人たちほど、『トライアングルストラテジー』のビジュアルやグラフィック、ゲームデザインに、“シミュレーションRPG、往年の金字塔たち”の息吹を感じているはずだ。
その金字塔たちとは、『ファイナルファンタジータクティクス』と『タクティクスオウガ』である。
『ファイナルファンタジータクティクス』は1997年、『ファイナルファンタジー』シリーズなどの開発・発売元として知られるスクウェア(現スクウェア・エニックス)よりリリースされた。当時は同社の黄金期であり、発表するタイトルのほとんどがヒットを記録。それぞれが各ジャンルの名作として現代にも名を残している。『ファイナルファンタジータクティクス』もまた、スクウェアのその時代を彩った、名作と呼ぶにはばからないシミュレーションRPGの金字塔だ。昨今、台頭を見せるインディーディベロッパーの界隈からは、同作を意識した新作タイトルも多数登場している。ジャンルの歴史を語るうえで、マスターピースとも言える一作が『ファイナルファンタジータクティクス』なのだ。
『トライアングルストラテジー』は、『ファイナルファンタジータクティクス』と開発・発売元を同じにする。そうした背景から考えると、共通点の多い同タイトルに“後継作”としての期待が高まるのは必然だと言えるだろう。奇しくも2022年は、同作の発売から25年を迎える年でもある。シミュレーションRPGが誇る名作の誕生から四半世紀を経て、スクウェア・エニックスは新たな金字塔を世に送り出せるか。動向に注目が集まっている現状だ。
一方、もうひとつの金字塔である『タクティクスオウガ』は1995年、『オウガバトル』シリーズなどの開発・発売元として知られるクエストよりリリースされた。同作は高低差やユニットの向きの概念のほか、主要キャラクターの性質のひとつにアラインメントシステムを採用。クラスチェンジや、特定の行動の命中率などに影響を与える変数的なパラメータとして、シミュレーションRPGに遊び方の幅をもたらした。『トライアングルストラテジー』に取り入れられたストーリー分岐に関わる3つの価値観の要素は、このシステムからの影響が色濃い。同タイトルではこのパラメータが、物語の分岐・どのキャラクターが仲間として帯同するかに関与するとされているが、いまだ明らかとなっていないキャラ育成の部分にも、もしかすると変動をもたらすのかもしれない。
なお、『トライアングルストラテジー』の開発にクレジットされているアートディンクは、1997年にリリースされたPlayStationへの移植版『タクティクスオウガ』の開発・発売元でもある。このような背景から考えても、両タイトルのあいだには、ただジャンルが同じというだけではない関係性が存在していると言えそうだ。