『トライアングルストラテジー』はSRPGの新たな金字塔となれるか 誕生の裏に感じる2作品の影響と、いま再燃するSRPG人気
いま息を吹き返すシミュレーションRPGのジャンル
『トライアングルストラテジー』が属するシミュレーションRPGは、「特別に高精細なグラフィック」「描画性能に頼ったスピード感のあるアクション」「マップ移動にローディングを必要としないオープンワールドな世界」といった現代的な要素を売りにしている分野ではない。ハードが日を追うごとに高スペック化している昨今にあって、本質的なゲームとしての面白さをシンプルに追求する、数少ないジャンルだ。最近では、昔ながらのコマンドRPGも数を減らし、その代わりにアクションRPGがトレンドとして君臨している。シミュレーションRPGにとって、このようなゲーム業界の潮流は向かい風とも考えられるだろう。しかし近年、同ジャンルは再興の気配を見せている。
その旗振り役となったタイトルが、2019年7月に任天堂より発売された『ファイアーエムブレム 風花雪月』だ。シミュレーションRPGの分野では、すでに“古典”としての貫禄を持つ『ファイアーエムブレム』シリーズ。その最新作は、ゲームシステムにアドベンチャーの要素を取り込み、「男性的」とされやすいシミュレーションRPGを、性別を問わず楽しめるジャンルへと昇華した。2020年6月末時点で、全世界での累計売上本数は300万本を突破。30年以上続くシリーズの歴史で、最も売れた作品となった。
こうした同タイトルの躍進に牽引され、近年のゲーム業界では、シミュレーションRPGタイトルのリリースが増えつつある。今後の注目作では、『スーパーロボット大戦』シリーズから『スーパーロボット大戦30』が2021年10月28日に、角川ゲームスから新規IP『Relayer(リレイヤー)』が2022年2月17日に発売予定だ。
そうした流れに続いてリリースを迎える『トライアングルストラテジー』は、これらのタイトルと協力し、高まるシミュレーションRPGの人気を不動のものとできるか。次世代機ならではの表現ばかりに注目が集まる昨今にあって、古き良きゲームカルチャーを体現し続ける同ジャンル。少し先の未来に、シミュレーションRPGのさらなる復権を期待したい。